第17話 七層の盾
戦いは防衛側のトロイ王国側が優勢で進んだ。
「いくぞお前達、俺に続けー『
地上のオーガやサイクロプスは城壁の上から放たれるヘクトール達の
「さてさてここまで辿り着いたって事はちっとは骨がある奴らかな?だが俺様の相手にはならないな。
『
なんとか門の前まで
「来ましたね。僕も頑張りますか。パリス兄さん直伝『
上空から侵攻を試みたハルピュイア達はヘクトールの副官であり、聡明でありながら
「やれやれ、分かってはいたが厄介な連中だな。特にヘクトールの
あれを何とかしないと門を破壊するなんて無理だな。どうしますアイアスの旦那?」
「分かりきっている事をわざわざ聞くな。モンスター共だけじゃあ落とせないのは予想通りだろ。行くぞ、テウクロス。和紙とお前で突破口を作るぞ」
「大将自ら出るとは…まぁ、仕方ないっすね。ケンタウロス共の弓ではヘクトールに届かねぇ。可能性あるのは俺のこの
だが、モンスターを吹き飛ばす
「そうだ。いつもの
「はぁ~、単純に旦那が前に出たがりなだけな気もするがそれが最善手か」
「おいおい、お前だって強い奴と戦いたいと思っているくせに俺だけが
「あっ、バレてました?いやーやっぱり、あのヘクトールを
「ははは、それでこそ
アイアスは巨大な盾を構えながら戦場を突き進む。テウクロスもその後ろに隠れるようにしてアイアスに続く。
互いの攻撃の射程範囲内に近づく。オーガよりも体格が良く、モンスターとは明らかに格好が違うアイアスは目立ち標的になる。
『
巨大なモンスターさえも吹き飛ばし地面にクレータを作る威力の
『
アイアスがそう叫ぶと盾の前に七層の巨大な壁が出現した。ヘクトールの放った
「ほう、一層だけでも巨人の一撃さえ耐えうる俺の『
「おう、旦那。任せてくれ。この距離なら確実に仕留めれる。いくぞ『
凄まじい剛力でで放たれた矢は少しのズレも無くヘクトールに向かっていく。
ドーン
城壁の一部が崩壊する。その土煙の中からヘクトールが姿を現す。
「ちっ、ヘクトールの奴め。直前で
「任せな。サルペドンの野郎が妨害しに来やがったが問題ねぇ。モンスター共で十分に足止め出来る。
怖いのはヘクトールの
お前は安心して
「了解。俺に
頑丈な城壁さえも破壊する死の一撃。しかしそれは狙いのヘクトールに当たること無く、その
「馬鹿なこの俺が矢を外すなどあり得ない。今回も狂いなく完璧に放ったはず…」
「落ち着けテウクロス。恐らくだが奴ら魔術で狙いを誤魔化したのだ。お前の射が完璧だからこその策だろう」
「こんな距離で幻覚魔術なんてかけれるのか?それこそおかしいだろ」
「
条件の縛りの割に効果が地味だが射程を気にする戦いではかなり厄介な魔術だ。しかも視界に捕えられる範囲の敵に有効とか言っていたな。
ヘクトールの補佐をしているデイポボス辺りの仕業だろうな」
「小賢しい真似を!こうなったら射手としては二流だが数発で感覚を
「あぁ、多少のズレはあれるが物自体は確かにあるんだ。数打てば当たる。こうなったら互いに撃ち合いだ。敵もそのつもりらしいしな。ヘクトールの奴、無駄だと分かっていてもまたこっちに投げて来やがるぜ」
『
『
再びぶつかる破壊の
アイアスもテウクロスもヤケクソの愚行だと思い自分達の勝ちを確信して笑う。
しかし…
四層目の壁が壊れる。
「「何!?」」
五層目が壊れる。六層目が壊れる。
分かるのは
ズサリ
「何をやっているテウクロス!」
「何をって…大将殺られたらだめでしょ旦那…咄嗟の判断だが…上手くいったみたいだな…ゴホ…」
「喋るな!余計な真似をしやがって…」
「じゃあな旦那…悪いが先に失礼するぜ…
テウクロスは最期にアイアスに
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