第14 話 魔猪
その声は敵本陣から魔術で飛ばされているらしく。声の主の姿は見られない。
「あのトロール軍団を攻略するとは中々やるじゃあーん。トロイ王国の害悪共。
だけど、
その叫び声と同時に巨大な何かが物凄いスピードでこちらに向かって突進して来た。前進していたこちらのオーガ達はそれに呆気なく弾き飛ばされていく。
それは今までに見たこと無い巨大な
それがこちらに向かって来ている。
「弓兵隊、撃てー。あの
パリス王子の部隊を中心にした弓兵の矢が
しかし、
「なっ、どうなっているんだ!!」
その結果に弓兵達が驚く。
「カリュドーンの
「何だと、それは本当かソロモン。いや、現に僕の率いる弓兵隊の矢が当たらないのを見るにそうなんだろう。
だとしたらマズい、あれを止めるのは至難の技だぞ。飛び道具が効かないなら直接的な力で勝負するしか無いけど、何しろ力が凄いオーガ達を簡単に弾き飛ばす突進力だ。ペンテシレイアの部隊でも止めれないだろう」
こうしている間にも巨大な
「パリス王子。
それとアキレウス君は召喚術をお願い。以前、教えたドワーフを30体ほどお願い」
「了解した」 「分かった」
ドワーフか。え〜と、確か髭面で身長が低いけど、横幅があって筋肉質な体で以外にも物作りが得意で器用な奴と…
首輪が青白く光ってイメージしたドワーフが召喚された。
「召喚は成功したぞソロモン。ドワーフ達に防壁を作りなおさせるのか?」
「いや、ちょっと違う。ふむ、どうやらアイネイアス様の方も上手くいったみたいだね」
見ると
「やっぱり、ここからでも凄い激臭だ。鼻が敏感な
普通の野生の
ソロモンが自分の事を棚に上げている事に対してのツコッミを我慢して俺はソロモンの指示に耳を傾けた。
◇
劇臭を
走り始めると先程の劇臭とは違い気分が高揚するような魅惑の香りがし始め、
しかし、
くくり
『
騎士はそう叫び声を上げ、大きく飛んで
◇
「ペンテシレイア様がやり遂げたみたいだね。
「どんなモンスターにも強みがあるんですよアキレウス君。
とはいえ、今回の最大の功労者はアイネイアスだね。彼が『
何しろ時間と物資がない中でドワーフ達が作成した急ごしらえの
「僕的には潜伏させていたモルドレッドがそのロープを通して電気を流して麻痺させペンテシレイアをアシストしたのも大きかったと思うね。
だけどね、君達、強敵を倒して喜ぶ気持ちは分かるがまだ戦いは終わっていない。気を引き締めて」
パリス王子の言う通りだ。まだ戦いは続いている。今度こそ敵陣に攻め込んで魔女キルケーを
「あれ敵、何か撤退していてません?」
「本当だ。カリュドーンの
パリス王子のその指示により深追いはせずに見送る。この戦いは以外にも
だが、新たなる敵の拠点に辿り着いた時、敵の目的を理解した。それ端的に言ってしまえば時間稼ぎだ。
俺達はその拠点を取ることが出来なかった。強いモンスターがいたわけではない。それどころか一切のモンスターがいなくその龍脈は放置されていた。
それなら何故?
「やられた。これは酷い」
その光景を目ににしたパリス王子は思わずそう言葉を漏らす。
目に映るのは拠点を一帯を覆うあらゆる生物を拒む毒の沼。それも異常なほどの猛毒。気化したそれ吸ってしまうだけでも体調に異常をきたし、近づく事さえも出来ない。
「
魔王軍からして見ても龍脈による魔力供給さえ出来れば何も惜しくも無い土地だから理にか
パリス王子の疑問は最もだ。こんな猛毒の沼を一体どうやって魔王軍は作ったというのだ。これ程までの猛毒となれば用意するのも扱うのも難しいはずだ。それを沼を作る量を用意するとなれば
「それが出来るモンスターに心当たりがあります。詳しい文献が残っでおらず、私もあまり詳しい事は知らないのですが『ヒュドラ』という毒蛇のモンスターがこれ程までの猛毒を有すると見た事があります。
まさかそんな伝説的モンスターが存在している可能性があるとはヤバい興奮してキター」
変態学者肌のソロモンは
完全な手詰まりだ。劣勢であるこちらの唯一の希望である龍脈の奪取による戦力強化という作戦が潰されたのだ。しかも魔王軍はこの毒沼を作り出したかもしれない『ヒュドラ』という強力なモンスターを有しているのかもしれないというのだ。
道の見えない暗闇に突き出された気分だ。一切の希望が
その時…
「伝令、伝令です。至急、王都に戻られよとのこと」
王都から伝令が届いた。さらなる大きな戦いが俺達を待ち受けていた。
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