第五怪迷いの森とネオグランギニョル③


戦闘開始前の幕開けの台詞は狂気だった。


ニューナンブM60は、新中央工業、現・ミネベアミツミ社製の回転式拳銃。1960年より日本の警察官用拳銃として調達が開始され、その主力拳銃として大量に配備されたほか、麻薬取締官や海上保安官にも配備された。生産は1990年代に終了したが、現在でも依然として多数が運用されている。


玩具の拳銃、空砲、それにしては歪だった、それを自分の額の右側面に当てて放つ。


「■■■■■■、ポベートール」


その六文字は既視感があった。日朝で見た気がする。彼はだったからだ。


「マガツ!ツクヨミ!」


目の前の金髪の美青年はそう言い放った。


時空間がねじ曲がる。防戦一方、防衛本能の塊、彼は浜松だろうと池袋だろうと、不見識、不見の謎めいたのような存在だった、インターネット上でぽこぽこ組織が生まれる旧時代だった、その中でも異質だ。


彼がリアルファイトしたらどうだろう。


顕在化するのは一撃必殺、不良以上に危ない猟奇殺人事件をしそう、惨殺の二文字。


「男は皆、狼とか、女狐とか言い放たれるのがめんどくさい。俺はディンゴ憑きだ」


そんな事をダークロードは言い放つ。


勇者は違う。


「動物園にいない程度の能力か、それはそれで貴様の狂気に満ちた愛を貫け!」


だが、ダークロードは恋愛に喜悦しているのではない、むしろ、悲嘆に満ちていた。


結婚、それだけに執着心、それでいて


白木羽子はそれにくすりと笑う。


「彼は女を決闘するための手札にしか思っていない、彼にとって人生そのものが賭博であり、双六、それで漸く良い目が出ただけ」


建物、繁華街の裏路地、閑散としたシャッターが沢山落ちている場所。サイバーパンク、駅前開発、そういうのから乗り遅れた場所。


「どうして彼が岡山県にいるかと言えば、広島にはね、鬼以上に黒くなりたい鴉達がいるのよ、不良漫画でも鴉の学園とかあるじゃない?そういうので彼はそういうのと不和なのよ、ついでに群馬県の眠れる獅子を呼び覚ましたし、多分、八幡の藪知らずには、光定闇神と闇定光神、陰極と陽極を尊ぶ神様がいると、思うけどそれも憶測になっているけど、彼等二人ってもしかしたらあれかもね」


そうして、剣劇が複数無尽蔵に繰り返される、刹那、また刹那、そういうのが連続する、音速を、越えて光速に至る前段階。


惨殺惨殺惨殺惨殺惨殺惨殺惨殺ざんさつざんさつざんさつざんさつざんさつざんさつざんさつ


ダークロードから出たのは得体の知らない言霊、どこまでもおぞましい殺意の呪詛だ。












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