第四怪陽極と陰極の果て⑤
劇場型犯罪があるが、グランギニョル型犯罪というのがどうやらあるらしい。
凄惨なお話だった。
「そのまま悪い狼になる気か?」
彼女は立ち去る彼に涙ながら言う。
「西洋被れのアホは狼の悪魔でいいと思うが、魔神狼を凶殺するのは狼鬼だ」
彼女はその言葉を知って、我を忘れた。
傍若無人、血みどろを渡り歩き、不良として生きる前に不法行為を沢山した狂気に満ちた男の片鱗は、狂気の狼より禍々しい者だ。
三文オペラというそこそこに有名なのがあるが、これでは六文銭歌舞伎とも言える。
「クククククッ、ヒヒヒッ、ヒヒェッ、狼鬼が吸血鬼の役割や人間の役割を羽織るというのは、どうにもこうにも難儀な話だな」
彼は羊の皮を被った狼だがそれが異質だった、亜種どころか希少種であったのだ。
鬼の角が生えた狼鬼、不快になるだろう。
これはもう、流血刀と呼ばれていた時の彼ではなく、暗黒刀と成った瞬間だった。
彼はもう高校卒業をしている19歳になるか、否かの瀬戸際、彼は堕落した。
堕落という言葉は不適切であり、男は皆、狼であるが、彼だけが様子が変だった。
オタク、ナード、弱者男性という言葉が流行る中、彼だけが狼鬼になろうとした。
「………小狼で良いと思う、髪色を赤色からピンク色に染めれば良いと思っているよ」
彼女は不幸を実感した、涙がポロポロ出る、その結果、彼はそもそもの本性を忘れる。
「お前はそもそも、白狐だろう?玉藻前って凄く可愛くてなんかのゲームでカップルとかになれてお月様で楽しく戦争できるってお触れこみがある中、何故狼鬼と言ったんだ、なんで元来、光の末裔と闇の末裔という陰陽師のようなお前が狼鬼なんだ」
「魔術のルーンが嫌で、マルーン色が好きだ。それはイエローブラッドになる一歩手前らしい、恐怖のプリンス、アンドレ・ド・ロルドの生涯は数奇だが俺も数奇だ、今日これまで狼男になりたいと思う人間は多いが、狼鬼になりたいのは俺だけだ、日本人、俺は鬼の牙と鬼の角を持っている。この世の中、陰側と陽側があるならば自分は陰側でいい、闇属性、闇文明でいい。でも氷の悪魔というのを知っているから俺はそうだな、誰にも言わないでくれよ?俺はアバドンカイザーと名乗りたいとか思っていた。ルキフグスよりもなんだかアバドンの悪魔がしっくりくる、俺は適当に喧嘩売られて暴れて不道徳になって、まだ男だからとかで俺はきっと、魔女狩りではなく、女性に魔王狩りされると思っている、狼は鬼のようだ、こんなのも分からないなんて西暦二千年を経た今、どうだろうな」
旧約聖書の『ダニエル書』では、ネブカドネザル王が7年もの間、自らを狼と思い込み苦しむ話がある。
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