第四怪陽極と陰極の果て①


三代目関八州連合会ヴァンパイアレギオンズ結成十周年おめでとうございます!」


岡山県に移住する前、東京で送別会があった。ダークロードが起源である池袋。


「まぁ、後は適当にやってくれ」


うんざりとしたけだるげさ。どこまでも殺伐していない彼が殺意に見せた時の牙は愉快ファンクなんてものではない。残虐非道クルーエルだ。


「えーと、未来永劫、次なる絶対悪と思っている中二病患者である月沢七真つきざわしちまさん」


くたびれた表情の人間は稲妻文庫いなづまぶんこの編集者であった。


「まぁ、次の作品がバッドエンドでもでもいいけど、現実で犯罪したら取材に行けなくなるんですから気を付けてね、貴方はだ、寿


と、缶ビールを飲んだ。


それによって、彼が返答する事は一つ。


「………お前のバイアスだな、強迫観念だ、青少年が不良になるとか堕落するとか言っている間、子供達は元気に学校に通っている、自分はテンミョウオンラインというVRMMORPGの売上がいいが、一つだけ言うけど、闇そのものをお前は愛するなよ」


編集者はゾクッとした。


闇の力が欲しいと中二病を持つ者がいる、そして、不良になりたいと思う者がいる。


彼が言いたいのはごっこ遊びで終わっていた方が健全だったというありきたりな話だ。


「まぁ、えーと、誇大妄想と思っていますが、私が不乱ふらんなのは貴方がどんな人間でも自分に小説をまず見させてくれるようになったからです、貴方は本当は陽気な人間だ、ただ、貴方は口下手なだけですね、というか、純情過ぎて平成で時代錯誤しています」


それにダークロードの言葉は簡単だ。


「鬼人探偵ニュロ子というのが流行ったが次の絶対悪は六番目ではなく七番目だ、その、後の八番目の事を考えるとあらゆる犯罪に関する思考回路がどうでもよくなるんだよ」


それに編集者は軽く笑う。


「年号■■の20XX年ですから、いやー、自分の家庭は両親ともオタクで助かりましたよ、秋葉原にも毎日のように行っていました、ふーむ、表現規制派は何を考えているのやら、まぁいいです。貴方は人間として不合格だが、今では稲妻文庫を代表する作家です」


背中の傷が痛む。うっかり、検死に回されたところを異常な事態になった、平然と起き上がり、そのまま闇医者の元に行くと行って立ち去った。後日それは事実であると確認された、それは不死身ではなく単に生命力が強かったからかもしれない。


弱肉強食の摂理は妄言だ。ダーヴィンの進化論には適者生存てきしゃせいぞんという言葉があるのだ。


人間社会で不適応なのは闇に染まり、悪人になり、犯罪になる。それで、この言葉だ。


「というか、いつもの決め台詞言ってくださいよ、ほら、殺人を五文字で表すと?」


「ダラクラの咎小唄殺伐とがこうたさつばつではなく、災禍凶殺死さいかきょうさつしだと思うよ、めんどくさいな、何回も言わせるなよ。今度書こうと思っているADVの主人公のダークヒーローの決め台詞候補じゃないか」








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