第三怪世界平和の勇者と反乱者達④


百羅零子ひゃくられいこはゼロ、それは公安警察を意味するようになる暗示だった。


そんな彼女が一人の女性と出会う。


「私?真瀬四音ませしおん、四つの心音があるって事から名付けられたの、私は半陰陽的で中性的というか、ジェンダーフリーって概念が浸透している世界線だから生まれたの、男か、女か、そして、ゲームのキャラクターも男か女か悩みなさいってところから名付けられたの、フフフフッ、私は今年、17歳なのよ?」


真瀬四音はこんな事も言う。


「……緋走は、そりゃあ緋瀬拓亜ひせたくあと名乗るようになるわよ、ダークロード?白執事?ううん、彼は赤色ブラッド、東北地方には赤神と黒神とあるらしいけど、彼は赤神、男も女もばっかみたい、殴って喧嘩して傷害して殺人したら流血になるだけよ、無血開城って言葉、私は大好き、本当に仲の良い友達なら傷害事件は起きないわよ」


平成は地獄のようだった、と誰かが悔恨するだろうが、彼女は生き抜いてしまった、ありきたりで凡庸な女子高生、それが、ただ、202X年まで生きてしまった。


「………でも、私、平和主義者でもないの、友達を守るための流血は愛と絆よ、私が作ったカラーギャングはホワイトタイガー………白虎という言葉が好きなの、虎憑いとか人虎ってどうして男ばかりで、女性はいないんだろうか不思議よね?」


百羅零子はそれについて、不思議そうな眼付きをしている。


徹頭徹尾不良としての覚悟が定まっている。漆黒の竜巻ブラックストームだ。


「拓亜兄さんは漆黒の霧ブラックミストだったね、RENGEという忍者漫画の霧隠れの里、恨霧こんぎりの儀式とか家庭教師REVIVE、霧の守護者の箱武装派の幻術使い、でも自分は地元を守るためならどこまでも汚れるわよ」


そんな会話の後、彼女は白執事が夕飯の後、小腹が個人的に空くだろうから、スーパーの和菓子のデザートを買いに行っている途中に背後から一刺しがあった。


「………真淵風子ちゃんの宿敵なんだって?殺してやるよ、百合の間に挟まる男なんて、永劫回帰しまくって、万死してやるに決まっているんだよ………」


白執事、は白服の背中を血の色で汚してしまった。


「あだだばかっ!」


そんな奇声めいた声が発せられた。


「私はですね、わらび餅を買いにいっただけなのに何故、いきなり襲撃するのです?」


それに彼女の答えは満足そうだった。


「ネオシェイド?私は、、貴方だって、昔は元ヤンだったりしたけど、今の私はそれ以上に悪い人間だからね」


『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第51章によると、フィンブルの冬は、夏が少しも間に挟まれることなく3度の冬、風の冬、剣の冬、狼の冬が続き、しかもあらゆる方向から雪が吹き付ける。この間に、数えきれない戦乱があり、兄弟同士が殺し合うらしい、まさに、そのような現象が具現化されてしまった。


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