我らモブ’s! 3人用台本
ちぃねぇ
第1話 我らモブ’s!
リン:だー!もう!じれったい!
ルキ:さっさとくっ付けっつーの!
リン:あの顔見た?ハンナのあの顔!
ルキ:見たわよっ!ゲームのスチル絵そのまんまのあの顔!あーもう!そんな表情させといてなんでロイドは気づかないのよ!あんぽんたんめ!可愛いかよっ
リン:あんたセット推しだったもんね、前世
ルキ:あのゲーム何周したことか…ハンナとロイドの全スチル回収したのよ私!
ニア:お前ら…ホント気楽でいいよな
リン:あ、貧乏くじ引いたニア
ルキ:あんた、見れば見るほどちょうどいい当て馬感のあるイケメンね
ニア:なんでお前らだけモブなんだよ!
リン:ただのモブじゃないわよ~ハンナの友達設定付きよ!
ルキ:間近であの二人の恋を見守れるなんて…死んだかいあったわ
ニア:ねーよ!なんだよ、死んだかいって!
リン:いやーまさか3人揃って車に轢かれて死ぬとはね~
ルキ:あの速度で突っ込んできたトラック避けるの…もっかい時間戻っても無理ゲーだわ~
ニア:挙句、まさかの転生…3人揃ってまさかの転生!しかも…ナイトダンジョンの世界に!
リン:通称ナイダン…見慣れた街の風景だとは思ったけど…まさかナイダンの世界に転生するとはね
ルキ:夜、こっそり屋敷を抜け出したロイドが、同じく城を飛び出してきたハンナと出会って、お互いの正体も知らないまま少しずつ時間を共有して恋に落ちて行く物語…ああ、作者神かよ。てぇてぇよ
リン:第二章がまたいいのよねぇ…同じ学園でまさかの再会!しかも私たちはハンナの友人!ハンナの恋をお手伝いできる立場!はぁぁぁ!!
ルキ:てぇてぇ…てぇてぇよぉぉぉ!
ニア:なんで…なんで俺はニアなんだよぉぉ!
リン:あんたは…運悪すぎよね
ニア:俺だって箱推ししてたんだぞ!ハンナはロイドといてこそだろ!?なのになんで俺がニア!?よりによって…当て馬ポジのニアって!
ルキ:ホント…かわいそすぎる
リン:ハンナにちょっかいかけまくってロイドの逆鱗に触れて…ニアのラストって確か、国外追放だっけ?
ルキ:第三章にね。そん時のロイドのセリフがまたいいのよ!「ハンナは俺のものだ」ってまだ告白すらしてないのに、ハンナがいないとこでがっつり牽制してさぁ!
ニア:俺無理!ハンナに近づくとかぜってぇ無理!
ルキ:ええー?でもニアきっかけで生まれるスチルとかあるのよ?
リン:そうよ、当て馬がいなきゃ物語が上手く転ばないじゃない
ニア:お前ら!幼稚園から10年間以上一緒だった俺が国外追放されてもいいってのか!
リン:だってそれがニアの仕事だし
ニア:仕事ってなんだよ!あの二人はほっといてもくっつくだろ!?俺は一切関わらねぇからな!
ルキ:でもあんたの親父、私利私欲にまみれた強欲爺じゃん。ハンナの家の財産目的であんたとハンナくっつけにかかるし、事あるごとにロイドとハンナの時間邪魔するし
ニア:そうなんだよぉぉぉ!ハンナがいるところにだまくらかして連れて行かれて…!俺を見たロイドの目!「邪魔なやつが来た」って書いてあるからな!言わなくてもしっかり伝わってるからなっ!?
ルキ:ああ嫉妬深いロイド…てぇてぇ
リン:なんとか上手いことロイドとハンナくっつけて逃げないと、あんたマジでやばいわよ?もう第二章入ってるんだから。ゲームじゃそろそろあんたが出張ってくる頃よ?
ニア:わかってるよくそっ!とりあえずなんとかロイドの信頼得て…物語のイベント、筋道変えないように成立させてやる…!
ルキ:がーんば
0:2週間後。
リン:見た?ねぇ見た?今日のハンナのリボン!
ルキ:見た!鼻血出そうだったわよ!
リン:ロイドの瞳の色…!ゲーム中幾度となく目にしたけど…やっぱ実物は破壊力デカいわ
ルキ:ロイドの瞳の色だからってリボン選んだハンナに対して、自分の色で選んでるわけないって思ってるけど嬉しがっちゃうロイド…てぇてぇよぉぉ!
リン:「バレるかな?バレちゃうかな?でも気づかないよね…私気づいてほしいのかな…」って真っ赤になってそわそわしてるハンナ、一生推せる
ルキ:わかる。もっともじもじハンナ見てたい!でもそれ以上に…さっさとくっつけぇぇ!!
ニア:お前ら…元気だな
リン:あら、ニア。…あれ、なんかやつれてる?
ニア:今朝、親父とバトってきた。なんとかハンナを諦めてくれって
ルキ:え、あのたぬき爺と?
ニア:ワードチョイス!一応今は俺の親父なんだけど
リン:で、どうだった?たぬき、ハンナを諦める気になった?
ニア:…条件付きで
リン:うっそマジで?
ルキ:やったじゃん!これで国外追放エンド回避だね!
ニア:ああ…そだな…
ルキ:あれ、嬉しそうじゃないね?
ニア:いや、心底嬉しいけど
リン:あんた、どんな交換条件出したの?あのたぬきがそう簡単にハンナを諦めるとは思えないんだけど?
ニア:…ハンナ並みに金持ちの家の娘捕まえて来いって
リン:あー…
ルキ:うわ…言いそう…
ニア:ハンナって城住みじゃん…この学校子息令嬢集まってっけど…ハンナ並みって…
ルキ:…いるじゃん?あんたの目の前に
ニア:え?どこに
ルキ:ねぇ?…リン
ニア:…は?
リン:うち…商家だから…資産だけなら多分、ハンナ並み…
ニア:マジ!?モブなのに!?
ルキ:モブ舐めんな。世界を構成してるのは九分九厘モブなんだから
ニア:リン!俺と結婚してくれ!俺を国外追放エンドから解放してくれ!
リン:そっ…そんなセリフで求婚してくるんじゃないわよバカーーっ!!
0:1か月後。
ルキ:ねぇ、おかしくない?
リン:…だよね
ルキ:そろそろダンスパーティイベントが起こるのに…この頃よね?ハンナが私らにロイドへの気持ち打ち明けてくるの
リン:うん。…で、私たちはなんとか二人っきりになれるよう画策するはず…
ルキ:なんで何も言ってこないの?もしかして、ニアが仕事サボったから物語が進んでない?
ニア:俺のせいにするな俺の
ルキ:ニア!だってハンナが何も言ってこないのよ!?「ロイドと二人っきりにしてほしい」って真っ赤になって伝えてくるハンナはどこよ!
ニア:だーかーら!…それをする必要がなくなったんだよ
リン:どういうこと?
ニア:俺がハンナから完全に手を引いたからな。ロイドはハンナに会いたいだけ会いに行くようになって……あいつら、そろそろくっついたんじゃね?
ルキ:な……
リン:マ…マジで…?
ニア:お前ら、明らかにハンナと過ごす時間減ってるだろ。授業終わりもお茶行かねぇし
ルキ:そうなのよ!!ぽつぽつとロイドの話をする可愛いハンナが拝めなくなってきたのよ!!
リン:当て馬が消えて、むしろ話が加速した…?
ニア:じゃね?
リン:だ、だったらなんでハンナは私たちにそれを伝えて来ないの?
ニア:さーな?くっついたのか、まだくっついてんのかないのか微妙な感じの…中学生みたいな恋愛してんのか
ルキ:中学生…あの、外野がやんややんや言ったら壊れてしまいそうな空気感のあれ…!
ニア:どっちにしろ秒読みだろ
リン:そう言えば私、1週間前廊下で二人がいるの見かけたかも
ルキ:マジ!?
リン:うん。次教室移動だったからしっかりとは見えなかったんだけど…ハンナの隣にいた人、今思えば確かに…ロイドだったかも
ルキ:じゃあ、ほんとに推しっプル爆誕…?嘘でしょう…?こんなあっさり…?
ニア:まあ言い方は変だけど、現実世界なんてこんなもんだろ
ルキ:現実…これが現実なの…?じゃあ、モブの私はこれから何を糧に生きれば…
ニア:そりゃ、モブはモブらしく幸せに生きるしかねぇだろ
ルキ:どういうこと
ニア:例えば俺達みたいに…だよな?リン
リン:ちょっ
ルキ:え…?ニア?リン?どういうこと?…あんた達、まさか……
リン:…ニアが国外追放されるのは忍びないし…
ニア:……俺、前世でもこいつのこと好きだったし
リン:な!?そ、それは聞いてないわよっ!?
ニア:だって言ってねぇもん
リン:言いなさいよ!!
ルキ:嘘でしょう…ここにもカップル爆誕とか…
リン:なんかその…言いづらくて
ルキ:なんでよっ
リン:…むずがゆくて
ルキ:わ…からんでもないけど
ニア:ハンナもそんな感じなんじゃね?
ルキ:ええ…?………寂しいなぁ、もう
リン:ごめん
ルキ:……私だけ、相手いないじゃん
リン:え、そっち?
ルキ:そっちよ!…なによ!モブだと思ってたから私の人生は推しに捧げようと思ってたのに…!モブでも幸せになっていいのかよ!
ニア:そりゃそうだろ
ルキ:ニア、今すぐ男友達紹介しなさい
ニア:え
ルキ:リンもよ!私だって…ダンスパーティまでに相手見つけるんだから!そんで……みんな揃って幸せになるのよ!
リン:ルキ………うん、私もモブながら協力するわっ
ルキ:ありがとう!じゃあ善は急げ!二人とも!モブたちの手配よろしくねっ!
リン:言い方(笑)
ニア:ったく…了解
我らモブ’s! 3人用台本 ちぃねぇ @chiinee0207
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