第2話 文豪は、神である。

文豪は神である。自殺、アルコール中毒、過労死、等、世間一般では惨いと呼ばれるものをした者が世間で認められ、其の後も書籍と残っている。そんな珍しいことが文学以外であるのだろうか。あるのかもしれないがこんなにも沢山なものはこれだけであろう。

「太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様太宰治様...」

午前二時、七畳の部屋の中に、鉛筆で、まるで目の前のゴキブリを始末しようとしているかのような形相で、必死に手帳に太宰治様、と書く少女がいた。少女の手は止まることなく、また少女の口も止まることなく、ひたすらに動作を続けている。

さて、少女の部屋の紹介をしよう。右に太宰治様。左に太宰治様。前に太宰治様。後に太宰治様。そして当然上にも太宰治様。以前、下にも太宰治様を祀ろうとしたがすると部屋に入ると太宰治様を踏んでしまうことに気が付きそれは止めた。そこまでしていたら少女の母が絶叫していたことだろう。

「ああ...何故貴方様は此の世にいらっしゃらないのですか?????心中して差し上げましたのに!あゝしかし私如きが貴方様と心中致しましても貴方様を汚してしまうだけでございますね」

御覧の通り、少女の頭は時すでに遅し、可笑しくなってしまっている。

少女の名を、天文 文乃という。


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