あなたの事だから

 また決めつけで叱責される。ただ自分の能力を正しく行使しているだけで、誰かを陥れようとしたことなど一度もないと言っておく。

 それなのに、だ。

 いつも上司は「あなただから」と決めつけ叱責する。私の正義が鼻に付くのだと言う。上司は上辺だけを取り繕い、自信過剰で保身を図り上役にこびへつらう、典型的な不体裁の日本人だ。自分の子にその姿を見せられるのだろうか。

 したがって自分を脅かす存在の足を引っ張る。自分を持ち上げる者を囲い込み、徹底的に気に入らない人間を攻撃する。


 私は知っている。

 あなたを持ち上げるあの人もこの人も、実は裏で相当な悪口を言っている。

 私は知っている。

 実はあなたの心は弱く、虚勢を張らねば生きていけない性質だということを。





 このご時世、インターネットを叩けば簡単に情報が手に入る。名前を伏せようが匿名だろうが、見れば身近な人間に分かるようなキーワードが入っているものだ。それを見逃さずにいれば大抵の情報は簡単に手に入る。


 家に帰り、パソコンの起動音を聞きながら深いため息をつく。自然に口の端が上がる。

 

 今日も私は鎌を研ぐ。喉元に突きつけるための、鎌を。



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お題:鎌

文字数:500文字

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結果:471文字→追加して474文字

テーマ:鎌=いつでも反撃出来る武器=隠れた攻撃性

総評:

500文字では伝わりきらないが、「鎌」の例えが好きと言ってくれる人が居るのは嬉しい。

ただやはり理解が難しいとの声もあった。何が書かれているかが全く分からないと言われ、そんなに酷かったかなと落ち込んだりもして、書き直した長いバージョンもある。(それは同人誌にした)

長いバージョンは、とある雑誌の編集さんからは「ネットという現実とリンクする世界の表現が恐ろしく、また仕事の描写がリアルでゾクっとして面白い」と言っていただけたが、少し分かりづらい部分もあるので気を付けるようにご指摘いただき、文章を“誰にでも伝わるように”最小限の力で描くというのはやはり難しいと感じた。

元々漫画を描いていたこともあり、頭の中でアニメーションが浮かんでその場面を書き出しているというのが逆に想像力の欠落となってダメなのかもしれない。

自分は画として見ているから、言わなくても分かっているので足りない表現が出てくるのかもしれない。


「あなたの事だから、周りの分からないできない人の事なんて気にも留めないんでしょ?」


って言われているかもしれない。今現在ナウで。


課題:

文字数制限の中でどう表現するか?がやはり課題。

長く書こうと思えばそれなりのものを書くことは出来るが、短く世界観を持たせて表現するというのは本当に難しい。

最小限でどれだけ人に恐ろしさを植え付けられるのか。

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