歴史小説は読んだことがなかったので最初は敷居が高いかな?と思っていましたが、心情や風景の描写が丁寧でするすると読み進められました。
…なんて思っていたら最後の落ちで本気で驚いて、冒頭からもう一度読み直してしまいました!
重苦しい雰囲気で始まったこのお話でしたが、最後は皆それぞれ未来に希望が持てそうな形で終わり、胸が熱くなりました。
素敵なお話をありがとうございます。
作者からの返信
お読みいただきありがとうございました!
史実を知らない方にも楽しんでいただけたとのこと、とても嬉しく心強く思います。
ラストのあそこについても驚いていただき、とても嬉しいです(*´艸`*) あの人は、後年の姿のほうが有名だったりするのですが、龍助と同じ年ごろということを知ってこういう出し方にしてみました。
この後も、彼ら彼女の人生にはいろいろなことがあり、中には悲劇もあるのですが、それぞれ精いっぱい生き抜いたと思いたいところです。
またしても素晴らしいお話を読み終えてしまいました…。
遅ればせながら、まずは完結おめでとうございます。
歴史ものをほとんど読んだことがなく、また日本史の知識もほとんど頭に残っていない(名前すら朧げで、つまり前知識ゼロ)人間でも、スルスルと非常に読みやすく、のめり込むことができました。
金弥さん、話が進むごとに最初のマイナスな印象が嘘のようにかっこよくなっていって(*ノωノ)
八重姫と金弥の距離が少しずつ縮まってゆく度にドキドキするのに、同時に終わりを迎えるときの二人を想像して切なさも増していくのが最高でした…!
金弥さんと同じで、お父上への好感度も最初は「なにが離婚だこの野郎!」って最低ラインから始まったのに、最後には気持ちよく天井を突き抜けていきましたね…。吉太郎などもですが、読み終えると登場人物のことが軒並み好きになっているという(*ノωノ)
そして、ほろ苦さも含んだ、けれと幸せのつまったラストが素晴らしかったです。
夫婦という形には戻れなかった二人だけど、永遠の別れじゃないのですよね。偶然を装った再会…粋な計らい。吉太郎は仕事ができる男に違いない。
余談ですが、読み終えた後、登場人物たちのその後が気になってwikiなど漁りにいったりしまして
>忠成が将軍家斉の信任を受けて老中・側用人として栄達し、家斉の同意の下で意正を引き立てた
この1文を見たときはなんだかグッとくるものがありました。ここまでの色々かあったからこそ、本作の後に続く未来があるんだな…と。
すみません、読破がこのような形でいろいろ楽しませていただきました(*ノωノ)
ダラダラと書いてしまいましたが、改めまして素晴らしい物語をありがとうございました!
作者からの返信
お読みいただきありがとうございました!
書き上げたのは二年ほど前なのですが、いつでも完結おめでとうを言っていただけるのは嬉しいものです。
田沼意次や松平定信はともかく、メインとなる登場人物は一般の知名度ゼロの人たちなので、分かりやすく描写するように心がけました。時代や政情がネックになっていなかったようで、とても安心いたしました。
各登場人物も応援していただき、嬉しいです。史実の吉太郎、収賄政治家として悪評高い人でもあるのですが、人柄のおおらかさを窺えるエピソードもあり、憎めない人物だったのではないかと思います。金弥とのその後も、なんだかんだ良い関係だったりすると良いのです。
こちらこそ、熱いご感想をいただき、重ねてありがとうございました!
歴史ものは普段読まないということもあり、割と侍チャンバラの印象があったのですが、政略結婚をとっかかりにした政争テーマも面白かったです。
途中で登場する人物のことをwiki引きながら読むことで、人物と出来事が噛み合わさって、なるほどこうなるのか、と発見と納得がありました。吉太郎こと水野忠成がのちに家斉の引き立てで老中となり、田沼家を再興させることを知り、約束は果たされたのだなと物語の外で感動してました。
どこまで心情が歴史通りだったかはわかりませんが、田沼意次→松平定信と政治が移り変わるなかで、定信の政治がそれまでの田沼政治への反抗を示すように厳しい倹約改革だった事実が、物語内で登場した定信の激しいコンプレックスも相まってのものだったとすると、流れにも沿いつつ納得感のあるものとして呑み込めました。その後の歴史で、再び忠成による田沼時代の再来となる流れも、家斉の浪費にもストーリーがあるのだなと頷けました。幼く聡明にみえた家斉ですが、たぶん、歴史の評価的に家斉は暗君寄りではあるのでしょうが……。
実際、江戸の三大改革の、寛政、天保の改革のふたつに挟まれたなかで、田沼政治(とそれを取り巻く政争と人々の感情)の影響が松平定信、そして水野忠邦の改革を引き起こしたと考えると、結構面白い時代と事件をチョイスされたのだなと、後々になってより面白さが引き立ちます。
年老いた八重の回想という形で後日談的にその辺の史実関係に触れたり、田沼家の復権を語るものいいかもしれませんね。八重自身は歴史的にマイナーなので、物語本編と有名な出来事(改革)との接続、影響を考察として交えると読者もそう繋がるのか、となるかもしれません。(一読者の戯言として聞き流してください。)
田沼派からの視点なので当然ではありますが、田沼意次、吉太郎など周辺人物をかなり良心的に描かれているのが、実際のところどうだったのだろうなと思いました。記述者側の視点なので良いとは思いますが、吉太郎に関しては幼い次期将軍に取り入り、威光を笠に着て出世した、かなり狡猾な人物だと思いますし……。
こういうところは史実の綾、といいますか、むしろ想像と創作の余地として面白いところなのだろうな、と感じます。どこまで文献を参考にされたのかわかりませんが、八重視点からするといい解釈だと感じますね。行動的で情に厚い、離縁が約束された夫婦仲の奮闘が活きるキャラ付けだと思いました。
また、八重殿という女性の視点からの政争も斬新で面白いものでした。
昨今では中華後宮(ファンタジー)の流行りもあり、その点でいえば珍しくはないのでしょうが、日本が舞台となるとあまり聞きません。その流れを汲みつつも、日本史の有名どころと接続する、政略結婚が上手に活きる主題を選ばれていると思います。ただ流行りに乗っかるのではなく、それを作者なりに上手く利用されている物語だと感心するとともに、物書きとして見習いたい姿勢です。
八重は見事に歴史に翻弄されたヒロインポジでありながら、それだけでない芯のある強い女性像でした(ここも割と中華後宮ものでみる、女性主人公ヒロイン像の流れだなと得心しました)。
文章の読みやすさ、人物たちの感情をベースにした物語のリードが、歴史ものとしてのハードルを下げていると思います。歴史ものに慣れていないひとにも勧められる、良い作品に仕上がっていました。
長くなりましたが、面白い作品でした。
楽しませてもらいました、ありがとうございました。
作者からの返信
お読みいただき、誠にありがとうございました。
江戸時代について調べた時に、八重の父の立ち回りの見事さに感心しつつドン引きしたので、当事者夫婦は言いたいことも色々あったはず……と思って着想したのが本作でした。史実を参照しながら読んでいただけたとのこと、矛盾や誤謬がないかドキドキするのですが、脚色・純色に納得していただけましたら安心です。
史実の彼ら彼女らの心情について、妻の前夫を引き立てた忠成(吉太郎)、前妻の後添え(?)に頼った意正(金弥)、いずれも何を考えていたのか現代の私の理解の及ぶところではなく、まして八重は公式な記録が残っている人ではありません。なので、(見透かされていると思いますが)意次を含めて分かりやすく、かつ物語的に良いように描いている面もあります。意次と定信の政策の評価についても理解・把握がなかなか手に余り、表面的な言及に留まったのは力不足で、お恥ずかしいところでもあります。とはいえ、家斉など、一般に知られるイメージとのギャップの意外性も面白さに繋がっていると良い、とも切に思っております。なお、忠成(吉太郎)については、「家斉の持病の頭痛を唯一治せたから寵愛された」「家斉の頭痛の理由は、将軍実子の不慮の死に伴って将軍位を得た罪悪感からの心因的なものでは?」という説を見たので、それらを踏まえてこんな造形にしてみました。
八重のキャラクターについても好感を持っていただき嬉しいです。最初は、政争や親の思惑に翻弄された人だったのかな、と思っていたのですが、それだと話が膨らまず……怒りをモチベーションに据えたら途端にイキイキしだしたヒロインになります。離縁というゴールが決まってしまっている中でどうあがくかという設定と関係性と、共感してもらいやすい切り口にできたのではないかと思っております。
歴史を知らない方にも楽しんでもらえるよう、理解してもらえるよう、と匙加減に悩みながら書いた作品です。普段、ジャンルを読まない方にも好意的に読んでいただけたこと、たいへん嬉しく心強く、励みになります。熱い感想をお寄せいただき、重ね重ね誠にありがとうございました!