セフレ・トライアングル 〜恋の三角関係〜
さとうはるき
秘密の関係の果てに。
俺の名前は高杉健太。どこにでもありそうな中堅の普通科の高校に通う17歳だ。俺には親友である幼馴染がいる。名前は斉藤美咲。同じ高校の女子で容姿端麗、品行方正である。彼女には彼氏がいる。その彼氏は学園のアイドルで頭脳明晰、スポーツ万能のエリート生徒、神崎塔矢。しかも趣味が料理。マイ包丁も所持している。俺と美咲は塔矢の手料理をご馳走になり、三人で楽しく過ごしたこともある。彼は生徒たちから絶大な人気を集めている。その神崎塔矢とは中学になって知り合った。仲の良い友達だ。
本来なら神崎塔矢はもっとレベルの高い高校へ行けた。だけど行かなかった。斉藤美沙と同じ高校に行くためにレベルを落とした。二人は高校進学と同時に付き合い始めた。
二人の交際が始めると、友達全員にが祝福した。ただ、俺だけが知っている。斉藤美沙には秘密がある。美咲は実は性欲が強い。その性欲を抑えきれずに、俺と秘密の肉体関係を持っている。俺と彼女は、塔矢と付き合う前からセフレのような関係にあった。
美咲と塔矢の交際が始まると、彼女は俺との関係を終わらせると言った。その言葉に従った。関係を終えた俺は、美咲への気持ちが友情から愛情に変わりつつあった。美咲と塔矢の交際を快く思えなくなっていた。
二人が付き合って一年が過ぎた現在、美咲の様子がおかしいことに塔矢が気づく。
「美咲がおかしいんだ。僕と会っても嬉しそうにしないんだ。なぜだ?」
と、俺に相談をした。俺の想いは限界だった。心が震えるけれど、彼に答えなくてはいけないと強い覚悟を持って言う決心をした。
「塔矢…実は俺と美咲はセフレの関係なんだ。塔矢では満足できないと言っている」
一度は終わらせた美咲との関係。塔矢と美咲は付き合ってすぐに肉体関係をもった。だが、彼女は塔矢では満足できない女性だった。関係をやめた一週間後には俺は美咲のセフレに戻っていた。
俺の言葉に驚きと怒りを見せる塔矢。彼女に肉体関係だけのセフレがいたこと、それが俺だということに。
塔矢は美咲に話を聞くといい、その場は別れた。
後日、放課後の教室で、彼は美咲を連れて俺に会う。その表情は最後にあった時とは違い少し柔らかくなっていた。
「じゃあ、三人で話し合おう。これからどうしようか」
彼は冷静に言った。
話し合いの末、神崎塔矢は自分と斉藤美咲の関係を見直したいと言い、彼女と一度距離を置くことに決めた。その決断を美咲に伝えると、彼女も同意し、二人はしばらく別々の道を歩むことになった。
一方で俺は美咲との関係をやめる気はなかった。彼女と日を重ね、体も重ねていくと、当然のように徐々に親密さを増していく。それでも俺と美咲は恋人ではないセフレの関係。彼女と堂々と学校や家でよく一緒に過ごすようになり、楽しい時間を共有する。やがて、美咲が塔矢と付き合っていることを忘れかけるほど、俺は夢中になっていった。それは美咲も同じだった。
塔矢は俺たちの姿を距離を置いて眺めていた。自分の気持ちを見つめ直しているように見えた。彼は美咲と過ごした時間を振り返っているのだろう。
美咲を見るその目は、彼女への愛おしさを感じ取れた。改めて美咲への愛を再確認しているのか?
その美咲は、俺との時間を楽しむ一方で塔矢への気持ちを断ち切れずにいた。塔矢と別れて俺と付き合おうと言っても、彼女は首を縦にはふらなかった。
俺と美咲を遠くから見ていた塔矢。その塔矢から二人に話があるから放課後の教室に残ってくれと頼まれた。そして放課後、彼は真剣な眼差しで彼女に想いを告げた。俺と付き合いをやめ、自分との関係の再構築を求めた。
美咲も自分の想いを語る。俺と塔矢の間で揺れ動く心を抱え、悩んでいたと。俺たちとどういう関係を築くべきか、過ごす日々の中で美咲は自分の内面と向き合い、自分が本当に求めているものを理解していた。
結局、美咲は俺とともに未来を歩むことを決心する。塔矢は美咲の幸せを願い、優しい笑顔で彼女を送り出す。そして握手を交わした俺と塔矢は互いに微笑み合い、男としての友情を深めていくことを誓った。
その場を立ち去ろうとした俺と美咲を塔矢が呼び止める。彼は机に置いている自分のバックを開き、包丁を取り出した。
「美咲、健太。最後にみんなで楽しい時間を過ごそうよ」
神崎塔矢は包丁を握りしめ、満面の笑顔で僕たちを見ている。
セフレ・トライアングル 〜恋の三角関係〜 さとうはるき @satou-haruki
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