第3話 リバーシ

21巡目。先攻終了時


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先攻●ムーン

後攻〇とうふ


***


右下の白は、自分でもいい手だと思っている。この石を取られてしまうと、もう負けは確定だろう。


パチッパチッ


「よし」


思わず声が漏れた。左上の角を取れる!


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「とうふ様も角を取られました。2000万の場所代を負っていただきます」


望むところだ。

ルール上、2つまでは取っても、プラスで帰れるのだ。


しかし、まだ、下半分がほとんど黒だということが気がかりだ。


順調に二つ目の左下の角を取り、

調子を取り戻したように見えた。しかし、最後の最後で


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この盤面になってしまった。


この時点で、黒34個。白27個。これに気づいたムーンが言う。


「これ、とうふさんが、次に角を取らないと負けますね。勝っても1000万の負債ですよ。払えるんですか」


「だから、負けろと?」


「私が角を取って勝った場合は、とうふさんは死んで、私は1000万の賞金は持ち帰れます。でも、とうふさんが勝ったら、私は死んで、とうふさんは1000万の負債ですよ。Lose-Loseじゃないですか」


確かにそうだ。3つ目の角を取った時点で、多額の負債が確定する。


生き残ったとしても、豊かな人生は送れないだろう。


出会い系で、出会った女にだまされ、ここまで落ちぶれてしまった自分だ。

ここで、俺が死ねば、少なくとも目の前にいるムーンと、彼女の母親は助かるだろう。






でも、




生きたい。




負債を背負ってでも、生きたい。



すまない。




パチッ!


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右上の角を取った。


「なんで・・・」


泣き崩れるムーン。


そのまま動けなくなってしまった。







黒ネクタイのスタッフが感情のこもってない声で警告する。


「ムーン様。このまま石を置かない場合、1分ごとに1000万の負債を背負うことになります。よろしいですか」


「う、うぐぅ・・・」

残された家族への思いからか、震える右手で、最後の石を置いた。


そして、俺も最後の石を置き、


終局


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黒31個

白33個


勝者 とうふ


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