ぼくは負けませんよ?
「大丈夫ですか、あなた達?」
リリムは心配そうにフェンとアマンダ、カマンダを見た。フェンはここまでリリム達を乗せて走ってきたばかりだし、アマンダとカマンダに至っては身の回りの世話のために連れてきたメイドだ。
しかし、フェンはそんなリリムの心配などどこ吹く風とばかりにきょとんとしている。
「…………? ぼくは負けませんよ?」
「私たちも問題ありません」「戦闘メイドの実力、お見せしましょう」
フェンだけでなく、メイドたちもやる気満々であった。メイド服のまま、どこから取り出したのか剣の様子を確認している。
「……わかりました。あなた達を信じます」
そう言って下がるリリムにフェンは大きく頷いて、
「ぜったい勝ちます」
二人のバトルメイドたちは主に深々と腰を折り、
「ご期待には必ず応えます」「無様な姿は見せられません」
そして、フェンの前にはフォルネウスと名乗ったサキュバスが、アマンダとカマンダの前にはセーレと紹介されたサキュバスが立った。この組み合わせで戦うということなのだろう。
「よろしくね」
見た目子供にしか見えない――実際まだ子供なのだが――フェンと、フェンよりも頭二つ分は大きい長身のフォルネウスが向き合って立つ。
「こちらこそ。……武器は持たなくてもよいのですか?」
「うん。ぼくには牙と爪があるから。はぁぁっ……!」
そう言ってフェンが魔力を集中させると、少女の全身が銀色の光に包まれる。
一瞬の後、そこには見上げるほど巨大な一匹の狼がいた。
「ほうほう……これはなかなか」
サキュバスが感心する間もなくフェンが動き出した。
――いくよ。
「あぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!」
その雄叫びが戦いの号砲となった。
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