音楽ランキング SSランク編 ザ・ピロウズ
ザ・ピロウズ SSランク
死ぬまでに聴かないと損する度 100 SSランク
【解説】
音楽ランキングSSランク編、ザ・ピロウズの解説である。
商業的にはけして大成功したとは言えないピロウズだと思うが、その音楽センスは正に天才的、セールスが伸びないのは天才すぎて逆に凡人を置き去りにしてしまった結果と言えるだろう。
ピロウズのフロントマン山中さわおは、中島みゆき、フィッシュマンズ佐藤らと同じく、これは桁外れに凄いと筆者が認める神クラスの作詞家の一人である。
他のSSランクのミュージシャンと同じく、ピロウズの音楽も歌詞とメロディーが完璧な調和を成して、一つの世界を構築している。
その死ぬまでに聴かないと損する度は、文句なしのマックスレベル。
自信を持っておすすめできる、スーパーバンドだ。
筆者とピロウズの出会いは、たしか十年ほど前だったと思う。
それまでピロウズのCDを一枚も持っていなかった筆者は、ブックオフで偶然ピロウズのベスト版を発見した。
その時CDが全品20%オフのセールをやっていたので、じゃあ試しに買ってみるかと購入を決意したのである。
当時はピロウズの曲を全くといっていいほど知らなかったため、『フリクリ』というアニメに使われていた『ライドオンシューティングスター』という曲が聴ければいいなぐらいの感覚だった。
そして、はまった。
はまったというか、染みた。
ピロウズの音楽が、深く心に染みたのだ。
ナンバガの音楽が中毒に陥る音楽とすると、ピロウズの音楽は人生に優しく寄り添ってくれる音楽。しかも、その辺のゴミシンガーと違い、若い時は聴いてんたんだけど最近は聴いてないなーとかそういったレベルではなく、いくつになったとしても聴いていける、正に『一生もの』の音楽なのである。
聴けば聴くほど歌詞が深い。
こんなに『自分のことをわかってくれた』バンドも他にいないかもしれない。
ヤバい、このレベルの高さはただごとではない。
というか、なんでこんな素晴らしいバンドがもっともっと売れないんだ。
ニホンオカシイヨ!!
ミンナモットピロウズキイテヨ!!
マヨユルサナイヨ!!
と、筆者は当時、思わずカイヤになってキレてしまった。(?)
筆者が購入した時はたしか中古で1400円ぐらいしたと思うが、内容が良すぎて一切後悔することはなかった。
というか、この値段でピロウズを知れて、逆にラッキーと思ったぐらいである。
メロディーも歌詞も完璧としか言えないピロウズだが、その中でも筆者が聴いていつも涙してしまうのは、『ストレンジカメレオン』という名曲中の名曲。
全ての歌詞がヤバいレベルのストレンジカメレオンだが、その中でも特にヤバいと感じるのはこの歌詞。
凡百の作詞家が『君が見てきた風景は、全部幻かもしれない』と直接的に表現するところを、山中さわおはこう表現するのである。
『いつか慣ついていた猫は お腹すかしていただけで』
猫は君のことが好きなんじゃなく、お腹をすかしていたから近付いてきただけという、日常の何気ない風景を切り取ることで、伝えたいこと、いや、それ以上の物悲しさや空気感を全て表現しきってしまう、天才的な文学センス。
凡百の作詞家からは、このような表現は絶対に出てこない。
筆者も長く音楽を聴いているが、このレベルの表現には滅多に出会うことはなく、普段好いたはれたの音楽を聴いている人がついてこれないのも理解できる。
考えなくても理解できる歌詞と、考えなくては理解できない歌詞。
売れるのは前者かもしれないが、表現として優れているのは圧倒的に後者だ。
そうして、ピロウズ自身それが分かっていながら、敢えて回りくどい困難な道を通って、歌詞を紡ぎ出している。
この道を通れば、大衆にウケないのは分かっている。
だが、それでも楽な道は通らない。通りたくない。
何故なら、それこそが『自分達の音楽』だから。
『売るための音楽』を作る道を、ピロウズは通れないのではない。
通れるが敢えて通らないのだ。
そうして紡ぎ出されたピロウズの歌詞は、考えなくては理解できない歌詞だからこそ、深い精神性を持って聴く者の心を打つのである。
本当は全ての歌詞を見て頂いて、どれだけハイレベルなのかを一つ一つ解説していきたいのだが、さる筋が目を光らせていたら嫌なので(?)、後は直接聴いて頂きたいと思う。
『ピロウズはとにかく歌詞がヤバい』
少なくともこの格言だけ覚えて頂ければ、今回筆者が筆を執った意味もあったかと思う。
最後に、凡百の作詞家が『君が好き』と表現する歌詞を、天才山中さわおはどう表現するかを見て頂いて終わりにしたいと思う。
『汚れた僕の鏡で 写せるたった一つの 偽物じゃない光 キミは僕の光』
上記は『ワンライフ』の歌詞。
個人的にはストレンジカメレオンと同じくらい、ワンライフも好きだ。
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