第15話
「着いたはいいけど実際どうやって入るんだ?」
ヴァーゼは高い壁に囲まれ、外からでは中がどうなっているのか確認できない。しかも唯一の入り口である門には門番がいて、厳重に警備されている。
「やっぱり商人とかを装って入るか?」
「そんなもの必要ありませんよ」
「おい、どうするつもりだよ」
サフィーラは特に変装するでもなく、堂々と門の前まで歩いて行った。
「あ?嬢ちゃん1人でなんの用だい?」
「なかなか美人じゃねーか、どうせこの街入ったら廃人になるんだ、その前に俺が相手してやるよ」
「あ!ずりぃーぞ、先に目をつけてたの俺なんだからな!俺が1番だろ!」
門番の男たちはサフィーラを舐めるように見ると、誰が1番最初に相手をするかで汚い笑みを浮かべながら言い争っていた。
「はぁ…門番もこの様子ではこの街の程度が伺えますね」
「あ?調子にのってんじゃねーぞ!?」
「【
バゴォォォォーン!!
サフィーラが魔法を唱えると凄まじい勢いの風が門番たちを襲う。そしてその風は門ごと門番たちを吹き飛ばした。
「うああぁぁぁ!!!」
「い、痛え、痛えよ!」
「な、なんだ!?何があった!」
(やめろ!こっちを見てサムズアップをするな!クッソ!なんてことをしてくれたんだ!すごい数の盗賊が集まって来てるじゃないか……無理、絶対無理!このまま逃げよう)
「ご主人様?」
「っ!」
先程まで門の前にいたサフィーラがいつの間にか目の前にいた。
「どうされたのですか?」
「どうされたのですか?…じゃねーよ!なんてことしてくれたんだよ!盗賊さんプンプンだよ!生きて返さないって顔してるよ!!」
「おい、ガキども。どこの手の者か知らねえが、生きて帰れると思うなよ?」
(こ、こうなったらもうやるしかない!弱みを見せたら狙われる!強気で行くしかない!!)
「おいおい。…お前ら雑魚が俺を倒せると思ってるのか?用があるのはお前らのトップだけだ。どけ、三下。田舎に帰って畑でも耕してろ」
「調子に乗ってんじゃねーぞ!」
「ぶっ殺してやる!」
「死ね!!」
(や、やばい!言い過ぎた!一気に盗賊が向かってくるよ!!あ、死んだ…これは死んだ。)
盗賊たちが武器を掲げ迫って来る。しかし、俺の元へ辿り着く前に鋭い何かに斬られたかのように腕や足、首が飛んでいく。
「うぎゃぁあああ!!」
「う、腕がぁぁ!!」
「ガハッ!!」
「うるさいですよ、まるでご主人様が寝ている時のようです」
「え?俺こんなうるさいの?マジで?」
(………それは後で聞くとして、サフィーラの風魔法か!つ、強い!魔法一発で数十人は倒したんじゃないか?これは行ける!!)
「あの女強いぞ!」
「クッソ!まずはあの男を先に始末すr「おい」」
「盗賊王の一味の癖に女一人に情けねぇな」
「あ、あんたは!幹部の一人…剛力のネカさん!!何故こんな所に…」
「大きい音が聞こえたんでなぁ。来てみればこのザマよ。本当、盗賊王の名が泣くぜ」
(幹部?あの大男が?……トゲトゲのハンマー持って顔半分にタトゥーとか、絶対やばいやつじゃん!)
「貴方が幹部ですか?」
「あぁ、嬢ちゃん。悪いが俺は女だからって手加減はしねーんだ。謝るなら今のうちだぜ?」
「いいから早くかかって来なさい」
「そうかい…じゃ、あの世で後悔しな。……うおおぉぉぉぉ!」
大男はハンマーの重さをものともせずサフィーラに迫り、ハンマーを振り下ろす。が、そこにサフィーラは既におらずハンマーの跡だけが残っていた。
「ど、どこへ行った!?」
「地獄で後悔でもしてください」
「なっ!」
グサっ!
いつの間にか後ろにいたサフィーラに気が付き、振り向いた瞬間。心臓を一突きされネカは力無く倒れた。
「お、おい…嘘だろ!ネカさんが一撃で。。」
「そ、そんなバカな…」
「あり得ない…」
(サフィーラが思ったより強い!よくやったぞ!これなら本当に盗賊王を倒せるかも知れない!)
「こんな雑魚たちに構っている時間はない、行くぞサフィーラ」
「はい、ご主人様」
俺たちが進むと盗賊達が避け、道が出来ていく。門を抜け街に入ると、よくゲームやアニメで見るような屋台や建物が並んでいた。そしてその奥には、本当に王様が住んでいそうな程でかい城があった。
(町全体もぬけの殻だな。本当にこの街は盗賊王の一味しかし住んでないのか。…あの奥に見える城に盗賊王がいるみたいだし…いける!サフィーラが盗賊王を倒せば俺たちは英雄だ!そして平和で贅沢な暮らしをすることができる!!)
リキは幸せな未来を思い浮かべ、城を目指し街の中を歩いて行く。
作者「あれ?なんかリキ、思ったより全然死なないんだけど。どうしよう…」
【身代わりの死】「いや、マジで頼みますよ。出番欲しいっす」
【サフィーラの覚醒スキル】「私なんかまだ名前すら出てきてないけど」
作者「ごめん。」
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