第14話
(なぜこうなったんだろう…)
俺は今、盗賊王を倒すために盗賊王が住むヴァーゼという街をメイド服を着たサフィーラと目指していた。
「はぁ……」
「ご主人様、先程からため息が多いですよ」
「当たり前だろ!盗賊王なんて倒したくないんだよ!魔帝の第九席なんだろ?無理じゃん!死ぬじゃん!」
「そうは仰ってもご主人様が言い出したのではないですか」
「いや、言い出したのお前!俺は一言も言ってないわ!」
(こいつ、自分のいいように記憶を改竄してやがる。)
「大丈夫ですよ、私がいます」
「うん、マジで頼む…」
「はい。必ずお守りします」
(村の人すごかったなぁー。村長の家で歓迎会開いてくれたし。サフィーラにメイド服を渡してたし。てか、なんでメイド服が村にあるんだ?…まぁ、いいか。それよりもさっきのサフィーラ怖かった…村の人達に握手を求められて、しようとしたら全部サフィーラが叩き落とすんだもん。しかも笑顔で…)
「ヴァーゼまで後どのくらいかかるっけ?」
「村長の仰っていた通りなら後2日程で着くかと」
「2日か、結構遠いな」
「いえ、短いかと。少し遠回りして行きますか?」
「いや、なんでだよ!?」
(どうやらサフィーラはヴァーゼにまだまだ着きたくないらしい。自分から言い出したのに盗賊王と戦いたくないのかな?なら、今からでも逃げようと言えば、まだチャンスはあるか?)
俺が一緒に逃げようと言おうとした時、サフィーラの足がいきなり止まり、こちらを振り向く。
「ご主人様、誰か来ます。隠れましょう。」
言われて辺りを見回して見るが人がいる気配はない。しかし、サフィーラは確信しているようなので言われた通り隠れることにした。
すると先程まで俺らが立っていた位置にゲートが開き、一人の男が出て来る。
「はぁ…あいつらが帰って来ないからって、なんで俺がこんなことしないといけないんだよ。本当、ついてないぜ。」
(サフィーラあれってさっきの盗賊の仲間かな?)
(はい、そうだと思われます。)
(あれって、ワープだよね。捕まえてヴィーゼまでワープさせれば直ぐ着けるんじゃない?)
(チッ!)
(……サフィーラさん、今舌打ちした?)
(いえ、捕まえて来ますね。)
サフィーラは隠れるのをやめ、盗賊の前に出る。
「あ?なんだお前?なかなか上玉じゃねーか、お前を捕まえて帰れば褒美を貰えるかもな…その前に一発味見しておくか。」
「死ねゴミムシ…」
盗賊はサフィーラを傷つけない為か剣をしまい、戦闘体制に入る。そして距離を詰めようと一歩踏み出した時、すでにサフィーラが目の前にいた。
「な、おまeぶうふぁっぐが!!」
サフィーラは盗賊を蹴り飛ばすと地面に付く前にまた蹴り飛ばす。それを繰り返し盗賊を休む暇を与えず空中でボコボコにしていく。
(うわ。この戦闘シーンなんかのアニメで見たことある。…いやいや!関心している場合じゃない!盗賊が死んでしまう!)
「サフィーラストップ!待って!盗賊死んじゃう!」
俺がサフィーラに近づくと蹴り飛ばすのをやめ、こちらを振り向いた。蹴り飛ばされた盗賊はそのまま地面に叩きつけられる。
「う、うぅ…お、お前らこんな事してただで済むと思っているのか…俺は盗賊王の一味だぞ。」
「チッまだ生きてたのか。」
「え?本当に殺そうとしてたの?ワープさせるって言ったじゃん!?」
(危なかった。止めるのが遅かったら本当に殺されてた…怒ってる時のサフィーラ怖すぎる。。)
「さてと、お前ワープ使えるんだろ?俺たちをヴィーゼまでワープさせろ」
「ヴ、ヴィーゼ…お、お前たち盗賊王を倒しにいくのか?ウヒャッヒャ、お前みたいなクソガキには無理だろうな」
「よし!サフィーラやっちゃっていいや」
「おい!まて、悪かった!ぐはっ、ごめ…ぐはっ、ご、ごめんなさい!て、転移させます!だからもうやめて!!」
———————————————
「す、すいやせん旦那。今からヴァーゼへ転移させていただきやす」
(心よく引き受けてくれたのは嬉しいが、すごい変わりようだな…)
「じゃ、ヴァーゼ近くの隠れられる場所に転移させて」
「しょ、承知いたしやした」
盗賊が用意したワープを潜ると草木が生い茂る森に出た。辺りを見回すと少し離れた場所に6メートルぐらい高さの壁で囲まれた街があった。
「ご主人様、ヴァーゼへ行く前にこの盗賊を逃がして参ります。」
「え?あー、うん…行ってらっしゃい…」
「へへ、それじゃあ旦那、頑張って下さい」
(逃がしていいの?)
サフィーラは盗賊を連れて森に消える。
数分後、機嫌が良さそうなサフィーラが笑顔で森の中から現れた。
「さぁ、ヴァーゼへ参りましょう。」
「う、うん…」
(見えない…俺は何にも見えない。…メイド服にさっきまでなかった血が付いてるなんて全然見えない…)
サフィーラ→リキと2人っきりで歩きたかったのに盗賊に邪魔をされブチギレる。
リキ→村にメイド服がある事に驚くがメイド服姿のサフィーラが可愛くてどうでもよくなる。
いつも作品を見ていただきありがとうございます。忙しくて投稿できていませんでしたが、今日から復活いたします。
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