第9話 ????
バルザ帝国の都市、ラフィーの大神殿に9人の男女が円卓を囲んでいた。
「チッ!いつまで待たせやがる。こっちはわざわざ遠くから来てやってんだぞ!?」
「だまれ、君は黙って待つこともできないのか」
「あぁ?真面目な優等生くんは帰ってママのおっぱいでもしゃぶってな!」
「クッ!貴様は一度痛い目を見ないと分からないらしい」
「いいぜ!やってやるよ!」
2人の男が武器を手に取り戦闘体制に入った瞬間、部屋の扉が勢いよく開かれ、1人の女性が入ってきた。
「すまないな、仕事が立て込んでいてな。少し遅れしまった。」
女性は入ってくるなり席に座ると戦闘体制の2人を見てため息をつく。
「これから会議を始めるんだ、戦うなら後にしてくれ。どうしても暴れたいなら私が相手をするが?」
「チッ!興が醒めたぜ」
「命拾いしたな」
2人の男が席に座ると剣を携え座っていた隣の女性が問いかける。
「それで?全員を呼んでまで会議をすると言うことは、よほどのことがあったのでしょ?」
「ああ、先日巨大な魔力が迫って来ていたことは皆もしていると思うが、私の部下の調査によりその正体が判明した。」
「ほぉ〜う、その存在が儂らを呼び寄せるほどのことじゃと?」
「調査して判明した正体は…黒竜だ」
「こ、黒竜!?」
「黒竜じゃと?」
「そんなバカな…」
「なるほど、僕らをここに呼んだのは襲撃して来た黒竜を討伐するためだと」
驚きの声が上がり、各々が呼ばれた理由に納得し始める。しかし…
「いや、違う…黒竜はすでに何者かによって倒されたと報告が入ってきた」
「黒竜が倒された、じゃと?」
「そ、そんな!信じられません!」
「ナンノジョウダン?」
女性の発言により、皆が驚愕する。
「冗談ではない、事実だ。証拠に魔の森で黒竜の大量の血が見つかった。」
「ん?血だけか?死体は?」
「死体は見つからなかった、きっと倒した者が持ち去ったのだろう死体は全て金になるからな。」
「となるとアイテムバック持ちか、それもかなりの…」
女性は用意した資料を見ながら続ける。
「部下に倒した者の捜索をさせたが、いまだに見つかっていない」
「つまり、全員を集めたのは注意を呼び掛けるためだと?」
「そうだ、相手はまだ敵か味方も分かっていない、もし敵だった場合、とても危険な存在だ。ことが起きる前に情報共有を、と言う訳だ」
ガタン!
「ふん!くだらねえ、なんだと思って来てみれば、居るかも知らねえ奴の心配かよ」
「私たちが負けることがあってはならん。負ければ大陸全土の平和に関わる」
「それがくだらねぇって言ってんだ、負けたやつは勝ったやつに席を奪われる。それが俺たち魔帝のルールだろ。いつから俺たちは平和を守ってたんだ?他人の心配より自分の心配をした方がいいんじゃねえのか?第一席さんよぉ?」
「私とやるのか」
2人は全身にオーラを纏い睨み合う。
「……ケッ!萎えたぜ、俺は帰らせてもらうぜ。」
「勝手にしろ、忠告はしたぞ。」
男が部屋を出ると、一人また一人と帰っていき、会議は終了した。
「まったく、まとまりのない奴らだ…」
一人残った女性は椅子に背を預け天井を見上げながらため息をついた。
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