第7話
「し、死んでいるのか?」
倒れた女性に近寄るとその女性は全身ひどい火傷に加え、腕や足が骨折し別の方向を向いていた。
「はぁ…はぁ…」
「だ、大丈夫か!?聞こえるか?」
(微かに息はあるみたいだな、だがどうする…病院に連れていくとしても、まず街がどこにあるかも分からない、そもそもこの世界に病院があるのか?)
「う、うぅ…」
「運んでいる時間はなさそうだな、ここでなんとかしないと」
(僕がもらったスキルを使って回復させられるか?効くか分からないがとりあえずやってみる価値はあるな!)
「スキル【身代わりの死】!」
…………
(くっそ!何も起こんないじゃねーか…!他になにか、なにかないか…。)
(リンゴ…黄金のリンゴを食べた時、ゴブリンに殴られた傷が回復したっけ。てことは黄金のリンゴには回復効果があるのか?分からないがやるしかない!)
アイテムボックスから黄金のリンゴを取り出し、近くにあった尖った岩でリンゴを割り、実をちぎって女性の口に入れる。
「頼む!効いてくれ!」
ピカッ!!
黄金のリンゴを口に入れた瞬間、目が開けられないほどの眩い光が女性を包んだ。次第に骨折していた手足は元に戻り、火傷で爛れた肌が綺麗になっていく。
「おぉ〜す、すげー!まさか黄金のリンゴにこんな力があったとは…」
光が収まるとそこには、光を反射し黄金に輝く髪に、きめ細やかな白い肌、そして特徴的な長い耳のエルフの女性がいた。
「うぅ…ここは…」
「よかった、気がついたか」
「あなたは…」
「ぼ…俺はリキ、たまたまここを通ったらあんたが倒れてたから、治癒させてもらった」
(しかし、改めて見るとどんでもない美人だな。全てを呑み込みそうな程の深い青色の瞳に、整った鼻筋。薄い唇が凄まじい色気を放っている。
前世でも見たことないくらいのクール系美人だな)
女性に見惚れていると女性は俺が持っているリンゴに目を向けていた。
「それは、もしかして黄金のリンゴですか?」
「ああ、回復効果があったみたいだったから使わせてもらった」
「私なんかにそんな貴重なものを使って下さったのですか?」
「貴重?ま、まぁ…あんたが死にそうだったんでな、助かってよかったよ」
「……」
(なんだこの雰囲気は?なんかヤバいことでもしてしまったのか?なんか怖いし、大事になる前に逃げるか…)
「じゃ、俺はもう行くよ。お大事にな」
「待ってください!」
(まずい!腕を掴まれて止められた!全然ふりほどけねえぞ!こいつどんだけど力強いんだよ!)
「私はサフィーラと申します。私にはもう、帰る場所も行く当てもありません。なので、あなたの側に置いてください…」
「え?いや、ごめんn」
「側に置いてください」
「……」
(この人なんか怖いんだけど…てか、痛い!腕痛い!痛い!全然離してくれないし、適当に撒くか…)
「俺の旅は険しいぞ、お前には付いて来れないだろう」
「大丈夫です。この身を賭して必ず付いて行きます」
「そ、そうか…ならば付いて来い」
(ヤベ、流れで仲間にしちゃったどうしよう…)
いつも読んでくださり、ありがとうございます!昨日はうまく投稿できたなかったみたいだったので、今回はこの後もう1話投稿させていただきます!ハートや星やフォローなど、いつもありがとうございます!これからもゆっくり頑張っていきます。
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