第6話 いったい何が目的なのですか?
さて、ようやくやってきた昼休みの時間。質問攻めをされまくった僕は人目のない旧校舎に来ていた。
「これ、落ち着くのか?」
はっきりと言ってこの騒動は学校全体に影響を与えている。少なく見積もっても一週間は落ち着かないだろう。
とりあえずコンビニで買った菓子パンを頬張る。一人暮らしのため弁当を作る時間がないため、昼は基本的にコンビニか学食の二択だ。昼飯を食べている最中こちらに近づく足音が聞こえた。
「やっと見つけたよ、神川くん」
わざわざ僕を探しに来たなどと発言をしたのは他でもない、この騒動のきっかけとなった有栖院茜。ともう一人。
「ほんとにここにいたんだ!」
有栖院さんの周りは毎回変わる中で常に一緒にいる奴だったな。名前は確か、
「
そうそう舞元さんだったね。
…いや誰ですか!?どうしてここにいるの!?
「ふふん!いい気味ね、神川くん!」
得意げに胸を張る有栖院さん。
「いったい何が目的なのですか?」
「そうだよ!説明してよ、茜!」
「いやあなたも知らなかったの!?」
てっきり舞元さんはいろいろ知っているからここにいたと思ったんだが。
「そんなの決まっているでしょう。神川くん、あなたに嫌がらせをするためよ!」
「なんだよその理由!」
「茜が意地悪っ子になってる!?」
「あなたはなんで何も知らないんですか!?」
舞元さんには驚かされてばかりだよ。
「いきなり気に食わない発言されたのよ。むしろどうして何もしないと思ったの?」
「それに関しては言い過ぎたと思っている。すまなかった」
僕は素直に頭を下げる。
「あら、やけに素直じゃない」
「当然だ。いくら何でも昨日は言い過ぎたと反省していたんだ。本当にすまなかった」
「ふ、ふん!わかればいいのよ。わかれば」
有栖院さんはしたり顔で頷いている。これで一件落着だ。
「あれ、なんか知らないうち終わってる?」
やべ。舞元さんの存在をすっかり忘れていた。
舞元さんに昨日の諸々の事情を説明した。
「へえ。そんなことがあったんだ~」
有栖院さんと舞元さんは弁当でわざわざ教室に戻るのも面倒だということで一緒に食べている。『天才姫』と舞元さんのと一緒にご飯を食べていると学校のやつらに知られたら始末されそうだ。舞元さんも『天才姫』ほどでないにしても容姿が整っている。有栖院さんが清楚系ならば舞元さんはボーイッシュ系なのだ。黒髪のショートヘアで小柄の割には胸もある。さらに陸上部であるため運動神経もいい。もちろん告白もたくさんされているらしい。
「それにしても神川くんって意外と大物なの?」
「なんでそう思うんですか?」
「だって茜に堂々と気に食わないなんていう人なんてなかなかいないよ」
「うっ」
「ジトー」
有栖院さんのジト目。貴重だな。
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