第3話 いやなんです?

「僕はあなたが気に食わない。だからあまり関わらないでください」

「………………は?」



 瞬間場が凍り付いた。

「それってさ、どういうこと?」

 凄みのきいた笑顔で迫ってくる。普通の人なら喜ぶとこなんだろうがあいにくと僕はそんなような人ではない。

「君みたいな上っ面な人間は信用できないし、気に食わないんですよ。そもそも関わったところでメリットがなんです」

「………へぇ。私が上っ面だけの人間だって言いたいの?」

「少なくとも心を開いてない人間に関わろうとする気はないです」

 僕は人を見る目がいいと自負している。そんな僕から見た有栖院さんは自分の内面を見せない狡猾な人物である。あくまで僕の目を通した判断であり、確実な分析ではない。それでもおおよそはあっている。

「っ!なんでそんなことがわかるの!?」

「わかるもんはわかります。それ以外に説明のしようがないです」

「あんたに何がわかるの!?」

「うおっ!?」



 急に逆切れされた。てかちょっと涙目なんですか?

「あんたには私の苦労なんてわからないでしょ!」

「わかるわけないでしょ。他人なんですし」

「なっ!」

 有栖院さんが目を見開く。

「なっ!なっ!」

「いやなんです?」

「なんでもない!」

 有栖院さんはそのまま行ってしまった。

「なんなのですか?まあいいです」

 きっともう関わることはないだろう。そう思って僕は帰宅した。

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