第九十五話 決戦!! 八岐大蛇!!
午前九時五十三分。
ふてぶてしく丸くなって寝ている様にも見えるけど、単にあの姿が基本的な状態って可能性も高い。
あいつはあの状態で待ち構えて、獲物や敵が一定距離に近付いてきたら動き出すんだろうな。
「すまないな凰樹。
「適材適所じゃありませんが、
対GE用の装備を身につけている俺は手にしたM4A1改を確認した。
徹夜でテンションが上がった
これを
「わたくしも支援射撃をしますわ」
不機嫌だった
「俺がチャージしよう。その代わり支援射撃は任せたぞ」
「
「私達も……」
「いや、最終調整を済ませた
俺もM4A1改と特殊小太刀の方にも
こうしてみてると分かるけど、隙があるようで全然ない。
空でも飛べるんだったら可能なんだろうけど、何処から攻撃しても何発かの同時攻撃を全部躱す必要があるぞ。
直接攻撃できるタイミングは多分一回だけ。
その一撃で終わらせないと俺たちの負けだ。
「
「わかりました。輝さんは?」
「一旦
胴体から延びている首が各五メートル、シッポが各七メートル程で胴体部分だけでも三メートルもある。
その胴体におそらく
どこにあるのかが分かればそこだけ狙えば済む話なんだけど、分からない以上そんなギャンブルなんて出来ないからな。
「あの、私達も……」
「やめとけ。レベル差は分かっているのだろう?」
「それはそうですが……。邪魔って事ですか?」
「ハッキリ言えばそうだ。あの二人の呼吸に付いていけるなら止めはしないが」
支援射撃位出来なくはないだろうが、窪内や神坂たちの様な連携は期待できない。
いても邪魔な可能性もあるし、今回は自重して貰おう。
俺と
次の瞬間、俺は
頭部に命中した光の銃弾は一撃で半径四メートル程の光球を発生させ、何本もの頭を纏めて光の中へと飲み込んだ。
なるほど、光球の大きさはそこまで変わってないが、威力がかなり上がってるぞ!!
そしてそのまま胴体、シッポと続けて銃弾を浴びせ、原型がほとんど残っていない位に
今の攻撃で頭と尻尾に
「あれ? 荒城さん、支援射撃して無くない?」
「今はまだその時じゃないんだろう」
そう、その時は今じゃないし、
その瞬間を静かに待つのは、闇雲にトリガーを引くよりよっぽど勇気と覚悟が必要だ。
僅か二十秒後、八つの頭とシッポ全てを完全消滅させた俺はそのまま左側に回り込み、今のわずかな攻撃の負荷でバレル周辺がヒビだらけとなったM4A1改をその場に投げ捨てた。
あのまま使っていれば爆散してたかもしれないな。
「そこですわ!!」
俺が銃を投げ捨てて特殊小太刀に手をかけて再加速をするほんの一瞬。
刹那に発生した一秒にも満たない隙。それに気が付いた
その無防備な首に向かって
その支援射撃のお陰で無事に特殊小太刀を手にした俺は、全速力で一気に
「これで……、終わりだ!!」
最初の一撃で胴体を真っ二つにしたが、内部の
やはりバーストモードでトドメを刺さないと駄目か!!
俺は
内部に溜めこんでいた
「輝の
「そうだな。しかし、
なんにせよ勝てて良かった。
「あの、この銃はしばらく使えそうにありませんの」
「俺の方もだ。おそらく
俺達の特殊トイガンは
そんなに長時間使用していないのにこれでは流石に役には立たないな。
「
「調整に時間がかかりそうですか?」
「窪内君にも頼むつもりだ。完成するのは今月末になるかもしれんな」
あの攻撃を続ける事が出来ればた確かに強力だけど、色々課題が残ってる感じだな。
窪内の調整でどこまで強化できるかは知らないけど、たぶんいつもみたいに戦える位にはしてくれるだろう。
「石化から復活しましたが意識を失っていた防衛軍第三特殊機動小隊の収容完了しました」
「ごくろうさん。小柳達も元に戻ったか。しかし、この結果を聞けば一層矜持は傷付くだろうな……」
防衛軍第三特殊機動小隊の仕事は国土の奪還。
規格外のW・T・Fと戦う事が仕事じゃないし、仕方ないんじゃないのか?
あの人たちがいなければもっと多くの街がいまだに危険区域の中だ。
現場に弛緩した空気が流れたその瞬間、松奈賀が身に着けていた端末が着信音を鳴り響かせた。
「向こうで動きがあったのか? 俺だ」
「松奈賀さん。ヴァ……
「今か? どんなタイプだ?」
「それが……、出てきたのは
F型じゃなくて、MIX‐AのW・T・Fか。
W・T・Fの報告で今までにも似たタイプがいるけど、強力な特殊攻撃を有している
ただ、それはそいつが飛ばなかった場合の話だ。
こっちはF型だけどアフリカの
流石に自由に空を飛び回られると、今の特殊トイガンや特殊小太刀程度だとどうにもならない。
「よりにもよって飛行タイプか。何かほかに特徴はあるか?」
「足の数が一本多いですね。GEにはよくある事ですけど」
「他にも別の生物の部品はあるか? それと、その足はどんな生物なんだ?」
「いえ、三本の足は全部烏の足ですね。他には何も……」
それもしかすると、
こっちに出現したのが
「それもしかして
「俺もそう思う。どちらにせよ飛行型の強敵って事で間違いなさそうだ」
「これ以上の話し合いは現地で行おう」
「問題は武器ですが……」
今や柄に砕けた刀身が付いた特殊小太刀を見せる。
特殊トイガンもヒビだらけだしな。
「その事も現地で話す。最悪の場合、数日待って貰う事になりそうだが……」
「そうですね。まずはそこに行ってからです」
既に飛んで上空を旋回なんてされていたら、その時点で終わりな気がする。
流石に俺でもどうにもならないし、アレが当たるとも限らない。
運よく当たれば倒せるかもしれないけど。
「全員バスに乗ってくれ。急いで向こうに行くぞ」
「わたしたちは行く必要が無いと思うけど、一応行かせて貰うわ」
「そうですね。何かアドバイスができるかもしれませんし」
ここに残っても仕方がないし、この忙しい時に別便で宿舎に送り届ける事もできないだろう。
二体のW・T・Fをじかに見れるなんて、そうそうない機会だし見ておくのもいいんじゃないかな?
あまり見たくないだろうけどさ。
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