第八話 遺棄物回収の話し合い~
「輝さん。
突然、霧養がそんな事を提案した。
【
これは、【石化した後で十年経過した者は二度と元に戻る事が出来ない】という事から生まれた制度なんだが、本当の目的は商店街等に残された物資の回収が目的だ。
近くにある
だけどこの法律が出来た後でも流石に積極的に
「第十二完全廃棄地区か……。確かにあの地区は守備隊の弾薬庫があった場所だし、結構大きな商店街もある。伊藤、第十二完全廃棄地区までのルートと周辺地区の状況は今どうなっている?」
「え~っと、国道沿いは安全ですからいつも通りに輝さんと神坂さんが車を出してくれたら問題ないで~す。第十二完全廃棄地区内も商店街周辺だけでしたら問題なしで~す」
「現地まで国道が使えるのはでかいな。車のバッテリーは充電しなくても持ちそうなのか?」
「流石に心配する距離やないでしょ。皮肉なことやけど
実際に
GEの出現でシーレーンを失った多くの国がいまだにエネルギー問題から逃れられているのは、
免許に関してだが、俺はセミランカーになった時に移動兼運搬用としてかなり手短な講習で車の運転免許を許可されており、同じ講習を受けた神坂や霧養達も同じ部隊の補助運転手として運転免許が許可されている。
「
「貴金属と高級品は全滅だろうな。あそこには宝石や貴金属の専門店や割と大き目のデパートがある。専門店は全滅だろうが、デパートの最上階辺りは手付かずなんじゃないか?」
「最上階はゲームコーナー。その下の階はペットショップだぞ。何を回収するつもりだよ」
流石に売られていたペットは石に変えられて置物か干物だし餌は全部腐っているだろう。ゲームコーナーに何かあるとは思えない。
その下の回は書店で、更にその下の階は服なんかを売っていたような気がする……。ああ、上の方の階にはCD売り場なんかもあったな。
「昔のアイドルのCDが……」
「却下だ!! 大抵の曲はネットに流れているだろう?」
「いや、あの当時のCDなんかは物と状態次第じゃ高額で取引されているんだぞ。もちろん、コレクターアイテムとしても価値が……」
「エレベーターの止まったデパートの七階までダッシュで駆けあがるのか? いい運動にはなりそうだが、途中にGEがいたら相当苦労するぞ?」
「
確かに何とかなるが、狭い階段を塞ぐように
まったくこのドルオタはアイドル関係になると何故かいつもの冷静さを欠片も発揮しやがらねえんだよな。
「
「第十二完全廃棄地区が壊滅した時機的に、例のハードが眠ってる可能性があるとかいうなよ」
「さっすが
なんでもこなせて頼りになる
過去に二度ほど別の場所でこいつらと
周りにいたGEは殲滅済みで既にこれといった脅威が無くなった後だったが、大型の背負いバッグにお宝を満載して出てきたこいつらの顔は忘れない。
「
「ん~と、そうですね~。あの辺りにいる
「攻撃? 破壊じゃなくてか?」
「どうやら破壊に至らなかったようですね~。裏ルートの特殊ランチャーでも使ったんじゃないですか?」
「よほど命知らずな奴がいるんだな……」
GEの行動原理は理解できないんだがどうやら
集まったGEはその部隊がいなくなった後でもしばらくはダメージを受けた
「という事は確実に
「安全だったら私も行きたいかな。今回も何を持って帰ってもいいんだよね?」
一ヶ月程前、ゴールデンウイークの真っ只中の五月三日に逆方面の第七完全廃棄地区で
その完全廃棄地区を支配下に置く
昔ながらの梅干しなどは何とか食えたんだが、発酵系の漬物類は壊滅。缶詰は回収した者の何割かが何とか食える状態だった。
「今回は比較的荒らされていない完全廃棄地区だと思うが、特に貴金属類は全滅だと思うぞ。金目の物は真っ先に回収されるからな」
軽くて価値のある貴金属類がまず狙われる。
そして意外な事にその次に狙われるのは酒類だ。現状ウイスキーなどの銘柄の多くは生産されておらず、輸入物のウイスキーなどは下手をすれば貴金属以上の値段で取引されていからだ。
国産ウイスキーについては一部地域で細々と生産されているので何とか入手可能なんだが、外国産ウイスキーに関しては生産していた場所が壊滅していたりするともう二度と入手不可能なので、愛好家の間ではいくつかの銘柄が伝説と化して語り継がれている……。
「缶詰類もいいんだけど、砂糖とか蜂蜜とかかな。ほら、地味に高いでしょ?」
「前回でも残っていたくらいだし、そのあたりはほぼ確実に残ってるな。考えてもみろ、命がけで
「「「「蜂蜜!!」」」」
伊藤、楠木、
四人とも料理が出来るので調味料などは欲しいに決まっている。粒のままの黒コショウ類が見つかればおそらく即座に持ち帰るだろう。
「お前らに聞いた俺が馬鹿だった。まさか
「いや、貴金属類は食えんだろ? それに、あの辺りは回収後に報告が必要だし、売り買いすると税金もかかるぞ」
「蜂蜜なんかの賞味期限切れ食品類は報告の義務がありまへんからな。レトロゲーム機も似たようなもんやで」
テレホンカードなどの一部カード類に関しては今はほぼ無価値となっているので報告義務はなく、食料品や酒類に関しても報告義務はない。酒に関してはその場で飲まれたら終わりだしな。
「国産の蜂蜜なんて今買うと高いからね。昔売ってた瓶入りの蜂蜜だったら安心だし」
「そうですね~。お砂糖もあると大変助かります」
「菓子類の製作には結構な量が必要だからな。人工甘味料だったらともかく、白砂糖やグラニュー糖類なんかは専門店くらいでしか手に入らない」
砂糖に関しては各地で生産されているので全く手に入らない訳じゃない。
値段は数倍に上がっているので高級品になっているが、人工甘味料が幅を利かせているので全然甘いものが無い訳じゃないしな。
蜂蜜に関しても一定量が生産され続けているので市場にない訳じゃない。それに蜂蜜に拘ってる奴も意外に少ない。
「今週の日曜日は第十二完全廃棄地区に探索。来週は廃棄地区KKS一一五の
「りょうか~い。たっのしみだな~」
「これで今月は食事に困らないっス。たっち! 銃の調整頼む!」
「先約がありますから、あとになりまっせ」
週末の予定も決まり、いつも通りの時間が流れ始める。仲間内でも特殊トイガンの調整は有料だし、部隊として認められるレベルの調整は俺が部隊の運営費から
今回の伊藤や
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます