第6話 地下書庫と知らされる真実

「父様、魔法についての本が読みたいので書斎に入ってもいいですか?」


『それは良いんだが魔法の勉強ならたしか地下書庫の方がいいと思うぞ?初代国王の建国記とかもあって、それには今じゃ誰も使えないような魔法も載ってたしな。地下書庫は書斎の絨毯めくったら入る所があるから。』


「え?この家地下書庫なんてあるんですね!今から行ってきます!メイドさん、食事の時間になったら書庫まで呼びに来てください。父様、ありがとうございます!では……」"バタバタバタッ"


『廊下は走るなよ〜』「は〜い!」


書斎にて……

「お〜なんか秘密基地みたいでわくわくするなぁ〜うわ!重たっ身体強化するの忘れてたよ。じゃあ改めて、よいしょっと!さてと、入りますか〜」


「うわぁ〜埃っぽいなぁ〜 "クリーン" よし、これで綺麗になったし行くか!」

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           :

「階段長くね?何を考えてこんな下に書庫を作ったんだよ……でもまぁ扉見えたしもうひと踏ん張りか……」


 この時ルミネは別に本当に長い思って長いと言ったわけではなかった。早く本を読みたくて読みたくてしょうがなかったが故につい文句を言いたくなってしまったのだった。端的に言えば楽しみをお預けにされてぶつくさ言ってるだけだったのだ。


「あぁ〜ちょー楽しみだわ。魔導書とかあるのかなぁ〜私の想像を超える魔法とも出会えるんだろうなぁ〜頼むから失望させないでくれよ〜よし、開けるか……」"ガチャッ"


その瞬間、ルミネは息を飲んだ……


「なんだこれ……屋敷の地下にこんな大空間があったなんて……これは期待出来そうだ!さて、どれから読もうかなぁ〜」


 そう言って書庫内を見渡し始めたルミネだったが、彼女の視線は書庫の一角にある数冊の魔導書へと吸い寄せられた。そう、前世では創作物の中でしか存在しなかった……


「ネクロノミコンにエイボンの書……おいおいマジかよ、とんでもねぇもんがあるじゃねぇか……」


「おいおいマジかよ……とんだ劇物じゃねぇか!あぁこれなんて旧支配者たちとでも戦えと!?対抗する術を教えられても抗えるわけないだろうが!!そもそもなんでこんな禁書じみたやつがここに……禁書?こんなやばい本は本来王城で保管されるはず……もしかして何らかの理由によって王城で保管することが出来なかった?王家がこれらの本を所有しているのを知られると都合が悪かった。だから王弟を公爵にして、これらの本を管理させた……とかか?まぁこんなこと今考えてたってしょうがないか。まぁとりあえず父様の言ってた建国記でも読もうっと。」


 そう言ってルミネは近くにあった建国記をおもむろに手に取って読みだした……


アレクシス王国建国記  著 初代国王アレクシス

 

"俺、アレクシスはカンパグラという田舎町の農家の息子だった……

でも俺は世界を見たかった。こんな田舎町が自分の世界の全てなのが我慢出来なかったからだ。それで俺はソロ冒険者となった。冒険者として人を助け、色んな人との出会いを経験していくうちに気の合う仲間と出会いパーティを組んだ。彼らは亜人であるというだけで虐げられていた。そんな彼らと共に各地を巡るうちに人間、亜人が分け隔てなく笑顔で暮らせる居場所を……国を作りたいと思った。そして、Sランク冒険者として活動を始めてすうねんが経ったある日、これまで知り合った連中を誘い辺境に俺の膨大な魔力にものをいわせありとあらゆる物を創造し、1つの大きな街を作った。その村の噂を聞きつけた者たちと共に発展させていきに次第に一国家として認められるようになった時、俺はこの国をアレクシス王国と名付けた。これが今日まで続く王国の歴史の始まりだ。"


 この建国記の最後の1ページをめくるとそこにはこの世界の言葉とは違う言語で表紙が書かれた1冊の手記が挟まっていた……その言語はルミネにとって最も身近な言語でルミネが前世で生活していた国の言葉、"日本語"だった……


" いずれ現れるであろう俺と同じ日本人のためにこれを綴る……


 これから話すことの前提としてこの世界には神が存在する。いや、神に等しい力を持つ者達と言った方が正確か。


 彼らの中にはこの世界を見守る者もいる。だが同時にこの世界を混沌に陥れようとする者や破壊し尽くそうとする者も存在する。その邪悪なる者達は俺の時代にも現れて、そいつは俺が打ち倒した。


 ここからが本題だ。君がこの世界に今いるのは偶然では無い。邪悪なる者達が復活するタイミングに合わせて日本人を世界に転生させると地球の神々と盟約を結んだのだ。


 日本人指定なのは手記で説明する都合上、日本語を読める人でなければならなかったからだ。すまない、未来を生きる日本人よ。


 話を戻すが君には奴らを倒してもらいたい。そのためにそこに保管してあるであろう魔導書の数々を有効活用して欲しい。

 

 その部屋の存在は善なる神々を除けば君しか知らない。君の父親と国王、宰相には報告して欲しいがそれ以外の者にはこの情報が伝わらないようにして欲しい。余計な混乱を生むからね。


 何かあれば教会に行くといい。では健闘を祈るよ。


追伸


 この世界で魔法と呼ばれるものについても説明しようと思ったのに忘れてたから今から説明するね。


 詠唱を唱えるTHE魔法みたいなものは錬金術という。これは神のごとき存在によって組まれたプログラム通りに物質と魔力を用いて事象を発現させるものだ。これでは奴らには対抗出来ない。


 一方で魔術は発動者が自前でプログラムを組んで事象を発動させる。今君の近くにあるであろう魔導書に書かれているのがこれだ。そしてこれを使えて初めて奴らに対抗出来る。


 この2つはまだ世界の法則の範囲内だ。だけど最後に説明する本当の意味での【魔法】は違う。


 世界を構成し法則を管理しているのもまた太古に今はいない創造神により作られたプログラムだ。それに干渉し法則を捻じ曲げたり書き換えたりするのが【魔法】だ。俺では到達出来なかったこの領域に君には至ってもらいたい。


 魔力操作はともかく魔力量が足りなかったんだ。魔力は動かして活性化させれば増えるし、使い切っても増える。この世界のことは頼んだぞ!"


「魔法……かぁ。とりあえず父様にこのこと報告しないと!」

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