どんなパンツ履いてるの? ――設定における真面目で不真面目な話
昭和のセクハラではありません(昭和だってアウトだけど)。キャラ設定の話です。
「キャラクターの設定をどこまでするか」はそれだけでご飯5杯はいけるおいしいテーマなので、良い書き手の皆様はこんなセクハラオヤジみたいな話など読むヒマがあったら、もっと他の、真面目にキャラクター設定について語っている創作論を読まれることをお勧めします。私も他の方の創作論をおかずにご飯を食べることがありますし。
何でこんな話をしようと思い立ったのかといえば、とりもなおさず、他に書いている人を見たことが無いからです。おそらく需要がないために誰も書かないのだと思うのですが。
それが「どんなパンツを履いているのか」です。
言うなればその
――衣服の力を軽く見るな。なにしろ肌が露出しているのは手先と顔くらい。それ以外は身につけているものしか見えないのだ。
という、ジャーナリスト、オスカー・E・シューフラーの言葉に全面的に賛成です。
これはまさしくその通りで、私自身、外向けにはレースやフリルのついたフリフリヒラヒラした服を着ていくことが多いため、「性格もゆるふわな人かと思ってたけど、全然違った」と面と向かって言われた経験あり。それだけ『人は見た目が9割』ということで…。
通常であればキャラクターの服装はコートやスーツなどのアウターまで、個性を出すのはせいぜいネクタイの柄や時計などのアクセサリーくらい(もちろん、ラッパーなど特殊な職業集団の人は別)。
それでも、服装でどんな人かが(ある程度)わかる(そしてそれを利用して作者が読者の印象を操作することもできる)、というのは創作では常識では…?
けれども、それはあくまで昼間の話。
一方でパンツは、“露出している”のはその極小の布地が覆い隠しているところ以外は全部、なわけです。
あ、ここで話題にするのはあくまで「男性用」の方です。女性の
こっちは夜の話を書いているわけで、あらかじめある程度考えておかないと、いざ脱がしたときに「どうなってんだ?」となってしまう。
ちなみに、湿度の高い日本ではワイシャツの下にアンダーシャツを着るのが一般的ですが、欧米ではシャツの下はじかに肌なので、日本が舞台で日本人相手のBLを書くことがあれば、脱がせる(脱ぐ)手間が一つ増える。
旧日本軍ならどんなイケメンでもまず
さて、そんな最後の砦を取り除いてしまったあとに残るのが、
英・米の小説を読んでいると、ハーレクイン、BLに限らず、肉体(筋肉)の描写がサラッと織り込まれているのに気づくことがよくあり。幅広の背中とか引き締まった腰とか形のいい尻とかがっしりした太腿とかですね。そこ見てんのかい。
いや、あちらは消防士の筋肉美をカレンダーにして売り出すお国柄だからなぁ…。
あれを見るたびに、文化の違いを感じざるを得ません。
とはいえ、私が子供の頃、〈
しかしここで問題なのは、三人称や特殊性癖のキャラの一人称なら、肩幅が広いだのグレープフルーツ並みの上腕二頭筋だのと微に入り細を穿ち事細かに描写できるのでしょうが、もともとそれほど(同性の)裸体に興味がないキャラだと、目の前の相手の腹筋がシックスパックだろうとまずどうでもいい(=描写する必然性が無い)ということ。
これではいくら(作者が)設定しても宝の持ち腐れというヤツで…。
あと、フツーの日本製BL小説でお目にかかったことが無いのが、“毛”の問題。それから体臭。
まあ、アジア人は一般的に体毛も体臭も薄い方だから…。
とはいえこれもパンツ問題同様、「どこにどれくらい生えてるのか?」を一応考えておかないと、いざという時(いつだ)イメージがわかない。仮に真っ暗闇の中でスルとしても、人間の五感は視覚だけではないので、触ればわかる、ということもある。
普通に書いているときでも、つい視覚描写に頼りがちで、聴覚・嗅覚・触覚・味覚を忘れがちなので、私にとってこの問題は描写の幅を広げる上で重要です(真面目な話だ)。
それから、つい忘れそうになるのが
中東や南欧などではいわゆる男らしさ、セクシーさの必須条件にすらなるというこのヒゲ(セットで語られるが無視されがちなのが胸毛)、まあまず大抵の男性には生えますからね!
別にセクシーさがどうという話ではなく、「定期的に剃らなければ生えてくる」というその性質が、例えば時間の経過を表わす描写になったり、その人の精神状態を表わすバロメーターになったりと、意外と使えるのではないかと思うのです。女性だって、色々なところの毛が「定期的に剃らなければ生えてくる」わけですが、女性の場合は大体が衣服に覆われていて、露出しているところといったら…脱毛しているわけですから。
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