好きな人の好きなものが好き(そして増えていく資料)
創作をしている人のうち10人中9人には頷いてもらえると(勝手に)思っていることがあります。
作者は誰しも自分の創造したキャラクターが好きだ。たとえそいつが子猫を電子レンジに放り込むような極悪人でも、手当たり次第に女と寝るようなろくでなしでも、「こいつマジでどうしようもねーな」と思っていたとしても、我が子同様に可愛いはず(それが読み手に共感されるかどうかはともかく)。
それはほとんど恋愛感情といってもいいほど盲目的な愛なのかもしれません。というのは、坊主憎けりゃ…じゃないけれど、それまで全くキョーミがなかったのに、「好きな人が好きだっていうから」でハマってしまったものがあるから。
これは「もとから好きだった分野を背景(舞台)にして小説を書く」というのとも違うし、「舞台設定のために必要だから調べて書く」のとも違う。
ただある時、キャラクター設定をぼーっと考えていて、どういうわけだかそいつが「私/僕/俺は〇〇が好き」と言い出した瞬間、「ではそれがどんなものかぐらいは知っておかねば…!」という妙な情熱に突き動かされて調べるところから始まります。
もちろん、書き手が見たことも聞いたこともないものを、キャラ設定でポンと出せるわけがないので(そんなことがあるとすればそれはまさしく天啓か、それこそ何かヤバいものに取り憑かれでもしたんだろうと思う)、「過去にどこかで聞き齧った事柄」ではあるわけですけれども。
例えばそれは「車」だったり「ヘリコプター」だったり(やめてくれ、戦闘機だけで手一杯だ)、「フランスの地方料理」だったり「アイルランドの歴史」だったり(その過程で今度はイギリスが嫌いになったり)。
私が一番好きなのは第二次世界大戦(1939〜1945)でその時
どれもこれも、「あなたの背景になっているソレってどんなものか興味あるなあ、知っといた方がいいんだよね、あなたの背景をもっと知りたい」というところからきています。
昔、こちらはまっっったくその気のない人に面と向かって「あなたのことがもっと知りたい」と言われて背筋がゾッとしたんですが、熱量としてはそれに近い。まあ、その方は奥さんと子供どころか、孫までいたので…(ちなみに私の仕事は介護職ではありません)。
この場合は私が好きで調べているだけというか、そのうちキャラ本人そっちのけでその分野にハマってしまったりもするので、ストーカーでもなんでもないんですが。
知れば知ったでそれぞれ奥深くて楽しい。
昔は「ハリアー」を戦闘機だと思っていて、「路駐していたハリアーが盗まれた」というのを、一瞬「まあ垂直離着陸機だからそのへんに路駐できないこともないのか…。しかし犯人はどうやって操縦を?」と思い、その後に「あ、車か!」と思い至るくらいだったのに、今は遠目の後ろ姿でレクサスかどうか当てられるくらいには進歩しました。
特に言語方面は興味が尽きないです。なにせほとんどのキャラが英語話者(またはドイツ語話者、という設定)なので、趣味と実益を兼ねた調べものになっているというか。
とはいえ、調べたからといって面白い話が書けるかといえば、それは必ずしもイコールではないのが辛いところなのですが。
でも、この調子で資料が増えていくのは困りもの…。今はまだ自分の手に負える範囲だからいいですが、そのうち何かのきっかけで「量子力学」とか「広告業界」とか言い出したらもうお手上げだと戦々恐々としているところです。ホントに全くキョーミがないし理解できるとも思えないんですけども。
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