悪魔は細部に宿る――誤字脱字、その他もろもろ

 話が面白かろうとそうでなかろうと、これだけはしないように気をつけているのが、「誤字・脱字・言葉の誤用」。

 こう書くと頭の固い国語教師みたいですが、世の中には、飛ばし読みをしながら誤字脱字を発見できる人、というのが本当にいて、そうした箇所にくると読むのがピタリと止まる。何でしょうね。そこだけ光って見えてでもいるんでしょうか。


 普通に読んでいても、流れが止まる、というのは結構キツいです。物語の世界に浸っていたいのに、突然“現実”が横入りしてくるような感覚になってしまうから。

 それでもストーリーがよかったら読み進められる…と思ったのですが、さすがに、二話に一か所の頻度で誤字脱字が出てきたことがあったもので、“仏の顔も三度まで”で、そこで読むのを断念しました。


 それから誤用。

「憤慨」(ひどく腹を立てる)と「噴飯」(吹き出して笑う)を取り違えていたことがあり、公開後すぐに気付いて修正したものの、あの時ほど「PV 0」が救いに見えた時はない(笑)。


 誤字脱字を指摘されるだけでも嬉しいという方の声はちらほら聞きますが…私はどちらでもいいかなーと思っています。小説を読むことより、誤字脱字の指摘がシュミだというんでもない限り、丁寧に読んでくれたのだろうと思いますし。

 では、自分が指摘するかというと…相反する2つの感情が。


 ①自分がされたら「やっちまったー!!」と顔から火が出て取り下げたくなるほど恥ずかしいので、「自分がしてほしくないことを他人にするな」という銀律から、静かにスルーする。

(ただでさえ、創作なんて自分の空想だの妄想だのを形にして垂れ流しているうえに誤字だなんて…こんなものを衆目に晒すのはハズカシイ)


 ②たとえどんな妄想だろうがエロ小説だろうが、内容はどうあれ真剣に書いているのなら推敲ぐらいするだろうし、そこで気付くべき。それをしていないということは、指摘しても真面目に捉えられるとも限らないだろうから…静かにスルーする。


 何もそんな目で見なくても、という感じですが、この姿勢は、

『夢と冒険のストーリー術 ファンタジー映画を書きたい!』セイブル・ジャック フィルムアート社

 から学びました。


『不正確な細部がライターを殺し得るというのはそこのところだ。誤った細部は以下のようなことを語る。


 1 あなたは気にしていない。

 2 あなたは気づいていない。

 3 あなたは真剣じゃない。

 4 あなたは信頼できない。


 一方、細部が正確だと:

 1 あなたは徹底している。

 2 あなたは配慮している。

 3 あなたは自分のしていることを心得ていて、確信が持てないときには確認をする。

 4 あなたは信頼できる。

 

 ちょっとした細部のせいで、すべてが台なしになってしまうなんてなんとももったいないが、実際そういうことは起こり得るし、起こってもいる。(中略)ファンタジー・ファンは何がインチキで何がインチキでないかを即座に見分けることができる。彼らにとって細部は、貝に入った真珠を形成する砂粒とは違う。それは間違っていればただ醜く、観客の知性を侮辱するものなのだ。』(CHAPTER15 悪魔は細部に宿る)


 ここは設定的な細部について語っているのですが。


 私はファンタジーも、それを描いた小説も好きですし、好きなものには忠実でありたいし、大切に思っている。だから、できるだけのことはしたい。


 とはいうものの、わかってますよ。物事には限界があり、完璧な人間はおらず、実際私のやっていることといったら、調べはするけど、「お願いだからここの結局よくわからなかった細部について、知っている人がこの話を読んで幻滅しませんように!」と祈って「公開」ボタンを押す、の繰り返しなんですから(もちろん、フィクションなので、「わかっていて話の都合上改変した箇所」もある)。

 そしてもし「知っている人」がそれに気付いたとしても、おそらくその人は、①または②の感情に基づいて、指摘をしてこないのだろうということを…。

 だからせめて、誤字脱字くらいは自分で防ぎたいと思うのですよ。

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