好きな本の話は地雷にしかならない
先日、“とうめし”を食べに行かないかと提案してきたヲタク友達との会話(一部脚色):
「よっしー(本名:吉村)、最近何読んでるの。相変わらず兵器?」
「うんまあ……でもちょっとどうしようか迷ってて」
「何を」
「今、空母の本2冊とドレスの本2冊で計4冊欲しいものがあるんだけど、全部買うと2万円近くいきそうで」
「空母とドレス(笑)。全部買いなよ」
「そんなにお金ないしな……。I谷さんは?」
「わたしは時代小説ー。とうめし(豆腐飯。醤油で煮た豆腐をご飯の上に載せただけの、めちゃくちゃ地味な食べ物)は常識だと思ってたんだけど」
「そんなの見たことも聞いたことも無いわ! 大体それよそ行きのご飯じゃないでしょうが」
「そう言われれば確かにそうだわ」
「ファンタジーも読むって言ってなかったっけ? 和洋中どれ?」
「和洋中って、ご飯かよ……。わたしカタカナ人名ダメなんだよね」
「ってことは、和か中華か。わたしと逆だ……。もうこのトシになると漢字の名前が覚えられなくてさ。昔は三国志とかいけたんだけど」
「流行りの作家の名前とか全然知らないしね。村上春樹とか宮部みゆきとか言われても読んだことないし」
「そうなんだよね困るよね、何読んでますかって聞かれて答えても、相手は確実に知らない名前だしね。タイトル答えるとしても……」
「最近読んだ本マジで答えるとしたら何」
「『異常快楽殺人』」〔*〕
「通報されるレベルだ」
ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(フランスの法律家、政治家。美食家でもある)の
“Dis-moi ce que tu manges : je te dirai ce que tu es.”
「あなたが普段から食べているものを教えて欲しい。あなたがどんな人であるか、当ててみせよう」
のもじりで、「あなたが読んでいる本を教えてほしい。あなたがどんな人であるか…」と言うことがありますが……初めてお邪魔した知人以上友達未満の人の家の本棚に『異常快楽殺人』の隣に『人殺し大百科』〔**〕があったら、私なら、ときめく……か? それとも見ないフリをするか……? どっちにしても心拍数上がりそうですが。
*『異常快楽殺人』平山夢明 角川ホラー文庫
『悪魔のいけにえ/テキサス・チェーンソー・マサカー』などのホラー・スプラッター映画のモデルとなったエドワード・ゲインを始めとする、実在の大量殺人者7人の軌跡を連ねたノンフィクション。古本屋でゲット。普段日本人作家の並ぶ棚には行かないのに、通路が人で詰まっていて立ち止まり、顔を上げたら背表紙と目が合ったので購入。
**『人殺し大百科』ホミサイドラボ DATA HOUSE
ふざけたタイトルと発行者名とは異なり、刺殺、絞殺、溺死、毒殺、果ては銃撃から爆殺まで淡々と「人間はどのような方法で死に、あるいは殺され、死体の状態はどうなるのか」までを紹介している本。本業に必要だと思った相方と一緒に購入。死体写真が見られない人にはお勧めどころかページを開いているところさえ隠すべき本だが、殺人ありのミステリーやスプラッタ、医療系小説が好きな人には割と理解してもらえるのではないかと思う。
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