第59話 余談パート3

 ※木原と笠原さんの話し


 「めっちゃムカつくの。丸川と山本をボコボコにして!」

 「ごめん無理だ。六道絡みの件は今は何も出来ない」


 笠原さんは復讐を辞めるつもりはなかった。しかし、木原は羅生天を恐れて今は動きたくない。


 「六道・・・そいつが全ての元凶なのね」

 「あぁ。御手洗と俺の親父は六道のせいで刑務所に行くことになる。親父から六道を殺せと命令されていたが、羅生天に邪魔をされて何も出来なかった。羅生天は人間じゃない・・・あんな奴と敵対するのは勘弁してくれ」


 「桜花院に羅生天・・・面倒なヤツが絡んできているのね」

 「愛子、お前は警察関係者に顔がきくのだろう。親父たちがどうなるか知らないのか?」


 「探りを入れているわ。今はチカン行為で捕まえて、本丸である不正行為や脅迫行為で立件すると言っていたわ。刑務所にぶち込まれるのは確定ね」

 「そうか・・・だから、御手洗の両親はすぐに離婚したんだな」


 御手洗の両親は親父が捕まるとすぐに離婚をした。それはチカンをしたからではなく、財産を母親の名義に全て移し替える為である。これからいろんな訴訟が起きた時の対策である。


 「もう、あなたは使い物にならないわね」

 「そんな事を言うなよ。俺はお前の為にいろんな事をしてやっただろ。俺を見捨てるのか!」


 「私の側に居たいなら私の指示に従いなさい」

 「・・・」


 御手洗の親の権力と財力が無くなった今、木原を守ってくれる者はいない。それに、肝心の御手洗とも連絡がつかなくなっている。木原は強力な後ろ盾の御手洗と最愛の笠原さんという大事な二人を同時に失った。


 「くそ!全て六道のせいだ」


 木原の怒りは全て俺に向けられる。しかし、その怒りを俺にぶつけることは出来ない。それほど羅生天が怖いのである。人は怒りを自分より弱い者にぶつける。そうすることで、怒りを鎮める事ができる。木原にとって俺は弱者である。強者の羅生天には怒りの矛先を向ける事は無い。自分より強い者に怒りをぶつける者は身を破滅する異端者である。人格破綻者と言われる笠原さんでさえ、羅生天や桜花院さんに怒りをぶつけない。自分より弱い丸川さんや山本さんに怒りをぶつける。


 「いつか必ずアイツをぶち殺してやる」


 正しく生きようが、真面目に生きようが、そんなことは神様は見てくれていない。憎悪に憑りつかれた悪魔からは誰も守ってくれない。木原の逆恨みは大きな憎悪に変わり、いずれ木原に憑りついた悪魔は顔を出すかもしれない。悪魔が木原の理性を飲み込んだ時、俺にとてつもない厄災が降り注ぐことになるだろう。



 ※笠原さんの話し


 「どうしたんだ?何をそんなに怒っている?」


 大阪市内のタワマンの最上階の一室に笠原さんと羅生天 雷鳴(らしょうてん らいめい)が居た。


 ※羅生天 雷鳴(らしょうてん らいめい) 18歳 身長185cm 体重65kg 黒髪ロン毛、瞳は金色で少女マンガに出てくるような美系のイケメン。美容学校を卒業して、今は美容師の見習いをしながらモデルをしている。羅生天家の長男で父の鳳凰(ほうおう)が次期後継者として育てている。


 「あなたの弟が悪いのよ」

 「龍神がお前に何かしたのか?」


 笠原さんは詳細を説明する。


 「またそんなくだらない事しているのか?」

 「だって丸川が生意気だから・・・」


 笠原さんは雷鳴の側では借りてきた猫のようにおとなしい。


 「お前には輝かしい未来が待っているんだ。つまらない事で台無しするな」

 

 鳳凰グループは関西で展開している美容院をメインとして、美容関係の事業を拡大し、モデル事務所も経営している。笠原さんは鳳凰モデル事務所のイチオシモデルであった。だから、あまりトラブルを起こして欲しくないのが雷鳴の本音である。


 「うん」


 笠原さんは子猫のような鳴き声で返事する。


 「後、絶対に銀(しろがね)とはトラブルを起こさないでくれ。これは俺からの頼みではない。父の鳳凰から言われてる」

 「うん。約束は守るから○○のバックを買って」


 「わかった」


 基本、雷鳴は笠原さんの頼みはなんでも聞いてあげる。お金は父親の鳳凰から好きなだけ使っても許されている。このタワマンの最上階の一室も鳳凰が与えたものであり、雷鳴と笠原さんの愛の巣となっている。

 数多の男を虜にする笠原さんだが、唯一自らが虜になった男が羅生天 雷鳴であった。

 


※笑さんと鼓さんの話し


 「笑、起きるのよ!」

 「後5分」


 笑さんは松井山手駅近くのマンションに鼓さんと2人で住んでいる。笑さんの母親は鳳凰と離婚して笑さんだけを引き取った。笑さんの母親は仕事が多忙な為、笑さんとは一緒に住むことが出来ず、鼓さんと一緒に住んでいる。


 俺と一緒に通学できないとわかった笑さんは、ギリギリの時間まで睡眠を取る。


 「もう、早く起きなさい。遅刻するわよ」


 鼓さんは笑さんを起こすために30分早く起きる。最初は普通に声をかけ、次は布団を剥ぎ取り、最後は水をぶっかけて笑さんは起きる事になり、笑さんは目を覚ますとお風呂に40分入る。お風呂はもちろん鼓さんが沸かしている。笑さんがお風呂に入ってる間に、鼓さんが2人分の朝食とお弁当を作り召使いのように動き回っている。


 「行くわよ笑」

 「おう!」


 こうして二人で登校していた。


※作者からのお願いです。よろしければレビュー⭐️⭐️⭐️での評価をして下さい。

 


 

 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る