このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(166文字)
この小説は、花になって夢の中で想い人に触れる女性の物語です。彼女は現実では記憶喪失で、彼女を愛する男性の秘密も知りません。この小説の魅力は、花のイメージや感情が美しい詩的な言葉で表現されていることや、夢と現実の境界が不明瞭になっていることです。読者は、彼女の夢の意味や彼女と彼の関係や彼女の秘密に興味を持ちます。五感に訴える描写も素晴らしいです。
面白かったし、美しかった!とにかく、小説の雰囲気を作るのが上手だと感じました。比喩表現にはどれも柔らかく、温かい。花をテーマにした小説ということでその雰囲気を醸し出しています。面白い、美しいなど小説を褒めるときにはいろいろな言葉がありますが、「素敵」という表現がもっとも正しいんじゃないかな。心が洗われる。読んでいるとそんな気がしました。
一輪咲く華が秘める想い。それは、幾年も、何回も生まれ変わり、やがて実を結びます。 思わず、道端に咲く華にも愛情を注いでいきたくなる物語です。 美しく、可愛く、そして優しい時間をこの物語と共に過ごしてみてはいかがでしょうか。