◆バリューセットでお得に異世界生活?
【異世界転生しますか?】
Y/N
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【以下の特典が受けられます】
・異世界バリューセット
・キャラクターメイキング機能
・各国共通通行書
・検索機能付き世界地図
・ログインボーナス各種
・初期資産:金貨3000枚/銀貨10000枚/銅貨100000枚
・初期装備:冒険者セット
【それではよい異世界生活を】
◆◇◆◇◆
その日は朝からなんとなくタイミングが合わなかった。
朝起きてみれば時計の電池が切れていて15分ほど寝過ごした。
いざ身なりを整えて大学に行くためにバスを待っていたら、事故渋滞に巻き込まれた様で代走バスが着くまでに30分の遅れ。
そして電車は快速が来ない時間帯に突入し、鈍行で普段よりも20分多く揺られることになった。
そして最悪な事として、電車が脱線事故を起こした。
幸いにも被害が小さくて何よりだった。
そう、小さかったのだ。
それは、死んだのが俺だけだった、という事だ。
◆◇◆◇◆
「大変に申し訳ありませんでした!」
目の前にはキレイに土下座をした女性がいた。
いや、目が覚めた途端この江絵ずらって何なんだろうか?
というか俺だけ死んだはずだよな?
死んでるのに目が覚めたってなんだこれ?
「ええとですね、
「うわっ! もう一人いた!」
「はい、おります。私、この土下座している者の秘書です」
「本当に申し訳ありませんでしたぁ!」
土下座をしている女性と横で涼しい顔をしている女性を見比べ、とりあえず話を聞けそうな涼しい顔をしている方にむきなおる。
「ええと、説明を聞いてもいいかな」
「はい。私共はいわゆる異世界渡航管理局の者でして」
「いせかいとこうかんりきょく」
「こちらの地球とは業務提携をさせていただいているんですよ」
「ぎょうむていけい……」
涼しい顔をした女性……異世界渡航管理局局長秘書のララベルさんによると、地球はサブカルで異世界転生だのの存在がフレシキブルに浸透しているので、特に日本からの異世界転生者を多く渡航させているようだ。
ある意味、未発展な生まれたて異世界のカンフル剤としての役割を持たせているようで、適材適所な感じで人材マッチングをさせているらしかった。
「端的にいいますと、我が局の演算システムである【リミット】が人為的原因により
誤作動を起こしまして……」
「人為的原因て……まさか」
ふと、土下座したまま動かない女性に目を向ける。
「はい、そうです。このポンコツ局長であるチックルが【リミット】に珈琲ぶちまけまして……」
「ごめんなさいですううううううう!!!!」
「こーひー……」
「しかも極甘で有名なマッカンを」
「まっかん……」
それはひどい。
「それにより地球世界との同期現象が行えず、時間や事象のずれとして聖李様にのしかかってしまいました。結果、朝の目覚ましを始めとしてちょっとしたタイミングの悪さが加速してしまい……」
「死んでしまった、と」
「ごめんなさいいいいいいいいい!!!!」
◆◇◆◇◆
そんな訳で。
詫び石ならぬ、詫び異世界転生となりました。
キャラクターメイキングで作った強化素体に魂を入れることで、異世界での活動がやりやすくなるそうだ。
地球での体はもうお骨になったそうで、いくらなんでもそこはどうにもならないんだそうだ。
正直、怒りはあったかもしれない。
でも綺麗に土下座していたり、涙と鼻水だらけの顔と、マッカンで汚れた服をみているとどうでもよくなったのは確かだ。
それに、ちょっとワクワクしている。
犯罪さえしなきゃ、好きなだけ生きてていいって言われてるし。
第二の人生、楽しんでいこう!
そして、異世界バリューセットなるものがとんでもない物だったと知るのは、この世界に来て数日後のことだったと追記しておこう。
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