令嬢は楽しみたい
さてさて、面白くなってきやがりましたわ!
流石テンプレ、流石王道、流石n番煎じ!
アホの第二王子と胸と化粧だけ特盛した取り巻きの女どもからの、卒業パーティでの冤罪告発からの華麗なる婚約破棄!
全校生徒が証人ですわね!みwなwぎwっwてwきwたwwwwwってやつです!
ああ、面白くって可笑しくって呆れまくって、なんて楽しいのかしら!
「聞いているのか!?リズベル・アークナイツ!」
「ああ、すみません。ちゃんとオート機能で流しております。ログも確認できてますのでどうぞそのままお話をお続けになって?」
「オート機能……?ログ?……いや、それよりも!お前がこの者らにした仕打ちがだな!公爵家の令嬢にあるまじき行為で……!」
ええ、ええ、わかりますわ。わかりますわ!
私の【
「~~~よって、この場でお前との婚約を破棄するぞ!」
ドババーン!というテロップと例の採石場での爆発を背負ったような勢いで、そう私を指さすアホの第二王子は、得意げにそう声を上げました。
その後ろではクスクスと笑う女ども。
胸と化粧と同じように、教養と知識を盛れば今ご自分がしていらっしゃる事の重大さが解ろうものですが、そうでないからここにいて、この状況を嗤っておられるんでしょう。
ああ、嘆かわしく、なんと哀れで可哀想な方々なのでしょう。
ちょっとだけ行く末を考えると面白くなってしまいますね。
「はい。解りました!ではこれからわが父にご報告の後、陛下へのご相談後、双方に婚約状態を続ける気ナシとのことで処理させてもらいますわ」
「え?」
「貴方の名前すら覚えてませんので、それでよろしいかと。それと……、メイツ家、ランデル家、ハウル家、グイナーク家、ジェネットルフ家の御令嬢方、今後お会いできなくなるのは寂しいですが、一時、第二王子の周りを華やかにして下さってありがとう。見ていてとても極彩色豊かで楽しんでおりましたのよ……」
これは本当ですわ。
やれ流行のドレスの形だ、色だ、素材だのなんだの爆盛でしたもの。
さながら第二王子を彩る南国の植物園の様でした。
あれらを薄目の遠目で見ている分には楽しかったので、もう見られないのは残念ですね。
「ま、まて!この者らに謝罪はないのか!それと私とお前はいとこ同士だろうが!なんで名前知らないんだよ!」
という第二王子のキレッキレの言葉に、はて?と首を傾げる。
「もしかして、名前を憶えられると思っていたんですか?私に?」
「は?おい、どういうことだ!」
「私、【小人閑居して不全をなす】方の名前など一切覚えないようにしてますので……。まさか貴方様が私に名前を憶えてもらえると考えていることすら思い付かなくて……」
「しょうじんかんきょ……?とは……?」
知らなくて当然ですわね。
徳のない、品性の卑しい人は暇であるととかく良くないことをする、という意味ですわよ~!
一応婚約者がいる身なのに、肌を見せるようなあられもない改造制服姿の女生徒を侍らすような方に、品性を説いてもねぇ?
「謝って欲しいのであれば謝りますが、それが家格が上の者に対してのふっかけ冤罪であった場合、その後のお家の処置がどうなるか位は解ってますわよね?皆様貴族の御令嬢ですものね?」
という私の言葉に、メイツ家、ランデル家、ハウル家、グイナーク家、ジェネットルフ家の御令嬢の方々はサーっと顔を青くし、謝罪しなくてもいいと口々に言い始めた。
「お前たち何を言っているんだ!学園内でリズベルにされた仕打ち……。魔法の授業中に狙われて危ない目にあわされたとか、お茶会をぶち壊されたとか、制服をダメにされたとか色々と100近い罪を報告してきただろうに!」
あら、そんなに罪をでっち上げたのですか?一人頭20も?
その知恵を別方向に向ければよかったのに。
やはり胸と化粧を盛る以外、能が無かったのですねぇ。
「誤らなくていいそうなので、このまま御前を辞しますね、では」
私は会釈をしてから第二王子の前から踵を返し、その場を去った。
その後、お父様より国王陛下へのご相談がされ、多額の詫び石……ではなく慰謝料と共に、第二王子と取り巻き令嬢達の処遇を聞きました。
メイツ家、ランデル家、ハウル家、グイナーク家、ジェネットルフ家は王家からの支給金一年間分を私への慰謝料として支払いを命じられ、3年間の減給処置。
令嬢たちは卒業と同時に行うはずだったデビュタントを延期し、2年間社交界への参加を禁じられ、同期間ボランティア活動を課せられました。
まぁ、家格が上の者に対しての吹っかけ冤罪もさることながら、王族を謀ったことも加算されたのでしょう。
これに関しては第二王子がアホだったから騙された事なので、ちょっと可哀想ですが、今飲んでいるトロピカルフルーツジュースが美味しいのでそういう事なんでしょうね。
第二王子は王位継承権を一時凍結。
今後5年間みっちり再教育の後、貴族院と元老院を交えての審議で解除するかどうか決めるのですって。
まぁ、第一王子は健在で逸材、側妃の子である第三王子も聡明で数々の問題を解決してるとかで、アレが居なくなっても問題はないでしょう。
私はというと。面白おかしく伝播された『間違った婚約破棄騒動』のおかげで一人、他国でのんびりしております。
ただ……。
「リズベル!一緒に遠乗りにいかないか!?」
と、学園にたまたま留学していたこの国の第一王子、シャルヴァ様が良くお誘いに来ることが最近の悩みでしょうか?
さてさて、今後の私がどうなるのか。
楽しみで仕方がありませんわ!
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