第13話 試練の末

アビは戦っていた。


トトは見ているのが辛かった。


「トト、辛いか?」

アヌビスは言った。

「はい、だが彼奴が決めた事。ワシにはどうしようもできない」

トトはポツリと言った。


アビの身体は限界なんて当に超えていた。

空の想いだけで戦っていた。

あと10体。倒せば空に会える。


腕も足も肉がえぐれて骨が出ている。

身体中傷だらけで立っているのが奇跡だった。


アビは1体づつ倒していく。


残り1体。アビは全力で立ち向かった。

空に会うために、渾身の一撃を喰らわす。

アビは勝った。


「空!やっと君に会える」


そして気を失った。


トトはアビを部屋へ運んだ。

「アビ、よくやった」と涙を流していた。


トトは何日も何日もアビに治癒魔法を唱えていた。アビは全く反応がない。

トトは諦めらずに全身全霊でアビの回復を手助けした。


どうか戻ってきてくれ!


アビは狭間にいた。

真っ白な何も無い空間に漂っていた。

私は何をしていた?何故ここにいる?

アビは思い出した。

私は戻らなければならない。

「トト、空、私に力を貸してくれ!頼む!」

すると一筋の光が差した。

アビは必死で光に向かって走り出した。


アビは目を覚ました。

そこには痩せたトトがいた。

「アビ、戻ったか!」

トトは号泣していた。

「ああ、トト。随分痩せたな」

「お前に比べりゃ、ほんの僅かじゃ」

二人は笑った。


「アビ、ワシも一緒に行くから頼む」

「いいのか?トトならここの方が居心地はいいと思うが」

「ワシはお前達の行く末を見てみたいのじゃ」

「そうか、トトが決めたならいいさ。一緒に行こう」


トトはアヌビスに報告した。

「アヌビス様。彼奴が回復したのでワシらは人間界へ出発いたします」


「その時がきたか!行けーい!」

アヌビスは愉快そうに笑っていた。


トトとアビは降り立った。

久しぶりの人間界。

そして、目の前には空の自宅がある。


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