第8話 思いのままに

夏休みもあと5日だった。

アビとも進展がない。私は落ち着かない気持ちで毎日を過ごしていた。

どうしよう、この気持ち。悶々としている。


だから私は部屋にこもって好きなマンガを読んでいた。


「空、全然降りてないけど具合悪いのか?」

アビが入ってきた。

「全然元気だよ。マンガ読んでたの」

アビがベッドに座って安心した顔をしてた。

「それならいいんだ」

と私の頭を撫でる。

私はドキドキした。

「下に降りないか?」アビが聞いてきた。

「うん、もう少し読んでから」

「そうか」と寂しそうに見えた。

「アビ、一緒に降りるよ」

とベッドから立ったらバランスを崩した。

アビがしっかり受け止めてくれた。

私はドキドキして止まらない。

この匂いが心地良い。

私は気持ちが制御できないでいた。

もう、たまらなくなり我慢するのをやめた。


「アビの匂いが好き」

と言って私はアビに抱きついた。


「空、どうした?」


私は熱いキスをした。アビも強く抱きしめる。

何度もキスをした後に

「アビがほしいの」と私は囁いた。

「空、いいのか?」

私はアビにそっと口づけをした。

彼は優しく私を愛撫してくれる。激しく揺れながら彼の美しい身体が汗ばんでいる。私は深い青い瞳に吸い込まれていった。

私達は時間も忘れて愛し合っていた。


「空、アビが居ないが」

とトトが入ってきた。


私達はびっくりした。

トトもびっくりした。

「すまん」と言って出ていった。


私とアビは笑って「また後で」

と言って居間に戻った。


「いや、すまん。邪魔をして」

トトは凄く慌てていた。

「大丈夫だよ。こちらこそごめんなさい」

と二人で謝った。


アビは夕食の準備を始めた。

私はお風呂に入った。

まだ身体が熱ってる。アビの感触が残ってる。

私大胆だったかな。考えたら恥ずかしいなぁ。


上がって髪を乾かしていたら

「どうじゃった?いいもんじゃろう?」

トトがエロジジイに見えた。

「トト!私今を楽しむ事にしたの」

「そうじゃな。空は脱皮して美しい蝶になるぞ」

「お腹すいちゃった」

「そうじゃろう、そうじゃろう」

トトは嬉しそうだった。


アビが待っていた。

私は恥ずかしくて戸惑っていた。

「ほれ、いただきます」

トトの号令で食事が始まった。

いつものように3人で楽しく食事をした。


私は片付けをして

「アビお風呂どうぞ」

「ああ」

そしてパンツ姿でウロウロしているアビ。

アビが私を抱きしめにきた。そして熱いキスを交わした。

「アビ、どうしたの?」

「空が可愛くて」

私は胸が熱くなった。こんなアツアツでいいのかな?

私は視線を感じた。

「トト、隠れなくてもいいよ」

「バレてたか。いいのー若い子は。好きなだけやりなさい」

「トト!エロジジイになってるよ!」

「ハッハッハッ!何とでも言ってくれ」

とトトは部屋に入っていった。


アビは私を求めてる。私もアビが欲しい。

「アビ、今夜から私の部屋で一緒に過ごすのはどうですか?」

アビは笑顔で私を抱きかかえて部屋まで運んでくれた。アビの匂いがやっぱり好き。

「空と一緒ならどこでもいい」とつぶやいた。


二人は一晩中愛し合った。


同じ朝とは思えないほどスッキリしていた。

アビも目を覚ました。

朝から熱いキスをしてラブラブの私達。

「アビ、夜だけだよ。私も我慢するから約束して」

「ああ、大丈夫だ」

と指切りをした。


トトが待っていた。

「おはよう、お二人さん」

「トト、おはよう」

「空、フェロモンがプンプン出とるぞ」

「えっ!本当。人間にも分かる?」

「交尾男には分かるじゃろうな」

「気にしないようにする」

と私は言った。


あっいう間に夏休みは終わった。

今日からアビの愛情弁当を持って大学に行った。

久しぶりの講義は疲れた。

屋上でお弁当を食べていた。

「空ちゃん!見つけた」

七瀬先輩だった。

「若菜ちゃんに聞いたら屋上だって言うから」

「先輩、あれから大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。トレーニング続けてるお陰で中々のいい身体になってきたよ。今度披露しようか?」

「ああ、結構です」

「空ちゃん、冷たいよ。それよりアビさんと何かあった?何かいつもと違う匂いというか感じがね」

「えっ!いつも通り変わらないよ」

トトが言ったとおりだ。先輩には分かるのかも。

「はぁ、勘違いだったかな?また、今度遊びに行くね」と爽やかに言った。

「来る時は連絡して下さいね」

「うん、するよ」


「ただいまー」

「おかえり、空」

アビが迎えてくれた。

「今日のお弁当美味しかった。ありがとう」

「そうか」

私を抱きかかえてソファに座った。

アビは寂しかったと言わんばかりに熱烈なキスをしてきた。私は幸せいっぱいだった。


「空帰ってたのか?」

「トト、ただいま」

「アビに抱っこされて幸せそうじゃな」

「トトも幸せでしょ」

「そうじゃな、お前達を見てると幸せじゃ」


「ねぇ、アビ。トト元気ないけど何かあったの?」

「私達が帰る為の石が全く見つからないのだ。手掛かりもなくて」

「そうだよね。帰るんだよね」

私はいつかその時が来ることは知っていた。

後悔はしない。自分で決めたんだ。

「空、私を信じて欲しい」

「アビ、大丈夫だよ。昔の私じゃないもの」

「空は強いな」

アビは悲しげだった。


アビは毎晩私を抱いてくれた。私もそれを望んでいた。


アビは時折魂を食べにこっそり抜け出して朝方戻ってくる。仕方のない事。私は知らないふりをしていた。



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