(5)デュエル!!
「ガハハハハ! 本当にキサマはサマナーか?」
パンチョビはお腹を抱えて爆笑している。
蓮が悲鳴のような声で疑問を口にした。
「えーー!? さっきはアルティメシアンが出てきたのに」
「コブリンを倒した緊急召喚は、敵意を持ったモンスターがいるときしかできないペギよ。サマナー同士の戦いは
「デュエルだって?」
悠真が驚きの声をあげると、パンチョビがペギーの言葉に同調する。
「そうだ。サマナーが己のプライドと、代償を賭けて勝負する。それがデュエルだ!」
「代償が必要なのか……」
「ぼ、僕たちに出せるものなんてないよ。あ、服なら――」
「絶対イヤよ!」
悠真たちはこの世界に飛ばされてきたとき、ランドセルすら元の世界に置いてきてしまっている。賭けられるようなものなど持っていない。
ふと、パンチョビの視線が真龍アルティメシアンに注がれていることに気づいた。
――まさか!?
「それなら、お前の持っているモンスター、『真龍アルティメシアン』を賭けろ」
「それは……ッ」
悠真の不安は的中した。
真龍アルティメシアンは悠真が初めて当てた最高ランクのレアカードだ。
デッキの切り札というばかりでなく、悠真にとっては相棒のような存在。
そんなアルティメシアンを賭けるなんて……。
横を見ると蓮が不安そうな顔をしている。
平気そうな顔をしている陽菜だって、見知らぬ世界に飛ばされて不安でないハズがない。
二人を元の世界に帰す。
そのためには、パンチョビをデュエルで倒すしかないのだ。
このデュエルに勝ちさえすれば、アルティメシアンは失わないし、みんなで元の世界に帰ることができる。
悠真の心は固まった。
「わかった。アルティメシアンを賭けよう」
「ガハハハハ! ではオレ様は『お前がこの山の立ち入る許可』を賭けよう。それでいいな?」
「わか――」
悠真が同意しようとした瞬間、蓮が大きな声でさえぎった。
「ダメだ、悠真! それじゃ悠真だけしか立ち入り許可が貰えないよっ。『悠真が仲間と共に、この山に立ち入る許可』をアイツに賭けさせて!」
危うく騙されそうになったところを止められ、悠真はパンチョビをにらみつける。
「おおっと。気づかれちまったか」
「お前……俺を騙そうとしたのか?」
「騙すなんて人聞きの悪い。契約っていうのは自分が優位になるように結ぶ努力をするもんだ。気づかない方が悪いのさ」
「……そうか。わかった」
コイツに何を言ったってムダだ。
悠真の心は怒りに燃えていた。
元より負けは許されないデュエルだったが、さらに負けられない理由が増えた。
コイツはボッコボコにしないと気が済まない。
「ふん。『お前が仲間と共に、この山に立ち入る許可』を賭けてやる。それでいいか?」
悠真は蓮を目を見る。蓮がうなずいたのを確認して「ああ。いいよ」と答えた。
ふたりのカードデッキが光って浮かび上がる。
「あとはデュエルを宣言すれば契約成立。試合開始だ」
「そうか。さっさと始めるぞ」
「「デュエル!!」」
決戦、開始。
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