真の殺し屋
@yyysssaaa
初戦
伝説。この世には様々なる伝説がある。
この物語はそんな伝説の中でも、
最もはちゃめちゃな伝説。
「ルルルー、ルルルー」
黒光りのスーツに身を包む。闇に紛れるには丁度良い。25階の屋上。対象のビルから750mの距離。
大きなアタッシュケースからとり出すのは、
人を簡単にあやめることのできるもの。
「ルルルー、ルルルー」
田嶋重工業の中津。役職は社長。
最近不透明な金の動きが目立つ。
勿論そんな事は大した問題ではない。
会社なんてそんなものだ。問題は金に目がくらみ好き勝手に動いたこと。人を裏切ったこと。
「ま、どうでもいい。コイツを殺せば、俺の得になる。散々人を裏切って、その螺旋の中には死人も出たことだろう。追い詰められて自殺したもの、巻き込まれて破産したもの、そいつらの報いだ。死んで然るべきな、人間だぁ」
中津に照準を合わせるまでのスコープに、無駄な動きは一切ない。ブレ、風、それらを考慮して照準を動かす。
「基礎の基礎だ。人を甘くみた報い、だな」
引き金に手をかける。ここまで来て逃したやつはいない。
「ルルルールルルーじゃあーな、なかつーちゃ…」
「はいストップー」
「なんだ、なんだ。誰だお前は」
黒光りのスーツの男はスコープから思わず顔を逸らし、後ろを振り向いた。うつ伏せでターゲットを狙っていた為、まだ立つことができていない。
「おれ?俺は中津のボディガードだから。残念ながらおまえはここで、オジャンだ。わかるな」
「オジャン?オジャンってなんだ」
「わからないのか、だったらそれで良い。知らないことがいい事もある」
「あーーーーー」
黒光りのスーツは雄叫びを上げた。その声は中津にまで気づかれるくらい大きかった。
「どうした?急に大きな声だして、びっくりしちゃうだろ。勝負か?大きな声だせるか勝負か」
黒光りスーツはこの間も、何かを吐き出すかの如く叫び続けている」
「あーーーーーーーー」
「あーーーーーーーー」
「あーーーーーーーー」
「あーーーーーーーー」
「あーーーーーーーー」
「どうだ、もっと出せるぞ。こんなもんじゃないぞぉ。あーーーーーーーーー」
「黙れ!俺は初めてなんだ!今まで引き金に手を掛けた相手は誰であろうと殺してきた!それがなんなんだよ!お前は」
「それで叫んでたのか。俺は中津のボディーガードだ」
「それは分かってる。お前があのくそったれのボディーガード、つまりフンにたかるハエだって事は分かってる」
「ハエだ!俺はあのくそにたかるハエだ!お前の言う事は最もだ。俺だってあんなののボディーガードしたくない!」
「なら止めるなよ。お前だって分かってるんだろ。中津のクソ具合」
「クソを殺すクソがいて、クソを守るクソがいて。そのクソのクソ同士が互いにクソし合う。それが今の状況だ」
「この私を止めるものがこれ程の奴とは。本当に情けない。自分が情け無い。悪いが一度引く。今のこの環境ではややお前にぶがある」
「引くのか?どうやって引くんだよら、ビルの屋上だぞ」
「何故今まで捕まらなかったか。いついかなる時でも最善の選択と、最善の準備を怠らないからだ」
「どうする気だよ。スパイダーマンみたいに糸飛ばすか?それともスーパーマン見たいにとぶか?」
「ふん。いかにもお前らしい答えだよ」
「あれだ!あれだろ。モモンガみたいなマントだろ。YouTubeでみたんだ。山の上からモモンガみたいなマントで飛ぶの!おまえそのスーツの下にきてんだろ!?」
「あーーーーーーーーー」
黒光りのスーツはまた叫び出した。全てを吐き出すように。
「あーーーーーーーーー」
「あーーーーーーーーー」
「黙れ!私のモモンガマントを見破ってお前はどうする?止めれるか?もし止められるならついて来い」
「止めない止めない。そこまでの業務は俺の役目ぢゃない。ゆっくり、確実に、命を大事に逃げろ。気を付けろよ?ここはビルの25階の屋上だからな。そうだ、スーツ脱いでいけよ危ないからな」
「・・・あーーーーーーーー!」
「そうだその息だ。お前ならできるぜ。銃は置いて行けよな。重いし」
「あーーーーーーーーー」
「重いし、落ちる可能性が高くなるからな」
黒光りはスーツを脱いで、助走をつけて、走りだし、ビルから飛びおりた。その間もずっと叫び続けていた」
「あーーーーーーーーーお前!次合ったら覚えとけよ」
ボディーガードは屋上の淵に立ち黒光りのモモンガマントの言葉を受け止めた。
「俺は泉ケ丘サスケだ!お前は!?」
黒光りのモモンガマントはボディガードに大声で怒鳴りながら去った。
「カルバン!次あったらお前を殺すものの名だ!」
これからたくさんのはっちゃめっちゃ伝説を作り出す、最初の出会い。
真の殺し屋 @yyysssaaa
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