第4話どうしよう

 死神として成長するには人間の希望を狩らなくてはいけない。しかし僕はそれがしたくない。僕は三年後に殺される運命なのだろう。しかしそれで良い。僕は人間が好きなのだから。

 そう思いながらとぼとぼと人間界を数日、あるいは数週間あるいていたのではないだろうか。もう今頃他の死神は人間の希望を狩っている頃だろう。僕にはなにも出来ないのだ。

 いや、このままでいいのか。僕のこの気持ちにふたをしたままで、僕は人間を殺したくない。逆に守りたいのだ。こんなにも善良に溢れたこの世界、僕は僕のこの気持ちは死神よりも人間に近いのではないのだろうか。だったら、僕は反逆者と言われようがこのまま殺されるのを待つよりも人間の力になりたい。そうだそして何より僕は人間がこの人間界がこんなにも好きなのだから。

 そもそも希望を刈り取らなくても絶望を刈り取る事でもわずかながらに死神は成長出来るんだ。だったら絶望を狩る事で、狩り続ける事で死神として強くなれるのではないか。それに僕は親に捨てられたけど、学校では優秀で死神界の神童じゃないかって昔は言われていたこともあった。もしそれが本当ならばその才能が備わっているのであれば僕は他の死神よりも早く成長できる可能性がある。ならば絶望を刈り取る事でも他の死神の成長と同様にあるいはもっと強くなれる可能性がある。

「人間の絶望を狩って、食って、死神として成長して、僕は死神の敵になろうじゃないか、なってやろうじゃないか」

 僕はそう青々として天に向かってそう力強く宣言したのであった。

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