第3話いよいよいく

 死神の船で地上へと降り立つ。上級死神は自分の足で帰る事が出来るのだがデビューしたての僕らは実力がない。

「早く希望を刈り取って成長して一人で死神界と人間界を行き来出来たり、閻魔大王に会いたいよな」

「そうだな。だれかさんみたいに絶望を刈り取るとかいうやつは一生閻魔大王に会う事は出来ないだろうけどな」

「はははっ、違いない」

 他の死神新人たちが僕をちらちら見ながら笑い合っている。僕はいやな気分になった。

「さあ、ここからは皆、各々散って希望を刈り取りなさい。死神としての第一歩の始まりですよ」

 死神の先輩が言った。ランクとしては低いが僕ら新人よりはずっと上の死神であり、教官役である。

「よっしゃー。すぐに強くなるぜ」

「どんどん狩るぜ」

 僕以外の死神たちはどんどんと散って行った。

「どうしたのですか。早く人間の希望を狩りに行きなさい」

 教官が僕に言った。

「僕は人間の絶望を刈り取りたいです」

 僕が言った瞬間、僕は教官に思いっきり殴り飛ばされた。

「あなた……ギザと言いましたか。あなたは死神として失格ですね。あなたに死神としての資格はありません。次の一時期間は3年後ですが、あなたの成績次第ではあなたを他の死神によって殺させねばなりません。あなたは現時点で死神の敵とみなされてもおかしくはないのですよ。もし死神として生きたい、死神界に帰りたいのであれば、人間の希望を狩りなさい、狩り続けなさい。三年後楽しみに待っていますよ。それでは」

 教官はそう言い残して人間界から死神船で帰って行った。

 少なくとも三年間は僕は殺されないで済むだろう。しかし三年後僕が希望を狩っていなかった事を知ったら僕は殺されてしまうのだろう。

 僕は途方に暮れたのであった。

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