第5話振られました
今日も収穫なし。
まさか世界がこんなにもブスで溢れかえっていたとは思わなかった。
『はい。それじゃ出欠とります。えっと…』
『先生! いい加減私達の名前覚えてもらってもいいですか? 入学式から一ヶ月経ってるんですけど』
月日が流れるのって本当に早いよね。
俺も年老いたってことなのかな。
まぁそんな事はどうでもいいんだが、入学式初日早々に俺の所をかみついた生意気なガキがまた文句言ってやがるぜ。
『うるさいないちいち』
『うるさいですって。先生は指導者として自覚はないんですか!?』
『ないよ。だってめんどくさい。金だけ貰えればそれでいいし。ってかお前名前覚えろって言ったけど、相手が覚えてもすぐ忘れられたら嫌だろ。だから俺はあえて覚えないんだ。人を傷付けない為に』
俺でも分かる。
生徒達が完全に俺のところを白い目で見ていることに。
『やっぱり噂通りの先生なんですね』
『いやー照れるね。ってことで今日は自習だから』
朝のホームルームが終わる前に俺は教室を後にした。
もしかしてかもだけどたかが十分位の時間前に、教室をでて行くの世界で俺だけなのかも知れない。
『ちょっと芥川君入学式からまだ間もないのに困るんだよね』
職員室に戻ったら、小太りで頭の毛はバーコード、身長も百六十センチ位の校長【
『ちょっと芥川君聞いてるの?』
『聞いてますよ』
と俺はめんどくさそうに応えた。
『芥川君さぁ~去年も学級崩壊させたけど、今年は大丈夫だよね?』
『さぁ~どうでしょ。ただ言えるのはガキ共が自分の信念を持っているかどうかです』
『まぁいいです。次は頼みましたよ』
『芥川さんなにしでかしたんですか?』
校長室を出ると佐倉がやっとでてきたかと言わんばかりで仁王立ちしていた。
『あんまり気安く話しかけないでくれるかな? 友達だと思われたくないんで』
入学式以降、佐倉とはちょくちょく世間話をする仲になっていた。
ほら、新人の時に一番最初話した人に仲間意識しちゃうあれだよ。
『友達じゃないんですか?』
『友達じゃないです。結婚相手です』
『ごめんなさい。私彼氏いますので』
だろうね。
佐倉の外見はお世辞抜きで、かなりいい。
例えるなら週刊ヤングなんちゃらに表紙を飾るほどに、顔は童顔で髪は少し茶髪に染め肩にかかるくらい、スタイルだってグラビアアイドル並みだ。
男がいるのは当たり前。
だから俺はさらっと告白をしたのだ。
だが、振られるのはちょっぴり悲しい。
だって俺…男の子だもん。
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