第4話ブスばっかり

『先生!』

後ろを振り向くと女子生徒が俺の方に歩いて来ていた。

先ほど失礼な態度をとってしまった俺に頼るなんて、なんだかんだ言ってもこいつらはやっぱりガキだな。


『おう。どうした?』

と爽やかに応えたが女子生徒は俺の横を素通りした。

『先生?』

『どうしました?』

俺の前を歩いていた佐倉 優花に話しかけていた。


あのガキマジで…ふざけんなよ。

めちゃくちゃ辱しめ受けさせやがって。

俺は舌打ちをしてその場を後にした。


『受付番号九番の方はこちらにどうぞ』

俺は学校が終わると、平日開催されている婚活パーティーに足を運んでいた。


上手く行かないなんて分かりきっているのだが、何故か今日は上手く行くような気がすると、思ってしまうのでこの場所に来てしまう。


まさにギャンブル脳と一緒で、ほとんどの確率で勝たないのについまた次の日にパチンコ屋に行ってしまうのだ。


あ~でもあれだな?

パチンコは時々勝てるけど、婚活パーティーは絶対に勝てないから勝率ゼロ%だわ。


『女性の方こちらにどうぞ』

訳のわからない理論を考えていたら、婚活パーティーの受付の方が俺の横に、今日婚活パーティーに来た女をこちらに促した。


この初見の顔合わせが何回来ても緊張してしまう。


『初めまして』

俺のブースに入った同時に声をかけられたので、自然と女の顔に目が行ってしまった。

『どうも』

俺は少しいつもより声のトーンが下がってしまったのかも知れない。


何故なら俺好みの顔をしてないからだ。

まぁ所詮婚活パーティーに来る女なんて可愛くないのが当たり前だから、そこまで期待してもしょうがないんだろうけど。


それでもと思いついつい顔に期待してしまうんだよな。

ほら、学生の時とかも自分のクラスにいい女がいないかなって探すあれと一緒だな。


だから今日入学式でどんな子がいるんだろと期待していた男も、女にもイライラしていたんだろうな俺。


そのあと、横に座った女に対して踏み込んだ話しはないで、ほとんど聞き流していた。


婚活パーティーの仕組みは五分話したら次の人と交代と言う仕組みになっていて、別名お見合いメリーゴーランドと名乗られている。


『次の方』

と受付の方が二人目の方がこちらに促し、その女が俺のブースに入ってきた。

はい。ブス。

この時点で俺はなにも喋らない事を決意し、ただ時間だけが過ぎて無言のまま、この女とは終わった。


『次の方』

ブス。

『次の方』

ブス。

『次の方』

ブス。

『次の方』

ブス。

『次の方』

ブス。


俺の婚活パーティーは終了した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る