第5話 やべえ村の実態【サイド回】


【村長サイド】


 私はフリンク村の村長、レオナルド・フリンク。

 代々、この村を支配している。

 村長というのは大変だ。

 頭の悪い田舎ものの、愚鈍な村人たちをキチンと教育してやらねばならないからな。

 こちらも、骨が折れるというものよ。


 だから、少々の息抜きは必要というものだ。

 私は村で一番大きな屋敷に住み、毎日死ぬほど酒を浴びていた。

 そして最近王都で流行っているというドラッグ『ドラゴニム』を常用している。

 それもこれも、愚民である村人たちから搾取した金で得たものだ。

 中には私の行為をとがめてくるような頭の悪い村人もいた。


 だがそんな奴らは、すぐさま処刑してやったわ。

 私の一族には、代々伝わる暗黒魔法がある。

 この暗黒魔法さえあれば、こんな田舎の雑魚連中なんか、一方的に搾取できるのだ。

 一人消し炭にしてやったら、あとはみな黙りおったわ。

 がっはっはっはっは。


 それから、村人たちを働かせるのも村長の大事な仕事だ。

 私は村人たちをより効率的に働かせるために、違法な薬物に手を染めた。

 それは『エネルギア』という薬物だった。

 なんと、この薬物をとると、劇的に目が覚めるのだ。

 そして、無限のエネルギーが湧いてくるという。

 まあ、その副作用については知ったこっちゃないが。


 とにかくエネルギアを吸った村人たちは馬車馬のように働いた。

 村の近くには鉱山があって、そこからの収入が村の主な運営費だ。

 もちろん、村人たちにはびた一文も給料などは支払わない。

 当然だ。

 それらは私が懐に入れて、息抜きのために使うためのものだ。

 村人たちには、今晩の飯と寝床があるだけ感謝してもらいたいものだな。


 村人の男たちには、一日16時間の労働を強いていた。

 普通の人間なら、文句を言うだろう、とさすがの私でもわかる。

 だが、彼らには逃げられないように暗黒魔法で呪術をかけている。

 そしてエネルギアでドーピングした彼らが寝ることなどはできない。

 やつらは死ぬまでひたすらに手を動かし続けるだけだ。


 ある夜のことだ。

 薬を飲むのを誤魔化していたやつがいた。

 そいつはなんと、作業をしながらうたた寝をしていやがったのだ。

 私はすぐさまブちぎれた。

 男の名前はフィンだった。

 私はフィンの髪の毛をつかみ上げて、乱暴に壁にたたきつけた。


「このクソ野郎……! なにをさぼっていやがる……! 殺されたいのか……!? 働けカス!」

「っく……す、すみません……」


 口ではそう言うが、明らかにフィンの顔は不満そうだ。

 腹が立って、あやうく殺すところだった。

 だが貴重な労働力だ。

 殺すのはもったいない。


「なんだその目は? さっさと働け! ゴミ!」

「はい…………」


 私は腹が立ったので、その足で女どものもとへ向かった。

 そしてストレスのままに、女を乱暴に抱いてやる。

 村の若い女は、ほぼすべて私の自由にできた。

 その晩は、フィンの妹を抱くことにした。

 はっはっは、たまらん征服感だ。

 

 女も薬漬けにして、使い物にならないようにしてやる。

 薬漬けにして、私からの薬を欲するように洗脳するのだ。

 そうすれば、女はなんでもいうことをきく。

 この村は完全に私のものだった。


 子供たちにも、当然安息はない。

 どんな子供だろうが、気に食わないやつはみな鉱山送りだ。

 子供でも、石を運ぶくらいはできるだろう。

 教育など必要はない。

 どうせこいつらは一生をこの鉱山で過ごすのだ。


 男や子供は労働力に、女は私の肉体を癒すために。

 それだけにこの村は存在していた。

 誰にも文句は言わせない。

 それが私のやり方だった。


 それがどういうことか――。

 ある日、私の村に魔族が攻めてきたのだ。


「なにがどうなっている……!?」


 なぜこんな辺境の村を襲うのか、意味が分からなかった。

 私は目をつけられないように、ひっそりと私利私欲を貪っていたのに。

 このままでは、私の楽園が崩壊する……!


 魔族たちは強かった。

 私は男どもに命令を下し、魔族に立ち向かわせた。

 だが、どういうことか、村人たちの士気が異様に低い。

 くそ……普段なら殺すぞと脅せば、大概のことはやらせれた。

 だが、今回はそもそも戦争は命がけのものだ。

 どのみち死ぬのなら、やる気も出ないということか……。


 しかも、男連中はみな過度な労働のせいで、戦う気力も残っていない。

 このままでは、私の村は全滅してしまう……!


「っく……こうなったら、私だけでも逃げるしか……!」


 そう思って、裏口から逃げようとしていたときだ。


「ここに村長がいるぞおおおおおおお!」


 あろうことか、そんな声を上げるやつがいたのだ。

 声の主は、フィンだった。


「貴様ァああああああああああああ!!!!」


 魔物たちの目線が、一瞬で私にあつまる。

 そして、私が逃げようとすると――。


 村人たちが、出口を塞ぐようにして壁を作っていた。


「貴様らァああああああああああああああ!!!!」


 そのまま、私は相手のオークに蹂躙される。

 まず、オークは私の腕を握りつぶした。


「げはは! なんだこの弱っちい大将は。せいぜい痛めつけてやる」

「ぎゃあああああああああああ!!!!」


 そして、オークは私の睾丸をキックでつぶした。

 この世のものとは思えない激痛が走る。


「ぐえええええええええ!!!!」

「お、いい声で鳴くなぁ。もっとやってやろう」


 オークは、私の両足を持つと、私をさかさまにした。

 そして、私の足を開き、肛門から引き裂こうとする。

 足の付け根に激痛が走る。

 肛門が徐々に割けていって、血が噴き出す。


「ぎやあああああああやめてくれええええええ! もう許して!!!! 殺して!!!!」

「げははは! いいぞ! もっとだ! よしゴブリンたち、一斉に刺せ!」

「ゴブゴブ!」


 すると、ゴブリンたちが一斉に、私に槍を突き刺した。


「ぐえええええええええええええ!!!!」


 それと同時に、オークは私を足の根本から真っ二つに引き裂いた。


「ぐぎゃあああああああああああああああ!!!!」

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