第5話

「見つけましたよ、サフィ様」


「アズール…よくここがわかったね」


「一体…お前らどういうことだよ…」


ウルジュは驚き隠せない状況で二人のことを何度も見返した。その時、サフィが一つ呼吸を整え


「ごめんねウルジュ、私はアクア・ブルー・サフィ、アクア王国の女王なんだ!」


「えっ…えぇぇ!!!」


ウルジュは言葉に詰まり、目を丸くしてサフィを見つめた。


「アクア王国の女王…?本当にそうなのか?」


サフィは微笑みながら頷いた。


「そうだよ。私はアクア王国この国の女王様♪ただ、そのことを言えないまま、どっかの誰かさんがどこかにいなくなるからさ〜」


ウルジュはまだ驚きと戸惑いが残る表情で彼女のことを見つめた。そんな中、サフィは何か険しい表情になり思い出せば、彼の顔を見つめて


「ねぇ!良かったら今夜でも一緒に食事でもどうかな?」


ウルジュはサフィの誘いにしばし驚きと戸惑いを隠せなかったが、彼女の笑顔に心が和んだ。長い逃亡生活の中で彼らは互いに頼り合ってきた。その絆を感じながら、ウルジュはサフィの提案を受け入れることにした。


「ありがとう、サフィ。今夜、一緒に食事しよう」とウルジュは微笑みながら応えた。


サフィは喜びに満ちた笑顔を浮かべ、ウルジュの手を取って王城へと向かった。道中、ウルジュは偵察のために周囲を注意深く観察していたが、彼は気づかずに持っていたメモを落としてしまった。


そんなウルジュの不注意に気付いたアズールは、素早くメモを拾い上げた。彼はメモを一瞥し、中身を確認してから胸ポケットにしまい込んだ。その時、彼の表情には驚きとウルジュに対する怒りが交錯していた。


ウルジュは気づかずに彼らと一緒に王城に到着した。城の門をくぐる前に、サフィがウルジュの顔を見つめて言った。


「ウルジュ、今夜の食事で少しでも楽しい時間を過ごしましょう。まだ時間があるから、私が王城ここを案内する?」


ウルジュはサフィの誘いに微笑みながら首を横に振って


「ありがとう、サフィ。でも私はまだ用事があるから、一人で王城を散策するよ」とウルジュは穏やかに答えた。


サフィは少し驚いた表情を浮かべたが、理解を示して頷いた。「わかった、ウルジュ。みんな!今日は特別な客人だから、盛大に振る舞おう!」


ウルジュはサフィに軽く手を振りながら城内へと足を踏み入れた。彼は慎重に歩きながら周囲を見回し、警戒心を忘れることはなかった。


「ウルジュさん、この先に開かれた中庭がありますよ。一緒に行きませんか?」


その時、アズールが笑顔でウルジュに声をかけた。


「びっくりした!…ちょっとやめてくださいよ!」


「これはこれは…失礼…」


ウルジュはアズールの提案に少し戸惑いながらも、興味を抱いて頷いた。


開かれた中に辿り着く。レガノンの王城の中庭よりは一回り狭いものの、美しい花々が咲き誇り、その香りが広がっていた。


ウルジュとアズールはゆっくりと中庭を散策しながら、花々の美しさに心を奪われた。色鮮やかな花々は優雅に風に揺れ、まるで自分たちに微笑んでいるかのように見えた。


更にアズールに対して何かを尋ねようとしたが、その瞬間、アズールが無反応になり、不意にウルジュに詰め寄った。


「何を…」ウルジュが言葉を詰まらせる間もなく、アズールの拳が彼に向かって振り下ろされた。


ウルジュはアズールの突然の襲撃に驚き、素早く身をかわすことができず、アズールの拳が彼の腹部に命中した。痛みが響き渡り、ウルジュは一瞬息を飲んだ。


言葉を詰まらせる間もなく、アズールはさらに彼を押し倒し、顔面にも拳を繰り出した。瞬間、痛みが彼の頬を襲い、目の前がぼやけていく。


ウルジュはアズールの攻撃に対して身を守りながら、彼の動機を理解しようとした。何が起きたのか、なぜアズールが彼に暴力を振るっているのかが分からなかった。


「ウルジュ!!…お前は何の目的のためにここに来た?…答えろ!!」


アズールはウルジュの襟元を両手で強く握りしめれば顔を上げて彼を問い詰めた。


ウルジュはアズールの攻撃から身を守りながら、彼の怒りと暴力の背後にある理由を理解しようと必死に考えた。だが、それどころではなく、唇から血が垂れながら、ウルジュは固く口を結んだまま、黙り込んでしまった。しかし、アズールは彼の無言を許さず、ますます脅迫的に問い詰めてきた。


「ちっ… 黙れば済むとでも思ってるのか!…ならば、し…」


「止めてアズール!!」


サフィの悲痛な叫びに彼は我に返り、拳を振るのを抑えた。それでも襟掴んでいた手を怒りを込めて離すとウルジュは激しく床に打ち付けられる。すぐさまサフィはウルジュの元に駆けつける。


「どういうこと?経緯を説明してよ!…アズール!」

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