第3話

「これで、ウルジュの実力を見ることができたわ。それも踏まえてあなたを王城ここに呼び出したのは、隣国、アクア王国の“偵察”をお願いしたいの」


「偵察…待ってくれ!もし失敗でもしたら外交問題に発展しかねないだろ!」


先程までの彼女の笑顔が嘘のように次第に消えていく。ウルジュは戸惑いながらも、深刻な表情で彼女に問いかける。しかし、目の前にマーガレットが立ち塞がることによって遮られる。


「ウルジュ、私はあなたを信頼しているの、仮に失敗でもしたら、その時はあなたの肩から上はないかもね」


ウルジュはマリーの言葉に戦慄を覚えながらも、彼女の背中が姿を消すと同時に深いため息をついた。彼は座り込んだまま、心を静めるために時間をかけた。


「なんてことだ…。」ウルジュは心の底で呟いた。


(オレにはどれほどの重責が掛かっているのだろう?この使命を果たすことができるのか…)


ウルジュの心には不安が広がり、自信が揺らいでいった。しかし、やがて立ち上がり、決意を取り戻した。マリーの言葉は厳しいものであったが、それに屈するつもりはなかった。彼は立ち上がり、自分の心の迷いを振り払った。マリーの言葉に怯えることなく、使命に向かって進む覚悟を新たにしたのだ。


* * *


ウルジュは歩き出し、城を後にした。帰り道、広場で賑やかな集会が行われている光景が目に飛び込んできた。人々が集まり、様々な声が飛び交っていた。


彼はその声に惹きつけられ、集会の方へと足を運ぶ、その内容に驚愕した。集会はアクア王国に対する抗議や批判の場となっていたのだ。


「アクア王国の行動は許せない!我々の安全と平和を脅かしているのだ!」


「この脅威な存在を今すぐ排除しないといけない!皆はそう思わないか?」


参加者たちは怒りや不安を募らせながら、男の言葉に周りに集まっていた人たちは少なからず賛同していた。ウルジュは内容を理解すればその場を後にする。


「アクア王国との関係が深刻なのは、国民も理解しているのか?」彼は自問しながらも、自分の使命に忠実でなければならないことを再確認し、彼の一日が終わる。


* * *


ウルジュは前日の出来事と自身の使命について考えてしまい、夜が明ける前に目を覚ました。緊張感とモヤモヤが彼を襲い、心は不安定なままであった。暗闇の中、窓から外の景色を眺めると星がまだ輝いており、村は静まり返っていた。


心の不安を抱えながらも、決意を固めるために準備を始めた。部屋を出て、身支度を整えるとともに必要な物資を手に取った。彼は道中で必要となる道具をバッグに詰め込んだ。


準備が整うと、静まり返った村を後にするために東側へと歩き出した。村の道を進みながら、彼は目的地である王都ブラウへの道筋を思い描いた。


暗闇の中、道は薄暗くなっていく。星々がウルジュの足元を照らし、彼の決意を強めるように思えた。静かな夜風が彼の髪をなびかせ、胸の内には使命への情熱が燃え上がった。


道は村の周辺を離れ、森や丘陵地帯へと続いていく。ウルジュは不安定な足元を気にしながらも、一歩一歩進んでいく。数時間が経ち、村の光景は遠くに小さくなっていく。それでもウルジュは歩き続け、最後に一度立ち止まり振り返った。

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