ステージ50、イベント発生の件について
俺が初めて1位を獲得したのはいつだったろうか……たしか、アレは……そう、リリースされたばかりのゲームに熱中していたときだった。
「嘘……だろ?」
目の前のスマホの液晶画面にはランキング1位のところに俺のアバターと名前が載っている。
「はは……嘘みてえ」
初めて獲った1位に胸が高鳴った。早速その画面をスクショした俺は、SNSにスクショした画像と共に1位獲得の喜びを綴る。
ネット民からはおめでとうの文字。なんだか誇らしいような、擽ったいような、不思議な感覚に陥った俺はリアルの友達にもそのことを話したのだ。しかし、反応は俺の予想とは全く違って「それ、なんの意味があんの?」だった。
──ハッと、目が覚める。目の前にはすっかり見慣れ始めた天井が見えた。久しぶりに夢を見たのに、あんな思い出したくもない昔のことだったなんて。
ベッドの上にあぐらをかいて、何気なく「ステータス」と声に出す。アレから俺のステージ数は49を迎えていた。
「そういえば、向こうでこのゲームしてた時も、50の倍数では強敵現れてたよなあ」
そんなことを一人でつぶやいた。その時。
「マスター」
明らかにいつもよりも硬い声質でスライムが俺に声をかけた。
「緊急事態です。侵略者がまもなく……」
言い終わる前に、「エアーブレード!」という声が聞こえてきたかと思うと、突然扉が壊された。
「ファイアーボール!」
「ストーンアロー!」
「は?! 何!?」
「マスター!」
スライムの身体が大きくなったかと思うと、俺の前に立ちはだかり、ダメージを受けている。
スライムの青く透けた身体の向こう側から、3人の魔法使い──女が2人、男が1人いる──と、2人の剣士──どちらも男だ──、1人の大きな盾を持った男が部屋の中に入ろうとしてくるのが見えた。全員まだどことなく幼い顔立ちをしている。
途端、「イベント発生。勇者のタマゴ達襲来」という無機質な声が脳内に響いた。
平凡な俺が魔王城の主になりました 蓼虫 @tademusi5151
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。平凡な俺が魔王城の主になりましたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます