黒ずくめの一人と一羽
黒のシャツに黒のスラックス。
服装に迷ったらこの組み合わせで家を出る。どんな時期でもどんな場面でも、失敗することはほとんどない。
だが、今日は明らかに失敗だ。暑すぎる。
日陰のない路地と立体的な白い雲が、暑さをさらに強調させている。
黒が光を吸収し熱が身体に張り付いていく。上も下も逃げ場はどこにもない。あぁ、暑い。
照りつける太陽の光を一身に受けながら歩いていると、目の前に一羽のカラスが現れた。
飛んでいるわけでも、ゴミ置き場を漁っているわけでもない。路地の真ん中を重たい足取りで歩き、ビー玉の目でアスファルトを睨みつけている。
どうやら僕らは友達になれそうだ。
すれ違いざま、カラスと目が合った。一瞬、苦笑いを浮かべて会釈したように見えたのは、やはりこの暑さのせいだろうか。
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