第四話 このパーティー、絶対負けるよね?
私は消滅したクマさんを思い出しながらラルドを見た。
ラルドの不気味な笑みはもう消えていて、いつもの無表情になっていた。
嗚呼。私の天使が……。
私は赤い目でラルドを睨みつけていた時、
「おまたせえええええ!!!武器もってきたあああああ!!!」
遠くからエデルの声が聞こえてきた。
エデルの手には木の棒……?
「あれ?もう片付いちゃった?」
「あ、うん。ラルドが全部。」
「なんだー。せっかくリリにアタシの強さを見せようと思ったのに……。まあ、ラルドだからね…。」
「ラルドってすごい人なんですか?」
「うん。一応、元魔王。」
「あ、そうなんだ……って、えええええ!?」
魔王が仲間なの!?
じゃあ私たちが倒す予定のザイートは魔王第二?
「ラルドいればもうここ勝てるんじゃないの?」
「でもラルドには一つ欠点があって、一回魔法を使うと30分寝ちゃうんだよね。」
何それ!?もったいない……。
確かにいまリッヒさんにもたれかかって寝ているけれど……。
リッヒさんはそっとラルドの怪我している頬に絆創膏をつけていた。
……絆創膏が可愛い猫の柄なのが気になるけど……。
「ちなみに、エデルさんがもってきた武器って何ですか?」
「よくぞ聞いてくれた!アタシがもってきたのはこれだ!!!」
「………木の棒?」
「正解!先っぽが尖ってるから痛いと思うんだ。」
「……剣とか持ってないんですか?」
「ああ…一応戦士の試験が合格した時に支給してもらったけど…なくしちゃった!」
「え……。なくしたんですか?!じゃあ買ったら……。」
「アタシ、貧乏なの。金がないのよ!!」
「あ……そうですか…。」
なんで物を大切にしないんだろう……。
でも、鎧はなくしてないんだ……。
「……そういえば、マルクは何をするんですか?」
「マルクは4歳なんだから応援ぐらいしかできないわ。マルクのお父様が英雄らしくて王様に『マルクに“勇者”という称号を与えてください。』って頼んだらしいよ。」
あ、親が凄い人系ね……。
4歳の子どもに“勇者”という称号をあげるんだ……。愛されているんだね……。
「じゃあリッヒさんは……?」
「あの見た目で回復しかできないわ。」
ああ……。
エデル…貧乏
マルク…オプション
リッヒ…見た目詐欺
ラルド…チーター
……ってところか。
……残念……。
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