第二話 戦士が戦わないことなんてありますか?

「しゅっぱーつ!って言っても、どこに行くんですか?」


「……。…?」

「?」

「え?」

「……?わからん。」


このくだり何回やるの!?

というか私ってツッコミ気質なんだ……。


私は苦笑いしながらエデルを見上げる。

(ウサギに苦笑いっていう概念ってあるのかな?)



「静かにっ!!」



突然、空気を裂くような厳しいラルドの声が響いた。


え?


ラルドの視線の先をたどると、クマのぬいぐるみが8体、よちよち歩いてきた。


何この子!可愛い!養いたい!欲しい!飾りたい!

興奮してぴょんぴょんはねている私にエデルは冷静に言った。


「怖がらなくていいわ、リリ。アタシが守るからね。」


「全然怖くない」なんて口が裂けても言えないが私をかばうように立つエデルはかっこよかった。


…武器は何も持っていないけど……。


もしかして拳ひとつで戦う系?それはそれでかっこいいな……。


そしてエデルは勢いをつけて走り出し

ク マ の ぬ い ぐ る み を 通 り 過 ぎ て い っ た … 


「武器探してくるー!!それまで耐えてねー!」


あ、武器もってない系?

大丈夫?戦士って戦うための人だよ?


「リッヒ……。エデルがいなくてもいいの?」

「おい、ウサギ。俺は年上だぞ。リッヒさん、と呼べ。」

(うわ、めんどくさい……)


「リッヒさん、エデルがいなくても大丈夫ですか!?」

「……大丈夫だ。すべてラルドがやってくれる。」


マ ル ク じ ゃ な い の ! ? 


「がんばれー!ラルドー!!ぶっ●せー!!」

あ、マルク戦う気ないわ。がっつり体育座りしてメガホンもって応援している。


……ちっちゃいくせに言葉が荒々しい……。


あと、勇者って応援担当なの!?


「ねえ、マルク。あなたは戦わないの?」

「リリ、君は馬鹿なの?僕は子供だよ?怪我したらどうするの?もちろんだけどリリは僕のこと、守ってくれるよね?」

「あ、うん。」


戦う気ゼロか……。

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