このよはブラックホール

識織しの木

 このよはブラックホール

図書室の階段下に隠れ読むオニは扉のすぐ外にいる


「雨だけが浄化に足る」と傘なんて水たまり踏むなきものになれ


鎖でも縄であっても真綿でも何でもいいからどうでもいいから


この目には何が映るか過去未来鏡の中の死んでる魚


わかってるフリしてること知ってるよだけど騙され続けてあげる


カタチだけぼくに似ている泥人形これつくったヒト誰手ぇ挙げて


正面がぜんぶなわけじゃないけどさ風に揺れてるせかいペラペラ


らしくないそんな言葉はここにはないどんなぼくでもあいすべきぼく


攻撃とうすぼんやりの共感は要らない誰か信じさせてよ


見たくない見たくないのに飛んでくるまた爪深くまだまだ歪む


リセットはできるよだから進まなきゃ騙されるぼくを俯瞰するぼく


目でさえもあの子のすべては語れないマスクの下の地図なき迷路


殿様は己の海の小さきを知らず存ぜぬ処刑はやまぬ


公園の水道水は「血の味だ」いつから気づいていたんだろうか


無傷では息られないと笑うだけ流れた過去はもう返らない


集まれば強くなれると言うヒトよ よく見てそこに「あなた」は居るか


天気予報しか見られない痛いからニュースもドラマも映さない箱


本当に鋭い刃は素人が振り回してる皮膚破いてる


もういいよもういいんだよ囁いて手を引くそれをずっと待ってる


安寧の鐘がなるときジンルイはきっとどこにも立ってはいない

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