第46話 七月戦線
六月は四試合に投げた直史である。
MLB時代なら中五日で五試合には投げていたであろう。
自分も年を取ったな、と思ったりしているわけであるが、試合の合間にピッチング練習で、平気で100球投げるというのはどうなのか。
直史に言わせると逆で、これぐらいは投げておかないと、どんどんと衰えていくだけなのだが。
どちらが常識であるのかは、多数決で決めた方がいいだろう。……魔王信奉者が多数派ではない平和な世界であることを祈ろう。
四月と五月はそれぞれ、点を取られていた直史。
だが六月は失点がなかった。
35イニングを投げて無失点であり、打たれたヒットの数は6本。
また奪三振率も12.09と急激に上がっている。
これは完投した、15奪三振の試合と16奪三振の試合の影響が大きい。
とにかく六月の一ヶ月で、投球の指標となる数字を一気に良化させてきたのである。
月間防御率が0というのは、リリーフ投手であればごく稀にある。
しかし先発ローテにしっかりと入っていて、四試合に投げても無失点というのは、過去にもそんなに多くはない。
少なくもないが、それをやってるのはほとんどが直史か上杉で、過去の例として参考になるデータを出すと、二人の名前がずらりと並ぶ。
武史や真田もやっているが、それはほんの数回だ。
直史はNPB一年目は一点、二年目は二点しかレギュラーシーズンでは失点していない。
MLBでは三年目に途中からクローザーに回ったということもあるが、年間失点が0という冗談のような数字が残っている。
それでも他の年は失点している試合があるので、かろうじて人間っぽいと思える。
もっともレギュラーシーズンを通じて、七年間無敗であったというのは、おかしな話であったと言えよう。
常勝でなかったのは上杉をはじめ他のピッチャーが、ちょっと頑張って自分も完封した時である。
月間MVPはともかく、最優秀バッテリーに選ぶのはどうか、という意見もあったそうな。
直史個人としてはともかく、迫水は最後に自分のパスボールで、相棒のパーフェクトを消してしまったキャッチャーである。
平均的なパスボールなどの数字は、他のキャッチャーと比べても悪くないし、打撃での援護が光るキャッチャーだ。
ただこういうのは一度やらかしてしまうと、長く残ってそのうち定着してしまう。
これ以降、内野のやらかしをムラオカというのに対し、捕手のやらかしをサコミズと呼ぶようになった、というのは冗談である。
なおバッティングの方はまた、大介が無茶苦茶なことをしていた。
フォアボールで三割以上も勝負を避けられておりながら、15本のホームランを打っている。
そしてこの月、打ったヒットは29本であった。
言い直すとヒット29本のうち、15本がホームランになっているのである。
冗談ではなく、長打率が1.122という数字になって、OPSが1.7を超えた。
打率は四割未満、出塁率は六割未満なのに、ちょっと不思議なことである。
ただ月産のホームランと言うなら、試合数の多いMLBには負ける。
なにしろ20本以上を打っていた月もあったのであるから。
あの時は相手のピッチャーも舐めていてくれたので、打率が0.467というおかしな数字になっていた。
年間本塁打記録を、MLB一年目にして塗り替えてしまったわけだが、あの事件がなければホームランの数は、一年目から80本を超えていた可能性が高い。
投打の極みと言える二人が所属する、ライガースとレックスが、ペナントレースの一位と二位を独走する。
三位のタイタンズは四位のスターズと、もうほとんど差がない。
とんでもない強さだと思われるかもしれないが、本当に強かった時のライガースとレックスは、これよりもっとどうしようもない強さがあったのだ。
やはりピッチャーが野球の試合を大きく左右する。
先発ピッチャーが良ければ、リリーフ陣も楽になるのだ。
直史はここまで12勝0敗で、当然ながらハーラーダービーはトップ。
勝利数、勝率、奪三振、防御率、完投数と投手五冠を普通に爆走している。
唯一勝てなかったのは、途中降板した一試合のみ。
だがあれは援護の出来ない味方が悪い。
ただ援護のない直史というイメージは、ほとんど払拭されている。
レックスの試合の平均に比べれば、確かに援護点は少ない。
だが極端に少ないと言われるほどでもない。
大介も当たり前のように、打撃三冠に加えて出塁率や盗塁数でもトップに立っている。
この中では盗塁数だけは、逆転の可能性がなきにしもあらず、と言っていいのか。
だがどうしても取れそうにないのが、最多安打のタイトルだ。
ライガースは77試合を消化しているが、96本しかヒットを打ててないのだから。
長打率やOPSも、六月が特別に高かっただけであって、シーズンを通しては平均的だ。
もちろんこの平均的と言うのは、大介のキャリアの通算と比較した場合であって、即ち化物的な数字と言える。
これに月間MVPを与えない方が無理である。
こういった数字を見るのは、日本のファンは久しぶりになる。
上杉も最近は20勝をしていないので、本当に直史のおかしさが際立つ。
こんなピッチャーがかつては、上杉と共に三強ピッチャーなどと呼ばれていたのだ。
実際にこの三人と同時代に生きた、先発ピッチャーはかなりの不幸である。
現時点で既に、沢村賞の声が聞こえ始めている。
もう比較にならないのは分かっているし、アラサーになってからNPBに入ったり、たった二年でMLBに行ったりと、直史のやっていることは日本の野球を馬鹿にしているようにさえ思える。
だが正確に言うと、直史のピッチングは日米両国を蹂躙している。
大介のホームランの飛距離や、上杉や武史のストレートのスピードと比べると、直史のパフォーマンスをそれぞれ分けていけば、人間に不可能なことはやっていない。
スルーという魔球でさえ、何かの拍子でジャイロボールを投げてしまうピッチャーは、時々いるのだ。
だが要素を全て組み立て終わると、そこに残るのは悪魔の所業。
鮮烈な一瞬の芸術ではなく、組み立てられ構築された呪詛の結末。
悪魔信仰と一緒にされて、迷惑なのは直史である。
野球というスポーツのルールの中で、何か違う競技をしている。
ただこの輝きが失われる時も、いずれは絶対にやってくる。
上杉が衰えたように、二人もいずれは衰える。
しかし年齢と比較しても、二人は今が全盛期のような数字を残している。
もちろん本当の全盛期は30歳前後の頃であった。
今の直史には、年間に30試合以上も先発して、30勝以上することは多分出来ない。
大介の打率やホームラン数も、これでかなりおとなしくなったのだ。
セ・リーグのピッチャーは地獄の時代である。
かつて九年間、この地獄は続いていた。
日本人は変なところで見栄っ張りで潔癖症であるので、大介を相手に申告敬遠はあまり使っていない。
それでも完全に日本記録を作って、シーズン179四球というのがある。
ただこれはMLBはもっと露骨で、300を超えるフォアボールをシーズンで投げられたことがある。
それなのにホームランの記録を作っているのだから、性能の基準がおかしい。
あの頃よりもさらに、日本人選手のMLB移籍は一般的になっている。
だいたいポスティングの条件が、日本の球団側に有利なものになった、ということも理由の一つであるだろう。
それでも武史や樋口以上の核弾頭は、それ以来発生していない。
上杉には何度も誘いはあったらしいが、あの一年で鮮烈な印象を残し、NPBに戻ってきた。
国内のリーグの空洞化を避けられたのは、間違いなく上杉の功績であるだろう。
また技術的にはともかく体力的に、MLBではついていけないという人間もいる。
言語や文化の違いというのも大きい。
結局はNPBで成功してから、環境を整えるための金を持って、渡米するのが一般的。
この結論はほぼ誰にでも当てはまる。
大介の知る限り、NPBに全く興味がなく、それどころかMLBへの関心も薄いというのは、身近に一人いる。
息子の昇馬である。
今年は年齢で言えば中学三年生であり、しかし勉強はアメリカでその過程を終了しているため、高校入学前に色々なことをしているらしい。
子沢山な大介であるが、あまり子供たちのことは心配していない。
その昇馬は甲子園には少しだけ関心があるようだが、そもそも日本的な思考をあまりしていないと言うべきか。
あれだけのフィジカルを持っていながら、スポーツばかりに関心があるわけでもない。
アメリカでもそうだったが、日本でも山に入って、狩猟などをしている変わり者だ。
才能というか素質と言うか、遺伝子の結果で昇馬は、恐ろしいピッチャーにはなっている。
高校でどこまで伸びるか分からないが、単純に肉体の出力なら、上杉や武史に匹敵するようになるかもしれない。
五年ほどすれば、大介の相手にもなるかもしれない。
だが今はまだ、バッティングピッチャーにしかなれない。
彼がMLBに志向がないのは、大介と対戦した場合、圧倒的に打ち込まれるからであろう。
相手は自分の父親で、それこそ既にレジェンドのバッターでありながら、普通に勝つつもりで投げてくる。
子供の頃はまだしも、中学生になったぐらいからは、忖度などせずに勝負している大介である。
大人気ないというわけではなく、そういう教育方針なのだ。
子供をスポイルする悪い親、というものになっているかもしれない。
だがシニアで短期間だがプレイし、高校に進学して自分のレベルを客観的に分かるようになったら、選択肢もまた変わるだろう。
本当はどうやら、アメリカで牧場などを経営しながら、野生の害獣をハンティングするような生活や、猟師になりたいらしい。
しかしそれは純粋に収入的に難しいので、あくまでも趣味にとどめるべきであろう。
話を聞く限りでは、毎日のように直史の実家の山には入っているらしい。
(本気で対戦することもあるのかな)
それまでに、対戦相手に相応しいピッチャーになっていてくれたら、大介としては嬉しい。
七月が始まる。
レックスの最初のカードは、スターズとの三連戦。
上杉との投げ合う試合はないはずの直史である。
ここからスターズ、タイタンズ、そしてライガースとの対戦があり、順位の変更があるかもしれない。
特にライガースとの直接対決では、いよいよ直史のローテがライガースと当たる。
以前は肉離れで登板機会を飛ばされたので、いよいよ復帰後最初の大介との対決になる。
それはそれとして、まずはスターズとの対決である。
直史の投げるのは第二戦で、第一戦はオーガスの先発となっている。
上杉はこの時点で、スターズの勝ち頭ではある。
だが往年の支配力はもうなく、精神的な支柱としては大黒柱と言うよりは、チーム内の選手たちの士気を一致させるのが役目となっている。
第一戦はその上杉が先発だ。
チームを勝たせるエースと、チームに勝たせてもらうエース。
もちろんいまだに上杉の力は、先発ピッチャーとして上位には入る。
ただ年に数回はローテを飛ばして休養もするし、ある程度の故障も重なる。
対してレックスは、ローテの中でも9勝3敗と好調のオーガス。
こっそりチームの中では、直史に次ぐ勝ち星を挙げている。
クオリティスタートは9回で、そのうちハイクオリティスタートが3回。
奇妙な符号と言うか、オーガスはクオリティスタートを決めた試合は全て勝っている。
レックスのリリーフ陣が安定していることと、もちろんある程度は関係しているであろう。
ただ、今日の相手は上杉である。
直史でさえ上杉相手には、勝てていない試合があるのだ。
スターズの打線は奮起して上杉を援護してくる。
なのでクオリティスタートは難しいだろうなと、直史は計算高く考えていた。
ジンクスはいずれ崩れるものだ。
ホームゲームであるのでスターズの攻撃から試合は始まる。
初回からいきなり、一点を取られてしまうオーガス。
10年前ならこれで、ネットの海は「勝ったな」で埋まるはずである。
しかし今の上杉は、防御率も2点台。
無責任に信じてはいけない。
「終わったな」
しかしベンチメンバー入りはしていないが、ブルペンで試合を見ていた直史は、試合の趨勢など簡単に予測できた。
いや、さすがに判断が早すぎるだろう、と豊田などは思った。
「今の上杉さんの防御率は2点台だぞ。昔みたいに1を切っていた頃とは違う」
「それは休みながら投げたら、という話になるな」
本気で投げた上杉がどうなるか、直史はこの間の試合で体験している。
勝つためのピッチングが出来る人間なのは、ずっと変わっていない。
実際に一回の裏から、上杉は三者凡退で抑えてきた。
かつてのようにストレートだけで充分などというスタイルではなく、ムービングを使って球数を減らしている。
それでも完投は難しいが、そもそもリーグ全体で完投は減っている傾向は変わらない。
上杉にしても六回か七回までで、リリーフ陣に託すという方が多いのだ。
そのリリーフの安定感で、レックスはスターズの上をいっている。
二回以降もオーガスは、先頭打者を出してしまうということが多い。
七月に入って暑いということもあるが、ここいらで調子を落とす日があるのは、別に珍しくない。
年間を通じて変わらないコンディションで投げられる、直史の方がおかしいのである。
ただそういう調子の悪い日も、それなりのピッチングをするのが先発の役目である。
五回まで投げて、リリーフ陣を無駄に使うことは避けなければいけない。
選手生活晩年はともかく、初期の上杉は直史以上に、援護に恵まれないピッチャーであった。
あるいはプロ入り前からずっと、そう言われてもいた。
甲子園では四回負けて、一回球数制限でマウンドを降りたが、その時も失点はしていなかったのだ。
あの三年間は、ある意味プロの世界以上に、上杉が日本中を熱狂させた時代であったろう。
それに比べると今日の試合などは、しっかりと援護がついている。
五回までを投げて五点と、余裕のある試合展開だ。
上杉の方も、一点は取られてしまっているが。
オーガスが交代しても、レックスが逆転するということはない。
勝ちパターン以外のリリーフ陣が弱いのは、レックスの弱点である。
百目鬼を先発に回したことで、ローテは埋まったように見える。
だがそれでさらに、リリーフ陣が弱くなったとも言えるのだ。
今日の試合も、勝ちパターンのリリーフは使わないだろう。
明日の試合がほぼ完投必至の直史であることを考えれば、ここは使っておきたい試合であった。
レックスの首脳陣はビハインド展開でも、勝ちパターンのリリーフを使っていく勇気が必要かもしれない。
しかし打線の得点力を考えると、ピッチャーのリソースを保っておくというのは、重要なことであろう。
常に安全な状況で、ピッチャーを回していく。
レックスの首脳陣の、育成に関することに加えて、故障を防ぐという意識。
優勝を狙っていくようなチーム運営ではないのだが、優勝を狙える位置にチームがいる。
おそらく首脳陣自身が、一番困っていることであろう。
第一戦はおおよその予想通り、スターズが勝利した。
上杉は七回までを投げて一失点と、今季8勝目。
昨年は10勝であったことを考えると、この時点で既に8勝というのは、彼もまた復帰したかつてのライバルたちに、影響を受けていると思われる。
レックスはこれでまたライガースとのゲーム差が開いてしまったが、あまり切実なものを感じてはいない。
いい意味で我武者羅に目の前の勝利を目指さないところが、レックスの首脳陣であると言える。
そして第二戦、先発は今季14試合目の直史。
13勝せずとも圧倒的なハーラーダービーのトップではある。
ローテ通りに予告先発され、BBSのスレッドが沸騰し、SNSのトレンドに躍り出る。
もはや今年は投手成績は、直史一人で独占と言っていいだろう。
奪三振率はともかく奪三振数は、先発の直史が圧倒的に稼いでいる。
他に匹敵するピッチャーがいない。
早くも三度目の沢村賞受賞が確実視されている。
これが記者投票の時代であったら、落とされる可能性もあったのだろうか。
いくらなんでもこの成績で受賞出来なかったら、それはもうファンからの抗議が殺到して、またも選出方法が変わることであろう。
もしもここで受賞するとしたら、三度目の受賞となるが、二度目との間に10年以上の期間が空くことになる。
もちろんこんな受賞は過去に例のないことである。
ただ上杉が最初に沢村賞を取ったのはプロ一年目で、最後に取ったのは21年目なので、こちらの方がすごいことはすごい。
【夢よ】 新生! 佐藤直史総合スレ part199 【もう一度】
349 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
さて、試合も開始されるわけだけど実況は実況板で
350 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
ここは引き続き迫水の話題を続けることとします
351 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
今日は迫水スタメンじゃないのな
352 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
迫水の話はもうやめようよ
ひどい話だったね、で済ませればええやん
正直見てる方もドン引きやったぞ
353 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
プロでもエラーはある
樋口だってパスボールはしてるし
354 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
迫水は懲罰降格でずっと二軍だぞw
355 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
正直、ほぼ確定していたパーフェクトをエラーで台無しにされた影響は?
あるやなしや
356 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
迫水は普通にメンタルケア必要やったやろ
あんなひどいパーフェクト阻止初めて見た
357 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
SNSとかが村岡で埋まるの草やった
358 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
村岡と同じで迫水も、エラーとか少ないんやけどね
そもそも社会人出身とはいえまだ一年目よ
359 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
二軍落ちの罰はむしろ首脳陣の温情よな
360 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
下手に試合に出ると野次られるのは目に見えていたからな
361 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
多分見ていて一番辛かったのは村岡w
362 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
樋口だってMLB時代にエラーぐらいはしてるぞ
大サトーがバント処理とかフィルダースチョイスしたのは見たことない気がするが
363 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
迫水ここまで打撃いいし下で禊を済ませたら上がってくるやろ
二軍では試合に出てるんかい?
364 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
迫水一年目やからな
大学から社会人とはいえそらしんどいやろ
365 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
大サトーのエラーって見たことないんやが
366 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
おそらく野球の歴史で一番守備の上手いピッチャーちゃうか?
367 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
一応マウンドで転んでミスったのは見たことあるな
368 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
迫水上がってこんと大サトーの試合は打てないバッターが打線に二人になるわけで
369 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
一点あれば勝っちゃうから守備力低い選手は代えていったらええねん
まあ今のレックス、守備の下手なやつはあんまおらんと思うが
370 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
一応記録の上ではグレッグ・マダックスのゴールドグラブ賞がMLBの歴史の上では一番多い
ただ英語サイトによると守備機会でのミスは大サトーが一番少ない確率らしい
371 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
MLBサイトはデータ優秀やなあ
372 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
今年の大サトーの打率ひでえなw
まあブランクもあるから普通なんやろが
元々こんなに打ってなかったっけ?
373 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
どれどれ
374 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
言うても大サトーのファンなんてワイ含めておっさんばっかなんちゃうか?
375 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
高校時代にいきなり甲子園でノーヒットノーランしたのは驚いたな
二年の夏以降は本当にやばい場面でしか投げてないの藁なんだが
迫水がいないと直史も困るのである。
あんなパスボールの一回ぐらいは、誰だってすることはある。
樋口は暴投以外は前に落としてくれていたが。
それより問題は得点力である。
キャッチャーとしての負担も考え、六番あたりを打っている迫水だが、かなり打点は上げているのだ。
ピッチャーが力投しているなら、それを援護するのもキャッチャーのバッティング面での仕事である。
思い出せば樋口は、両者0行進というところで点を取るのが抜群に上手かった。
むしろそのために普段は打っていない、という印象さえあったし、実際に得点圏打率などの隔絶具合を比べれば、間違いはないのだろう。
0-0で終盤に入って、ソロホームランで状況を打破するということがよくあった。
ただキャッチャーでトリプルスリーをするような男の代役は、さすがに直史も求めてはいない。
今年の直史の打率は、自身の防御率よりも低い。
なお六月終了時点の直史の防御率は0.17なので、これより低いピッチャーは普通にいる。
ただレックスのキャッチャーはベンチにいる他のメンバーも、打率は二割以下なので、二割台後半を打っている迫水は普通に優秀なのである。
(まあ最速で戻ってくれば、ライガース戦には間に合うか)
七月九日のライガースカードの第二戦は、いよいよ直史と大介の対決になる。
ここまで多くの場面で、直史は大介に決定的な働きをさせなかった。
だがそれも外付け演算機がなければ、かなり直史本人の負担が大きくなるのだ。
それはそれとして、目の前の試合である。
この日はブルペン以外では、オープン戦で組んだ経験があるのみのキャッチャーとバッテリーを組んでいたため、あまり期待してはいなかった。
これは力量の不足という意味ではなく、純粋にバッテリーとしてまだこなれていないからだ。
もっとも樋口などはほとんど初めて組んだワールドカップで、既に直史との息は合っていたが。
直史は本質的には、自分の主張が強いピッチャーではない、との自己認識を持っている。
ただキャッチャーがどんな要求をしてきても、そのボールを投げることが出来るようにはしている。
この試合、スターズの打線はそれほど強力ではないが、キャッチャーとの相性というものはあるだろう。
その意味ではあまり相性は良くないと感じたが、成績的には抜群の結果を残した坂本は、不思議な存在であった。
レックスのキャッチャーとは事前ミーティングで、スターズ打線の分析は終えている。
以前に対戦した時よりも、直史の球種は増えている。
これは味方のキャッチャーからでさえ驚かれたものである。
この非常識さは、昔から直史を知っている豊田や緒方、青砥といったあたり以外からは格別の驚きをもって迎えられている。
40歳のおっさんが、五年以上のブランクをもって、そこから全盛期近くにまで力を取り戻している。
もっともこれは前例があって、山本昌などは40歳を過ぎても年々ストレートの球速は増していって、キャリア最速は43歳の時に記録しているという。
ただ直史の決定的に違うところは、ブランクがあることだ。
それも一年程度ではなく、五年以上ものブランク。
そんなピッチャーが、今日も躍動する。
パスボールではなかったが、直史のカットボールをキャッチャーが弾く場面は、一回の表から見られた。
どうもスライダーとストレートとの見極めが、上手く出来ていないらしい。
直史も追い込むまではともかく、追い込んでからは球種を限定する。
ただそうすると、それまでの組み立ても考えていかなければ、相手に配球を読まれてしまう。
これを修正するのは単純に、ストレートとカーブぐらいに球種を絞ってしまえば出来る。
この日は直史も、あまり期待はしていない。
キャッチャーが代わったことに加え、スターズ打線は全体としては弱いが、一部にだけはかなり強力なバッターがいる。
初回からこれを封じるために、カットボールとツーシームを織り込んで組み立てを行っている。
ストレートで空振り三振を奪うというスタイルは、今日も変わっていない。
レックス打線は下位打線が打てないことは分かっているので、この日はとりあえず一点を取ろうという意識が強い。
とりあえず一点取ってしまえば、直史がなんとかしてしまうだろう。
確かに直史は1-0で完封する試合がそれなりにあるが、それは相手のピッチャーも強敵の場合が多い。
上杉や真田、あとは武史や本多といったあたりが、投げ合いの中では強敵であったと言えるだろう。
しかし点がほしくても、それだけで取れるというものではない。
初回は両者無得点であり、二回の表のスターズの攻撃を迎える。
直史は相手の主軸に対しては、緩急を上手く使って、ミスショットを狙うと共に、三振も積極的に奪っていく。
つまるところ、いつもと変わらない。
(今日もまた、面倒な試合になりそうだな)
おそらく今日はヒットぐらいは打たれるだろうなという予感がする。
この予感が当たるであろう確信が持ててしまうというのも、直史の感覚が鋭くなっている証明なのかもしれない。
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