第38話 西方動乱

 神戸との試合が進んでいく。

 この三連戦は、三島とオーガスが好調であった。

 共に100球前後で八回と七回を投げて、二失点。

 勝ちパターンのリリーフが使えたので、両方とも先行逃げ切りの試合展開であった。

 見ている側からすると、リードしたチームが順当に勝つというのは、逆転がなくて面白くないかもしれない。

 だが点差を詰められて、ハラハラするという場面はあったのだ。


 野球は偶然性が高いスポーツであるが、それでも戦力に差があれば、そしてポイントを押さえれば、ジャイアントキリングは起こりにくい。

 もっともそのポイントで、どうやって動くかが、また野球というスポーツなのだ。

 第三戦の先発ピッチャーは青砥。

 神戸はこれに対して、確実に点を取ってくる。


 レックスも点は取るのだが、セットプレイになるような点の取り方が多い。

 イケイケドンドンで点は取れないのが、現在のレックスだ。

 直史が以前にいた二年間も、そういう傾向にはあった。

 ただ上手く勝ちパターンに持ち込んだ時の強さが、ライガースよりも強かったように思う。

 野球はやはり年間の試合数が多すぎるので、統計の偏りが存在する。

 一つの試合を計算するのでも、負けることを前提として捨てる試合が存在する。

 そんな試合まで集めて集計してしまえば、おかしなことになるのは分かる。


 トーナメントとは違うのだ。

 またレギュラーシーズンは短期決戦ではない。

 NPBもそうだがMLBなどでは特に、レギュラーシーズンとポストシーズンでは、戦い方が違うとはっきり言われていた。

 特にピッチャーの重要度が変わると言われて、七月には今季絶望と言えそうなチームから、トレードで選手を獲得などしていた。

 NPBではそういった派手なトレードはないが。




 六回まで投げて三失点。

 対してレックスも三点を取っており、青砥はとりあえず負け投手にはならない。

 クオリティスタートなので最低限の仕事はしたということになるのか。

 年配の野球ファンからすると、最近の先発はろくに完投しない、などという文句が出てきたりもするが。

 昔と違って今のピッチャーは、より全力を効果的に出す方法を研究している。

 すると逆に、負荷は強くて壊れやすい。

 極端な話、昔のピッチャーで壊れなかったのは、単純に力が伝わらない投げ方をしていたからである。


 じゃあ上杉や直史や武史はどうなのかと言うと、もうあれは異能生存体とでも思ってもらうしかない。

 上杉も最近は、あまり完投はしていないのだ。

 人類の範疇からかなりはみ出るためには、抜いたボールでカウントを取れないといけない。

 直史はちょっとそういうものとは違うのだが、まともではない条件で投げてきたので、そういう能力が磨かれてしまった。


 このカード、レックスは既に二勝しているため、無理に勝ちパターンのピッチャーは使わないと首脳陣は決めているらしい。

 直史から見ると、もうちょっと勝利に貪欲でもいいのでは、と思うのだが。

 育成には定評がある、というだけあって選手が壊れることを徹底的に嫌う。

 貞本監督の方針は、直史に対してさえ例外ではないのだ。

 なので100球ほどで完投する必要はある。


 結局はあちらにスリーランホームランが出てしまって、勝負は決した。

 ランナーがいる時のホームランは、本当にひどいものだと直史は感じる。

 直史が最後に負けた試合も、思えば逆転ホームランによるものだ。

 この一気に点が取れるというのは、野球の醍醐味ではあると思うのだが。




 交流戦も五つ目のカードまでが終わった。

 レックスはここまで9勝6敗となかなかの成績である。

 しかしこの交流戦、トップはライガースだ。

 12勝3敗と圧倒的な数字を残している。

 まだ1カード残っているため、レックスが全勝しライガースが全敗すれば、追いつくことは可能である。

 だがもちろんそれは、現実的な話ではない。


 直史はふと気になって調べてみたのだが、レックスは今年まだここまで、一度も二桁得点の試合がない。

 二桁失点の試合は一度だけあって、一番大量点であったのが9点が一試合のみである。

 それでももちろん総合的には、かなり勝っている方ではあるのだ。

 ベンチの采配がかなり確率重視なため、大量点の取れる試合運びをしていないというのはあるだろう。


 一方のライガースは、かなりひどいものであった。

 それでも二桁得点は、たったの三試合しかない。

 また二桁失点が一度もないというのも、ちょっと不思議な話ではあった。

 あとはライガースの特徴を言うのなら、逆転勝ちの試合が多いということか。

 もっともこれは、レックスもまた逆転負けが少ない、という逆の特徴を持ってはいるが。


 失点をもっと減らしたいな、と直史はピッチャーとして当たり前のことを考える。

 ただそのために必要なのは、やはりキャッチャーではある。

 今から迫水の急成長を求めるのは、贅沢に過ぎるというものだろう。

 あとは外野の守備にしても、昔に比べると守備範囲が狭まっている。

 昔を懐かしんでいるわけではなく、これは単なる事実であった。




 ライガースとのゲーム差がまた広がっていく。

 そして福岡に移動し、この交流戦最後の、福岡とのカードが始まる。

 先発は上谷であり、昨日は勝ちパターンのリリーフを使っていないので、終盤までリードすれば有利に戦える。

 レックスはそういう、勝利の方程式を上手く使えているチームではあるのだ。


 移動したその日に投げるのは大変だろうな、と直史は本日の先発の上谷を見ていたりする。

 おそらくそれを口にすれば、MLBの過密スケジュールで投げていた人間が何を言うのか、という反応になるのだろうが。

 明日が先発のため、直史は今日の登板は出てこない。

 移動した直後の試合がないというのは、本当にありがたいことだ。


 加齢による肉体の疲労回復が遅れるというのは、どうしようもない事実である。

 大介の場合はちょっと、特別なのかもしれないが。

 いまだにMLBで投げている武史も、ここのところ成績は落としていて、それでもローテを守ってそれなりに完投もする、というピッチングだ。

 直史をも上回る回数のサイ・ヤング賞を獲得したのは、日本人ピッチャーとして誇るべきであろう。

 もっともバッティングで大介がやったことは、さらにそれを上回るのだが。


 移動してからのこの初日、元々福岡は選手層が厚いだけに、上谷も苦しいピッチングをさせられた。

 五回を投げて五失点と、防御率がまた悪化するピッチングをしてしまった。

 打線もこれを援護するのは厳しく、ビハインド展開でリリーフを使っていく。

 こういう時に腐らずにリリーフを出来ると、首脳陣の評価も上がるであろうに。

 星がそういうタイプのピッチャーであった。

 敗戦処理が敗戦処理でなくなった時、それはチームを勢いづけるのだ。




 直史の感覚からすると、味方が点を取ってくれるまで、点をやらなければいい、という無茶なものになる。

 実際にこんなことが出来るピッチャーはいても、毎試合それが出来るというのはさすがに無茶である。

 ピッチャーには調子の波というものがあるのだから。 

 コンディション調整を万全に行える直史は、そういう部分こそがまさに、人間離れしていると言えよう。

 それでも本人としては、やはり調子の波はあると感じているのだが。


 結局この第一戦は落としたが、上谷はそれでもここまで、9先発の3勝3敗。

 昔、10勝しても10敗するピッチャーはいらないと言われたピッチャーがいたりしたが、ぶっちゃけ20個も勝ち負けがつくところまで投げてくれるピッチャーは、絶対にいる。

 それでも上谷に注文をつけるなら、あと1イニング長く投げてほしい、というところであろう。

 今シーズンはここまで、六回まで投げた試合が一試合あるだけで、あとは五回でお役目終了となっている。

 なお防御率もひどいもので、6点台の半ばにあるのだ。


 これで勝ち負けの星が同数なのであるが、評価すべきは四回までにノックアウトされた試合もない、ということだろう。

 低空飛行で安定しているという上谷。

 一応レックスとしては必要なピッチャーではあるのだが、出来れば新しい力と入れ替えたいとも思っているだろう。

 中途半端な成績の選手など、プロ野球の世界ではいらない、というのが本来なら超人たちの集合するプロ野球の世界である。

 だが実際はこういうピッチャーがいてくれないと、困るのである。


 勝ち星を稼ぎ貯金を作るのは、エースの役目。

 三島やオーガスといったあたりが、その貯金を作ってくれると思っていた。

 だが実際にシーズンが始まれば、ロートル復帰の直史が、ここまでに既に9勝。

 しかも負けたのは五回を無失点に抑えた、上杉との対戦のみである。

 直史に負け投手の責任はついていない。




 第二戦、福岡ドームでの先発登板。

 思えば直史が最後に投げたのは、プロ二年目の日本シリーズ以来でないのか。

「公式戦の先発で投げるのは初めてだな」

 そうなのである。


 一応オープン戦での登板はしたことがある。

 だが一年目も二年目も、交流戦では福岡相手に投げていない。

 二年目の日本シリーズも、まず初戦をホームの神宮で投げて、あとは福岡ドームにやってきてからは、クローザーとして投げてるのだ。

 1勝2セーブで四連勝してあの日本シリーズは終わった。

 クライマックスシリーズの方が、むしろ盛り上がったものである。

 真田と投げ合って引き分けたが、直史はまたも12回参考パーフェクトというおかしな記録を残したものだ。


 一回の表、レックスの攻撃は先制点を得るのに失敗する。

 直史は先発としては初めて、このマウンドに立ったわけだ。

 ただ別に、何かおかしなことも起きたりはしない。

 緊張もしていないし、プレッシャーもかからないし、何もいつもと変わっているところなどはない。

 投げるボールもいつもと変わらない。


 少しは何か思うかなと予想していたのだが、一応マウンドは経験している。

 クローザーに比べればむしろ先発は、楽な方であるという意識がある

 パ・リーグではナンバーワンの選手層を誇る福岡だが、直史からすると世界中から才能を集めているMLBにはさすがに負ける。

 普段と変わらないピッチングが、ここ福岡においても行われようとしていた。




 福岡の一番は、これまた育成出身の田茂という選手である。

 高校時代はピッチャーもしていたが、プロではバッティングに専念。

 今ではセンターで広い範囲を守る、長打の打てる一番打者だ。

(厄介だな)

 打率が高くそこそこ長打も打てる。

 これに対する直史の確実な策は、まだ出来ていない。


 高めに外すという手段に、割と簡単に対応されてしまう。

 浮いた高めではなく、しっかりと意識して投げた高めでもだ。

 しっかりゾーンから外していかないと、ミートしてくる。

 カーブを主体に考えながら、外したストレートをカウント調整のために使う。

 そしてチェンジアップで緩急の差をつける。


 体勢を崩しながらも、打球は外野にまで飛んでいく。

 ただ最近のレックスは、直史が投げる時は、外野はやや前進守備を敷いている。

 これによってレフトフライで、まずは1アウトを取る。

 それなりに球数を使っているのに、安全な打球でアウトを取ることが出来なくなっているのだ。

(まあ分析の量も時間も少ないから仕方がないか)

 失点さえしなければいいと割り切って、福岡相手には投げていく。

 ちょっと今日は完投は無理かもしれない。




 福岡は資金力に豊富なチームであり、それはもちろん選手の育成に注がれる。

 だが選手の育成だけ、というわけでもない。

 データ分析にもしっかりと金をかける。機械とデータマン両方にだ。

 ひょっとしたら今年、日本シリーズで当たるかもしれない。

 そう考えれば福岡が直史のデータを集めるのは、当然のことと言える。

 日本も普通に最新のトラッキングシステムを導入していて、経験豊富なスコアラーなどが、動作解析などをする。

 直史の本日のピッチングは、10年以上前のデータと比べると、全く違うのが分かる。


 10年以上も前のデータであるし、年齢も全く違う。

 ブランクが長く、球速は落ちて球種も減っている。

 ここまでに二ヶ月以上はあったので、その衰えたデータはしっかりと収集してある。

「なのになんで打てないんだ?」

 打者一巡で、出塁なし。

 福岡のベンチでは、首脳陣が難しい顔をしていた。


 なんだかんだ言いながら、今日も一本もヒットが出ていない。

 それなりに粘ってはいるのだが、上手く組み立ててバッターを翻弄しているのだ。

 ピッチングのコンビネーションなど、分析班が深くずっと行っている。

 直史の投げているボールに、特殊なものなどはない。

 組み立てにしてもそこまで極端なものはないはずなのだ。


 一応傾向としては、左バッターにヒットを打たれる確率は高い。

 だがそれは右腕のピッチャーであれば、かなりの割合で当てはまるものだ。

 直史の場合も同じことだが、ここまでに打たれたホームランなどは、圧倒的に左バッターが多い。

 どのみち被打率は左右の関係もなく、一割以下ではあるのだから。


 NPBを二年間蹂躙し、MLBを五年間蹂躙した。

 日本にいたころのセ・リーグのチームは、他に大介や上杉もいたため、この時期の打者投手タイトルのほとんどが、これら三人と武史によって得られている。

 パ・リーグはまだしもそれぞれのリーグでタイトルが別なので幸いだったと言っても、沢村賞は20年間ずっとセ・リーグのピッチャーが獲得していた。

 上杉が一番回数は多いが、直史と武史の三人で、完全に独占した状態だったのだ。




 交流戦の他にはオープン戦、オールスターに日本シリーズと、セとパのチームが対戦する機会は少ない。

 だが直史はここまで、パのチームを相手にしても完全に勝っている。

 福岡が今日を少しは自慢できるのは、球数をそれなりに投げさせていることぐらいだろうか。

 それでもエラーでランナーが出るまで、直史は福岡の打線を封じ続けていた。


 珍しくもフォアボールも一つ出している。

 だがヒットが出ていない。

 レックスの攻撃もわずかに二点と、あまり援護は出来ていない。 

 それでも二点あれば大丈夫。

 そんなことを思わせる直史のピッチングである。


 八回まで投げて、フォアボールとエラーが一つずつ。

 つまりノーヒットノーランである。

 しかしここで、直史の球数は110球を超えた。

 点差が二点あるので、このまま投げたらノーヒットノーランの達成は充分にありうる。

 あと1イニングだけであるのだ。

 それでもここで直史は降板。

 ノーヒットノーランなら既に、今シーズンはもう一度やっているのだ。


 九回の表に、レックスに追加点はない。

 だがそれでもここで、直史がノーヒットノーランを狙ってくるだろうと、敵地でありながら福岡の観客さえ期待していた。

 しかしレックスのベンチからは、ピッチャー交代の宣言。

 クローザーのオースティンが、ブルペンからやってきていた。


 確かに球数が多くなっていたのは確かである。

 しかし本当に、あと1イニングだけであったのだ。

 まさか故障かとも思われたが、直史はそのままベンチで試合の推移を見ている。

 完全に球数によるリリーフへの交代。

 本人は納得と言うか承知の上での交代である。なにしろノーヒットノーランなど別に、珍しいことでもないので。

 だがこの交代は後に、物議をかもすこととなる。




 【マジ!?】 新生! 佐藤直史総合スレ part138 【故障発生!?】


203 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 「ノーヒットノーランに興味はありませんから」

 出たよ


204 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 まあ何度もしてるからな

 何回してるんだっけ?


205 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 数え方によるしアマチュア時代を含めるのかにもよる


206 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 実際球数が110球にいったのは今日が初めてだしな

 あ、復帰後の話ね


207 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 あと1イニングだったのにな

 やっぱり復帰後は球数増える傾向にあるよな


208 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 まあ故障じゃなくて良かった

 普通にベンチに残ってたから多分大丈夫とは思ってたけど


209 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 ノーヒットノーランが勲章にならないのは大サトーだけ!

 まあ高校時代から含めれば何回やってるのかという話になる


210 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 でもノーノー記録の最年長にはならんかったのか?


211 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 こないだ達成した時も書かれてたぞ

 山本昌の41歳というのがNPBの最年長記録


212 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 来年も続行したら普通にいけそうではある


213 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 つーか最年長記録をどんどん塗り替えてもおかしくないな


214 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 ちなみにパーフェクトの最年長記録は?


215 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 藤本英雄の32歳のシーズンやな

 パーフェクトって若い頃しか出来てないイメージがあると思ったらほんまや


216 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 MLBだとランディが40歳と八ヶ月で達成してるぞ


217 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 40歳ってw 爺やん


218 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 大サトーも今で40歳と二ヶ月なんだが?


219 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 すると大サトーは来年度もやれば更新しそうなんか


220 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 NPBとMLBでは違うやろ

 まあMLBで複数回パーフェクトをやってるのが

 というか日米どちらを合わせても複数回パーフェクトしてるのが

 大サトー以外には上杉ニキしかおらんのだが


221 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 上杉はMLB1シーズンでシーズンパーフェクトしてるからな


222 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 大サトーもメトロズではパーフェクトクローザーだったけどな


223 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 つーかMLBで達成されたパーフェクトの半分以上が大サトーによるものだからw


224 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 www


225 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 あの人何回やってんの!?


226 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 一年目 四回

 二年目 六回

 三年目 五回

 四年目 七回

 五年目 七回

 こんなん打てるか!www


227 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 他のピッチャーは合計25回で、大サトーは一人で29回

 ただし大サトーは五年間しかMLBにはいなかった


228 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 そら前例全部ひっくり返してでも殿堂入りさせようとするわな


229 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 ちなみに大学四年間は公式戦と準公式戦で16回パーフェクトをしてるw


230 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 公式戦はともかく準公式戦ってどれや?


231 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 WBCのオーストラリア戦は知らんヤツ多いかもな

 ただこれはコールドだから参考パーフェクトでもいいかも


232 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 春夏のリーグ戦は29勝無敗。

 パーフェクト11回 

 ノーヒットノーラン4回やで

 なぜパーフェクトの方が多いwww


233 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 大学時代は自責点0やからもう参考記録にもならんw


234 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 ファ!? 四年間で点取られてないの!?


235 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 そやぞ。ちなみに大学選抜で日本代表と対戦した時もノーヒットノーランしてる


236 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 なんか昔から頭おかしな成績ばっか見つかるのね


237 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 奥さんの公式大サトーサイトにそのへんはまとめてあるw


238 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 これ以上はないというまとめサイトw


239 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 大学選抜でノーヒッターやってるから例外措置でWBCに呼ばれたからなあ


240 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 高校時代も夏の甲子園で実質パーフェクトやってるの大サトーだけやからな

 上杉でさえこれはやってない


241 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 これが中学時代は公式戦未勝利というのがなんともかんともw


242 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 とりあえず来年も現役でパーフェクトすれば最年長記録は更新だ


243 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 頭おかしすぎる数字やなwww


244 名前:代打名無し@実況は野球ch板で

 そして忘れられる小サトーのパーフェクト記録……




 故障に至る可能性は少しでも潰しておかないといけない。

 110球での交代というのは、直史本人が決めている妥当なところだ。

 ただしこれがパーフェクトがかかっていたら、続投していたであろう。

 ちなみにNPBの世界では、9回2アウトからパーフェクトやノーノーを何度か消されたピッチャーがいるらしい。


 ノーヒットノーランには、なんの価値もない。

 来年の終盤に達成すればNPBの最年長記録を更新することになるが、そういったものはどうでもいいのだ。

 直史はひたすら、今は勝利に飢えている。 

 防御率や奪三振、イニング数といったところも重要だが、勝ち星だけは味方の援護がないとどうしようもない。

 この試合も最後はしっかりと、オースティンが締めて終わらせてくれた。


 首脳陣からしても、ここで勝ちパターンのリリーフを使うことに問題はない。

 なぜならこの交流戦最終戦を終えれば、予備日が四日間丸々休みになるからだ。

 レックスは幸い、雨に悩まされることはなかった。

 そのためこの四日間を、リリーフ陣の休みに使うことが出来る。

 先発は特に、何も変わらないのであるが。


 翌日、最終戦のマウンドに登るのは百目鬼。

 ただこの試合は、三島がリリーフに入る用意もしていたりする。

 せっかくのエースクラスのピッチャーを、四日間の休みをそのまま休ませては、中九日の休みとなる。

 それなら中四日でここで短いイニングを投げてもらって、予備日後の登板予定をずらせばいい。

 もっとも直史は前日に投げているので、これに関しては何も関係がない。

 ポストシーズンでもないのだから、無理をさせるわけにはいかないのだ。




 ローテーションのピッチャーを守るというのは重要なことだ。

 特に勝ちの計算が出来る、三島のようなエースクラスは。

 今年は直史の加入によって、一気に勝ち星が増えたレックス。

 単に一人で勝ち星を増やしているのではなく、投げるイニング数が多いのでリリーフが楽を出来るというのは、さらなる貢献ポイントの加算である。


 対して百目鬼や上谷というのは、まだまだローテの一人前とは見なされない。

 やはり防御率は4点ぐらいまでで、六回までを投げてくれるピッチャーがほしい。

 あとは勝ちパターンでなくても、そのピッチャーを休ませることが出来るピッチャーなども。

 今のレックスに星がいたら、その貢献度は多大なものになっていたであろう。

 元々あの時代も、樋口の求めるリリーフ像として、かなり理想的なものではあったそうだが。


 あの頃は15勝以上勝てるピッチャーが、直史以外にも三人いた。

 それだけでもう、60勝に達していたのだ。

 今年のレックスの先発ローテの中で、完投をした者は直史以外にはいない。

 だがあの時代は武史を別としても、金原や佐竹はそれなりに完投をしていた。

 吉村に古沢、そして青砥も先発に回ってきた時期で、勝ちパターンは豊田、利根、鴨池の三人がいて、リリーフは星の他に越前、泊、コーエンといった錚々たるメンバーであった。


 あれから15年程が経過して、さらに完投するピッチャーは減ってきている。

 それこそ直史以外は、おそらく年間に五試合も完投すればいいぐらいであろう。

 上杉でさえもう、完投が難しいというのが、時代なのか年齢なのか。

 やがて時代が変化するのは間違いない。

 もう完全に先発は五回まで、というような時代が来てもおかしくないのだ。




 この日の百目鬼は、六回を投げて三失点と、なかなかの出来であったと言っていいであろう。

 ただこの試合はビハインド展開で、普通なら敗戦処理的なリリーフを使う。

 だがここから四日間休めると分かっているので、勝ちパターンのピッチャーを投入したのだ。

 交流戦は勝ってもリーグ内の順位が上がるとは限らない。

 だが下がる可能性はとても高いので、一つでも多く勝っておくにこしたことはない。


 レックスの打線が、どうにか福岡のリリーフを捉える。

 そしてそこから逆転するのだが、一気に点差を広げるということも出来ない。

 福岡も状況はほぼ同じなので、ピッチャーを全員投入する勢いだ。

 レックスのブルペンでは、短いイニングだが三島が投げるため、投球練習を開始したりもしていた。


 ただ、一度逆転した勢いは、そうそう止まるものでもない。

 レックスの試合運びというのは、終盤が強いのだ。

 勝てる試合を確実に、勝ちパターンのリリーフで拾っていく。

 それがしっかりと出来ていれば、チームがそう何連敗もすることもない。

 ブルペン陣の運用は、レックスの強みとも言える。

 豊田も豊富なリリーフ経験から、誰をどう使っていくのか、しっかりと考えている。


 ひっそりとセーブ数でリーグトップに立っているオースティン。

 今年はこれまで、まだセーブ失敗は一度きりと、安定した数字を残していた。

 最後のマウンドに登ったのは、当然のようにそのオースティン。

 三島はその前の八回を、1イニング投げたのであった。

 一点のリードを守りきって、レックスはこの試合を勝利する。

 交流戦は埼玉以外のチーム全てに、勝ち越してレックスは終わったのであった。

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