第28話 亡命するしかない
後ろから音が聞こえ、バックミラーを確認すると、やばい!燃えてる。他の兵士の魔法攻撃か、荷台内が燃やされた様だ。出発前、敵と遭遇した場合の話し合いを思い出す。
皆が集まって、
敵と遭遇した場合について。
敵が少ない場合は、速やかに始末。難しい場合は、アクセル全開で逃げ、国境近くの森に逃げ込む。その後、車を乗り捨て、隠れる。リンデンへ亡命に向かったと思わせれば上出来。リンデンは国境近くに、小さな出城があり、そこにある程度兵が常駐しているらしい。なので、国境付近なら余程の事がなければ、相手は深追いしないと思われる。それと、自分を軍に連れて行くのが第一優先になり、何かあったら、助けに行くとの事。おそらく、自分を助ける為、他の者を危険に晒しても来るだろう。
「今助けに行く!」
このまま、Uターンして、自分を助けに来そうだが、敵の人数を考えると、今ここで引き返してきたら、まともにぶつかってしまい、
左側を見ると川を挟んで、リンデンの出城が見える。
覚悟は決まった。
すまん
クラクションを鳴らして、ハンドルをリンデンの出城が見える方面に切る。正直、この車で逃げ切れないと思う。フロントガラスは半分側が割れ、いつ運転席側に引火するか、またタイヤがバーストしたのか、挙動もおかしい感じがする。
リンデンに亡命する。
軽トラの急な方向転換があり、敵は二手に分かれた。
「*********(お前は隊を率いて、あっちを追え。俺は、始末をつけに行く。)」
「*********(了解。)」
うるさいぐらいに、けたたましい音をずっと鳴らしている車。速度は落ちてきている。横に並んで、串刺しにしてやる。
クラクションを鳴らし、リンデンが気づいてくれる事を願う。
「かな・・たすけ・・・くぞ」
最後の通信となった。上手く逃げてくれ。
相手の意表をつけると思って、発煙筒を持ってきていた。この煙と光なら、出城からでも気づいてくれるかも知れない。運転をしながら、発煙筒を擦る。サイドミラーを見ると、一騎が運転席側に近づいてくる。他はついてきていない様だ。
横に並ばれ、槍で突かれる。ガラスを貫通し、自分の頭に刺さりそうだったが、簡単には殺されるつもりはない。魔力を使い、身体能力を向上させ、槍を掴んで逸らす。
なんだ、こいつ!奴隷のくせに何でこんな事が出来る。
槍から手を離し、ガラスを殴って割る。引き釣り降ろしてやる!
日本人を掴もうとしたら、光り、煙が出た棒を突き出してくる。なんだこれ、武器か!
発煙筒に、ひるんだ。そのすきに、奪った槍で突く。避けられたが、騎乗した生物を突いた。騎乗馬は、立ち上がり、兵士を振り落とそうとしたが、兵士は飛び移り、軽トラに掴まる。それと同時に腕を掴まれた。こちらも空いている手で、相手の顔を抑え、目に指を入れる。
離せぇ!
左目に指を入れ、目を潰したが、凄まじい握力で腕を掴まれ、ぼきっと音がなり、折れた。
その時、車が川に飛び込んだ。衝撃はすごかったが、それでも兵士は離さない。怨念すら感じる。
ナード様を・・・殺してやる!
さっきの腕と同じ様に、首をへし折ろうと手をかける寸前、日本人の手が光った。こいつ、魔法を?・・・もしかして、活動家軍は、日本人に魔法を授ける事が出来るのか?コイツを殺してから、報告しないといけな・・・・・
自分の手から、飛び出した水は、いつもの高圧洗浄機の様な威力ではなく、ウォータージェットカッターの様に、切断できる威力だった。ビームの様にまっすぐ飛ぶ水は、兵士の脳を貫いていた。
浸水し始めている車内で、死んだ兵士を引き剥がし、痛み動かない左腕を抑えた。
何とか倒した。次は脱出だ。
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